任務遂行後のちょっとした休憩時間。
いつも一生懸命頑張っているのだから…

たまにはこんな日もいいでしょう?


Secret Clover
〜Act1.そんな日常〜


*PT学園in屋上*

偶然任務でPT学園を訪れたSCメンバー2チーム。
意外に早く任務が終わり、偶然鉢合わせしたメンバーはまだ学園に帰るには早いからと屋上で休憩するこちになったのだが…
明らかに休憩以外の事をしている者がいた。

「跡部様…素敵です…(うっとり)」(パシャパシャ)

屋上の金網越しに微かに見える跡部に向かってうっとりとしている四葉学園中等部3年の風間知美。
自他共に認める跡部信仰者である彼女の手にはしっかりと望遠レンズ付きのカメラが握られており、ものすごい勢いでシャッターを切っている。
ちなみにそんな彼女の特技は跡部の隠し撮り写真を撮り収集する事なのだからかなりアレな感じである。
そして、その隣では智美の戦友である四葉学園中等部3年の上原なつきも愛しい鳳に向かってエールを送っている。

「チョタかっこいい!鎖骨最高!!!」
「智美、隠し撮りは犯罪。なつきもどうしてこの距離で鎖骨が見えるのよ。(呆)」

そんな二人に心底呆れたように突っ込むのはとりあえず同じく戦友である中等部2年の宇佐美香奈。
視線をおろせば確かにテニスのコートが見えるし、ジャージの色で誰だかはなんとなく分かる…
でも、はっきり言って
普通は鎖骨は見えないし、第一盗撮犯罪である。
だが、二人にとってはそうではないらしい。

「違うの!これは跡部様の素晴らしさを記録してるだけでしょ!隠し撮りじゃないの!」
「断じてただの隠し撮り。しかも、それ学校の備品のカメラ。あんたのじゃないし。」
「もう、チョタの鎖骨なら何百メートルでも可だよって、言うかうなじもラブーー!!!」
「普通無理…と、言うか何時まで休憩する気なの?(…って言っても、聞いてるわけないないか。)」
「「キャーvvv跡部様(チョタ)ーーーーーvvvvv」」
「人の話し聞きなさいよ…(やっぱり)」

恋は盲目とはよく言ったものである。
愛しい男のためなら犯罪も人間としての能力も軽く超える二人の友人に香奈は生暖かい視線を送り諦めたのだった。

…と、言うか
もうどうでもいいっぽい。

しかし、一方ではその光景に飽き飽きしている者たちがいた。
中等部1年の黄色雛と小等部6年の真笠巳翔茶の2名である。

「「夢叶先輩!暇(や)〜!」」

見るからに元気印の二人にとっていい加減大人しくしているのがイヤになったらしい。
据わっている足をぶらぶらさせつつも声を揃えて膨れている二人に隣にいた高等部1年の姫崎夢叶に訴えた。

「あらあら、雛ちゃんも翔茶ちゃんも突然どうしたの?」
「だって、もう十分休んだから暇何やもん。跡部見ても楽しくないんやもん!」
「そうそう、風間先輩たちはあちょべたちに夢中だし!(ぷぅ)」

そんなに大人しくしているのがそんなに嫌なのか。
それとも単に跡部を見ているのが嫌なのか。(この二人は揃って跡部が苦手です)
コンクリートの床をぺちぺちと叩きながら必死訴える可愛い後輩に夢叶はほがらかに笑う。

「くすくす、別にゆっくりする事は悪いことではありませんわ。」
「あたしじっとしてる嫌いー!!!あ、そうだ!なぁ、翔茶!あたしとどっちが高く飛べるか競争しよ!」
「いいけど。じゃ、負けたら帰りせんべいおごれや?」
「あたしが勝ったらアイスね!負けないよ!」

とりあえず宥めては見るもののまったく効果はない。
結局はその場で退屈しのぎをすることにしたらしく、今日のおやつをかけて勝負しだす。
目の前でぴょんぴょんとジャンプ力を競い合う二人の姿はどこか可愛い。

「あらあら、お二人とも元気ですわねv本当にお可愛らしいですわvvv」

その様子をたぶん審査員になってしまったのだろう夢叶は上機嫌で眺めている。
なんだか騒がしいと言うかほのぼのというか、微妙な雰囲気を作り出す3人。
そんな三人を少しはなれたところから高等部1年の霧生杏弓は見ていた。

「可愛いって言うか…ちょっと騒がしい?ふぁ〜…(眠いな〜。)」

観察しながらも大きなあくびをする杏弓。
どうやら、任務の疲れと日差しの暖かさで眠くなったようだ。
うっつらうっつらと座ったまま船を漕ぎ出した杏弓に気づき隣で本を読んでいた中等部1年の飛鳥怜は声をかけた。

「?あれ?霧生先輩、あくびなんかして?ひょっとして眠いですか?」
「ん〜、ちょっと…」
「あ〜、確かに良い天気で気持ち良いですもんね。」
「ほんとに…って、なんだか本格的に眠くなっちゃった〜。ん〜コンクリ痛いから膝かしてくれる?」

そう言いながらもよほど眠いのか返事を待たずに怜の膝に近づく杏弓。
それに苦笑しながら怜は自分の膝を開け渡す。

「俺の膝でよければいくらでもどうぞ。」
「ん〜、ありがと〜。お休み。怜ちゃん。」

礼の膝を枕にしてころんと杏弓は横になる。
そして、そのまま膝の上で眠りに入る杏弓を見届けてから怜もまた本に視線を戻す。
その姿はどことなく親と保護者のようだった。

「…………(帰ろ)」

その光景をなんとなく見ていた中等部2年の東世々巴は無言で立ち上がる。
どうやら、集団行動を好まないことも相成ってそのまま帰ろうしているようだ。
屋上の入り口までもうちょっとと言うところで両サイドからか出てきた影によって阻まれる。

「あー!東っちが人で勝手に帰ろうとしてるー!」
「ダメじゃん。東っち、任務は学校に帰るまでチーム行動なのに!」

大きな声を上げながら突進してきた二つの影。
そう言いながら世々巴の右腕を掴む中等部1年の飛鷹勇利と勇利に便乗して左腕を掴む中等部3年の虎累雷紀。
二人は逃げられないように世々巴の両腕をがっちりと掴かんでいる。

「…離して…(ちっ、見つかった。)」
「東っち!個人行動ばっかしてると怒られるぞ!」
「…そんなの私の勝手…だから、離して…」
「あー!ライ!東っちがなにか寂しい事言ってる!」
「…寂しくないから離して…」
「そんなこといわねぇで。俺たちと遊ぼうぜ。東っち。」
「…(もう、とめてもだめだこいつら)」

話を聞いているのかいないのか構い捲くる二人。(十中八九聞いていない)
もう何を言ってもダメだと判断した世々巴は諦めたように溜息を付いた。

「「東っち!」」
「…うるさい…」


休憩できているのか、できていないのか…
この騒ぎはしばらく続いたのだった。

ちなみに結局、学校に帰れたのは夕方のなってからでした。


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*アトガキ*
やっと、オリキャラが登場しました。メンバーの日常です。
今回は任務終了後ぐらいでしょうか?(聞くなやι)
こんな感じでとりあえずキャラたちを書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。

2003/10/09