深町正が中学時代から書き溜めた詩と小説を載せてます

128 「ろくろの上の奴」


「ろくろの上の奴」

ぐるん ぐるん ぐるん
回転するろくろのうえで
ぐるん ぐるん ぐるん
粘土はどっかり腰を降ろし
ぐるん ぐるん ぐるん
まるで「どこからでもかかってこい!」
と言っているかのように私を睨む
私も負けじとにらみ返し
息を凝らして
指でゆっくり奴の頭を抑えつけていく
親指を奴の頭のてっぺんからぎゅっと押し込み
その穴を徐々に深く大きく広げていく
奴は抵抗しながらもゆっくり形を変えていく
しかし奴もしぶとくなかなか私の思うようにならない
私の力の入れ方が少しでも気に入らなければ
すぐにへそを曲げてしまう
気難しい奴だけれど相手にするのに不足はない
ぐるん ぐるん ぐるん
思いどおりとまではいかないが
ぐるん ぐるん ぐるん
なんとか形にしてほっとしている私を
ぐるん ぐるん ぐるん
回転するろくろの上で
粘土はどっかり腰を降ろし
ぐるん ぐるん ぐるん
まるで「もうおしまいか!?」
と言っているかのようにふてぶてしく私を睨む
私も負けじと睨み返す 

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