深町正が中学時代から書き溜めた詩と小説を載せてます

135 「妊夫」


「妊夫」

「できたみたい」という妻の言葉に
 一瞬、意味がわからず「何が?」と聞き返した。
なんともいえない妻の笑顔を見て
 言葉の意味にようやく気付いた。
この僕が父親になるなんて想像できないまま
 頭の中をかけめぐる不安や戸惑い
 それらを上回る言いようのない喜びが込み上げて来た。
おかしいもので、ほんの少し前までは
 街を行き交う若い女性に目をやっていたのが
  最近赤ん坊や小さな子に目が行ってしまう。
そんな自分が
 とても情けなく とても微笑ましく思える。
こうして親になっていくのだろうなぁ。
なりたくないけど
 僕も普通の親バカになりそうだ。


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