依頼に推理に情報収集…
探偵のお仕事も大変だけどまだまだ学生。

学校生活も大切なんです。


Secret Clover
〜Act.2.こんな日常〜


*四葉学園講堂の隠し部屋*

机に並べられた課題。
それに書かれた数式の羅列に課題の主は声を上げた。

「もうやだ〜!!!」

課題を放り投げる勢いで叫んだのは小等部5年生の水樹雪夢。
もう見るのも嫌だというように机の課題を自分から引き離すように向こうにやる。

「そんなこと言って、せっちゃんまだ全然進んでないよ。」

そんな雪夢に課題を見ていた同じく小等部5年生の湧月姫之。
ちなみに彼女の前には今日の宿題があり、着実に欄が埋まっていたりする。

「別にこんな問題出来なくたって生きていけるって!」
「だ〜め!勉強は学生の本分なの!」

隠し部屋は、SCメンバーの活動・情報の拠点であるがメンバーの集まりの場でもある。
そのため依頼がなくてもここで気ままに過ごすものも多く、2人もその類らしい
姫之の方は、依頼がない間に少しでも勉強をと思っているようだが雪夢はそうではないらしい。
机にぐってりと寄りかかったまま雪夢は、姫之をじと目で見る。

「大体なんで放課後まで勉強しなくちゃだめなのさ!」
「それは、水樹がおバカ過ぎて課題を出されたからやろ?」

そんな雪夢の後ろからひょっこりと顔を出したのは小等部6年生の漣稀有。
その後ろには中等部1年の水咲綺羅の姿があることからちょうど一緒に来た所らしい。
突然現れた2人にに雪夢は一瞬びっくりするが、すぐに言われたことに気付く怒り出す。

「俺様は、バカじゃない!」
「いや、毎回0点なのに言われても説得力ねぇから。」
「ないな〜。(笑)」

一生懸命否定する雪夢をさらりと交わし、からかい始める二人。
課題はそのままにドタバタと部屋の中でおっかけを始めた3人に姫之がさらに止める。

「せっちゃん!まだ課題終わってないでしょ!漣先輩と水咲先輩もからかわないで下さい!」

課題が終わらなくて困るのは雪夢自身だ。
だから、姫之は必死で止めるが当の3人はどこ吹く風。

「も〜、課題なんていいじゃん!俺様はこっちに必死なの!」
「そうそう、わからんもんをいくらやっても無駄やって。」
「課題は、明日にでもクラスの子に見せてもらえばいいんじゃん。」

もはや課題をする気は本人は0だし、稀有たちそれでいいと言い出す始末。
いい加減必殺技の『勉強しないと泣いちゃうぞ』が出るかと思われたが、それは意外な人の出現でなくなる。

「へぇ…それを教師である私の前で言うのかしら?」
「げっ!神崎先生!いつからいたの!?」

少し咎めるような目で3人を見るのは保険医(研修)の神崎侑輝。
研修生で保険医とは言え、仮にも教師の出現に今まで騒いでいた3人がぴたりと止まる。

「いつからって失礼な。ちょうど水樹が『大体なんで放課後〜』ぐらいからかしら?」
「ほとんど最初からじゃん!いるならいるって言おうよ!」

驚く4人に冷静に返す侑輝。
どうやら大分前からいたらしい事に雪夢は突っ込むと、侑輝は少しむっとしたように眉を寄せる。

「私がここにいても不思議じゃないでしょ。」
「でも、もっとどばっと存在感を出そうよ!ここにいるんだぞオーラを!」
「無理を言うのは止めなさい。そもそも、なんで…ん?」

ここにいるんだぞオーラってどんなオーラなのか。
焦っているのか天然なのか、とんでもない注文を出す雪夢に侑輝は脱力しつつ何かを言おうとしたとき横にあった扉が開いた。
誰か来たのかと全員が視線を向けると資料らしき束をもった中等部1年の横山夏樹と月代音夢がいた。

「こんにちわ…あ、今日は随分沢山おられるんですね。」
「…勉強会…ですか?」

中にいる4人に頭を軽く下げて入ってくる二人。
そのまま4人の横にある机に資料を置きつつ、音夢はそこに並べられた課題の山を指出す。

「勉強会って言うか…せっちゃんの課題なんです。」
「って言っても、全然進んでないみたいなんだけどね。…二人は、資料集め?」

勉強会も何もさっきからの騒ぎで課題はまったく進んでいない。
困ったような顔をする姫之の頭をぽんぽんと叩きながら、侑輝は笑いながら二人を見る。

「…今度の依頼の裏付け…です。」
「えっと…明日までにまとめて直接行く人に渡す予定です。」

どうやら次の依頼についての資料らしい。
侑輝の言葉に2人は書類をひらひらと見せながら素直に頷く。

「でも、課題なんてどうしたんですか?」
「宿題ならわかります…けど…小等部で課題…なんですか?」
「ぐっ、そ、それは…(汗)」

でも、小等部の雪夢に課題が出た言葉不思議に思ったらしい。
不思議そうに二人に尋ねられ雪夢が言葉に詰まっていると、その隣から姫之が困ったような顔をした。

「せっちゃんが連続で宿題を忘れるから先生に遂に課題を出されちゃったんです。」
「のわっ!ば、ばらすなよ!」
「ばらすなって…そもそもせっちゃんが勉強しないのがだめなんだよ!」

どうやら課題は、宿題忘れの罰らしい。
あっさりばらされて怒る雪夢に姫之も負けずと言い返し、また状況は戻る。

「あわわ…ど、どうしましょう?」
「……(汗)」

そのやり取りに夏樹はおろおろし始め、音夢は困ったような顔をする。
その間にも二人の言い合いはヒートアップし、稀有と綺羅・侑輝ももはや傍観に徹するのみ。

「で、でも、確かに宿題はする時間がないですし…そ、そうだ!月代さんは宿題とかどうしてます?」

おろおろとしながらも話を換える為に音夢に話題を振る夏樹。
本人はフォロー&話題転換を計ったつもりなのだが、べたべたかつかなり無理があった。
しかし、振られた当の本人は少し考えたような顔をした後素直に思ったままを告げる。

「次の休み時間で…終わらせます。」
「…へっ?」

予想外の音夢の答えに固まる夏樹。
他のメンバーも呆気にとられているが音夢は構わず言葉を続ける。

「休み時間でやれば…後は、こちらの仕事に集中…できますから…」
「で、でも、沢山の課題が出たときはどうするんですか?」
「………終わり…ません?」
((((((いや、終わりません?って聞かれても…/汗))))))

正論かつ合理的だがかなり突飛な意見に今度こそ周りは固まる。
そんな動かなくなった周りに終わったと思い安心した音夢はそのまま資料のまとめを始める。
のんびりと目の前で資料を見ている音夢に侑輝は、なんとも言えない溜息を付いた。

「……ま、とにかく元気がいいのも結構だけど課題ぐらいはちゃんとしなさい。」
「うん…」

頭をポンポンと叩かれつつ雪夢は頷く。
そして、黙って座って課題を始めると他のメンバーも各々の仕事に戻っていったのだった。


ちなみに結局課題は次の日に持ち越しになったのだった。(終わらなかった/笑)


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*アトガキ*
…前回に比べてかなり長いです。(汗)
ドタバタと学生らしさを出そうとしたらこんな長さになってしまいました。
しかも、このおち…どんなもんでしょう?(爆)
なんと言いますか、脱力系のおちですみませんでした。
次はもうちょっと頑張ります。

2004/05/19