「どうした、弱気じゃな『トローデン王国の猛き雷光』ともあろうものが」
トロデ王が近寄ってきた。
「昔の話です、その呼び名はやめてください陛下」
「そんな呼び名など・・・陛下や姫をお守りできなかった私には分不相応です」
うなだれたままフリードが答える。
「なんでも独りで抱え込もうとする・・・おぬしの悪い癖じゃ」
「確かにあやつ等は甘いところもまだまだあるじゃろう、しかしの・・・」
「おぬし、あやつ等を仲間と認めたのではないのか?」
「背中を預けると決めたんじゃろう、もう少し長い目で見てやれ・・・信じてやってもいいのではないか?」
空を見上げるフリード・・・満天の星空が広がっている。
「しかしこれは俺の、あの時何も出来なかった俺に課せられた使命だと今まで・・・」
「あやつ等もそれぞれ背負っているものがあるんじゃぞ?」
トロデ王が諭す
「ほれ、来たようじゃ」
川辺まで三人も降りて来ている。
「フリード、アタシ達仲間じゃない。全部一人で背負い込もうとしないでよ」
「一緒に行くでゲスよ、兄貴。遠回りでもいつかたどり着くでゲスよ」
「独りカッコつけるのは気に食わないぜ?」
「のうフリード、偶然か必然か・・・良い仲間が集まったのう」
頭から水をかぶりフリードが振り返る
「そうだったな、俺はお前達に背中を預けると決めたんだ」
「それに皆それぞれ背負うものがあったんだ・・・俺だけじゃなかったな、すまん」
やっとフリードの顔に笑顔が戻る。
「アタシだって、鞭も格闘ももっともっと鍛えるからさ、行こうよフリード」
「俺にもカッコつけるところ分けろってことさ」
「背負うものはみんなまとめて、一緒に担ぐでゲス。兄貴!」
「よし、明日から少し回り道してでも戦闘をこなしていくぞ、覚悟しろよ」
笑顔でフリードが声をかける。
「任せなさいって」
「華麗な弓の技を見せてやるさ」
「兄貴に元気が戻って良かったでゲス、アッシも頑張るでゲス!」
一行は今まで以上に強い絆を確かめ合った。
また明日から新たな旅が始まる。