グランスピネルを求めて、ライドンの塔を経てリーザス村へと向かう道中、モンスターに遭遇する一行。
「行くぞ、皆!」
「ヤンガス、馬車を頼む! ククール、上だ! ゼシカ!前方に・・・」
「兄貴!今は嬢ちゃんはいないでゲスよ」
「あ、ああ・・・そうだったな」
すでにゼシカが横にいることが当然と思っている自分に今更気付かされる・・・。
(ゼシカ・・・必ず助けてやる)
リーザスの塔の最上階にて、石造の前に立つと、どこからとも無く声が語りかけてくる。
「よく来ました・・・私はリーザス・グランバートル・・・グランバートルの一族の血を引くもの・・・貴方達も薄々は気付いているでしょうが、あの杖は古より続く七賢者の末裔を順に殺しています・・・そう、貴方達の仲間、ゼシカのアルバート家も賢者の一族、故に兄のサーベルトが殺されたのです・・・」
「一族の力、封印の力は必ず第一子に受け継がれます・・・故にサーベルトが狙われたのでしょう・・・しかし、確かに封印の力、そして剣の技はサーベルトに受け継がれましたが、魔法力だけは何故かゼシカに受け継がれたのです・・・」
「あの娘の魔力は受け継がれし血脈、そして今までの戦いによって開花し・・・歴代一族の中でも指折りのものに成長しつつあります・・・ともすれば暴走しかねません」
「しかしあの娘は良き仲間に恵まれました・・・ゼシカを助けてやってください・・・そしてこれからも導いてやってくださいね・・・さぁ、グランスピネルを持ってお行きなさい・・・」
石像の目から二つの宝石がこぼれ落ちる。
フリードはそれを拾い上げ、大事にポケットにしまい、リプルアーチに急ぐ。
その道中
「フリード・・・フリード・・・」
宝石から、フリードの頭の中に直接語りかけてくる
「フリード・・・貴方も大変な業を背負っていますね・・・今はまだ記憶がおぼろげかもしれませんが、時を経るごとに明確になるでしょう・・・それが貴方を悩ませるかもしれません・・・しかしそれを打ち破るだけの力が貴方にはある・・・信じた道を進みなさい・・・」
「それから・・・ゼシカを助ける最後の鍵となるのは、グランスピネルでも、結界術でもなく・・・貴方とゼシカの気持ちかも知れません・・・覚えておいてください・・・」
それだけを伝えて、声は消えた。
(俺の・・・気持ち・・・)
リプルアーチに戻り、ゼシカが再び現れるのを待つことになる。