深町正が中学時代から書き溜めた詩と小説を載せてます
136 「父親になるまで」
「父親になるまで」
日に日に変わる君の顔に、少し戸惑っているよ
お腹が大きくなってきたせいかもしれないけれど
「あっ、動いてる」と言ってお腹をなぜている時や
超音波エコーのモニターを見て医者の説明を聞いている時
君はもう母親の表情をしているよ
そんな君を見て、僕は微笑ましく思う反面少しくやしい
胎児のように君と一体になれないし
君のように親になる実感もない
鏡を見ても父親らしい顔には程遠い
男とは損なものだ
なんて考えている自分がとてもしあわせに思え
少し照れくさい
|