拘り



結束も固まり、一行の戦闘も以前とは違う形になりつつあった。
今までは所詮「寄せ集め」だった、個々で闘っていた集団から見事な連携・陣形で闘う様になってきた。
移動時の遭遇戦、いわゆる雑魚モンスターとの戦闘に関しては魔法を使う必要もなく、フリードとゼシカが突出し攻撃を請け負う。
ククールがやや下がった位置でサポートの役目を果たし、ヤンガスが馬車の護衛を務めている。
「来たな、行くぞ!ゼシカ!!」
「OK!先手を打つわよっ!」
もともと身軽で、数々の戦闘をこなし俊敏さに磨きのかかったゼシカが先制で攻撃する。
鞭を素早く二度振ると、弱い敵はそれだけで一蹴される。
「ゴメン、フリード!一匹しとめ損ねたわ」
防御の高いモンスター一匹が生き残っている。
「任せろ、ハァッ!」
残された敵めがけてフリードの剣が瞬く間に往復する・・・所謂「隼斬」である。
潜んでいたモンスターが上空と背後から襲い掛かる。
「しまった!ククール上だっ!・・・ヤンガス!背後にも回ったぞ!」
とっさにフリードから指示が出る。
「任せなって」
ククールが3本同時に矢を放つと、空中の敵の急所に見事に命中する。
「任せるでガス、王様と姫には指一本触れさせないでガス!」
鎌を構えてモンスターの前に立ちはだかるヤンガス。
「う〜りゃさっとぉ・・・でガス」
空気を切り裂く鎌から発せられるカマイタチで消え去るモンスター。
全員ほとんど傷を負わずに戦闘が終わる。

 一方、洞窟や遺跡では馬車が外で待機のため、ヤンガスも攻撃陣に参加する。
強敵の時は、フリードとヤンガスが盾のように立ちふさがり、一歩下がったところでククールのサポートとゼシカの魔法攻撃が炸裂する。
「とりあえず守備上げとこうぜぇ〜」
ククールが防御力上昇の呪文を唱える。
「いくよ、フリード、ヤンガス」
ゼシカが攻撃力上昇の呪文を唱え、後に強大な呪文の詠唱に入るタイミングを窺う。
「行くぞヤンガス!遅れるなよ」
「任せるでガス兄貴!突貫〜!」
一気呵成に攻撃し、敵が最期の足掻きをしようかとするその刹那
「・・・ゼシカ・アルバートの名に於いて命ずる・・・灼熱の炎よ 天界の陽の輝きとなりて、闇を切り裂き 邪を喰らい 全てを焼き尽くす劫火となりて 我が意志に従い敵を滅ぼせ・・・」
絶妙のタイミングで詠唱を終了するゼシカ
「行きますっ!フリード!ヤンガス!上手く避けてよ!」
掛け声と同時に左右にはじけ飛ぶフリードとヤンガス。
「メラゾーマッ!!」
二人の間をすり抜けるように灼熱の火の玉が敵にぶつかり、跡形もなく消し去る。

 一見見事な連携のように見えるが、戦闘終了後フリードがククールに問いかける
「いいのか?ククール・・・今のままで」
「ん〜?何だよ、俺の弓に何か問題あるわけ?」
戦闘が終わると、いつもの軽口で返すククールに、フリードが続けて問う
「いや、確かにお前の弓の腕は皆が認めるところだし、俺にも異論はない」
「だがな、どうしても無理をしているように見える・・・腰の剣を使わず弓を選んだ理由が・・・拘りがあるのか?」
目を伏せ、表情を曇らせるククール
「相変わらずお見通し・・・ってか?あんまり詮索すると嫌われるぜ?」
立ち去るククールを追おうとするフリードをトロデ王が引き止める
「まぁ待て、あやつにも譲れんものもあるのかも知れんて・・・ここは任せてくれんか?」 「陛下がそう仰るのなら・・・」
「うむ、そういえばこの前の洞窟で見つけた物を預けてもらってよいかの?ちと試したいものがあるんでのぅ・・・」
なにやら思いついたように笑顔を見せるトロデ王であった。






復活のレイピアへ


惑星飛行目次へ