通じ合う気持ち



夜になり、ククールとヤンガスが部屋に戻った後もゼシカの傍についているフリード。
「ゼシカ・・・いつの間にか俺の中でこんなにも大きな存在に・・・。しかし今は、今はあの杖を取り戻し封印しなければ・・・。」
「この戦いが終わるまで・・・それに・・・俺の記憶が戻ったら・・・お前は・・・」
ゼシカの寝るベッドの傍で悩むフリードに突然声がかかる
「解ってる。全て終わるまで、考えないようにするから。」
ゼシカがいつの間にか気がついて、寝たままでフリードを見つめている。
「それに記憶が戻っても、フリードはフリードだよ。出会ってから今まで、一緒に過ごした時間が消えてなくなるわけじゃないでしょ?」
憔悴していながらも、必死で笑顔を作りながらゼシカが語りかけた。
「そうだな・・・俺は俺だし、変わりようが無いよな。とにかく一つずつ片付けるしかないか」
ようやくフリードに笑顔が戻る。
「そうだよ」
ゼシカも微笑みを返す。
「さぁ、もう寝ろ。とにかく今は休め」
「うん」
布団をかけなおし、部屋の灯を消してフリードが部屋を出ようとする。
「あ、ねぇフリード」
「ん?」
「私、杖に支配されてても、その間の記憶はあるんだよ」
「ほう・・・って、ちょっと待て!」
「へへへ、支配が解ける寸前の言葉、嬉しかった」
照れて布団をかぶりながらゼシカが笑う。
「き、聞こえてたのか・・・、に、二度と言わないからな!」
「いいよー、しっかり覚えたから。全部終わるまでは、あの言葉だけで十分だもん」
「いいから寝ろ」
逃げるように部屋を出て、外に出る。
空を見上げると満天の星空である。
(また負けられない理由が増えちまったな・・・)
背負うものが増えたが、それが決して苦にならない、むしろ気が引き締まる思いだった。






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