今だ見付からない手がかり。
足取りもまったく見えないこの状況。

猫はどこへ消えた?


Secret Clover
〜依頼1、消えた猫を追え⑥〜



*ダイアゴン横丁公園*

ばらばらに捜査し始めてから2時間。
やってきたタイムリミットにメンバーは集まったが、その表情は優れない。

「あ〜、その調子じゃ…」
「お互いだめだったみたいだね。」

お互いの表情に苦笑いする香奈と麻実。
あれから全員ダイアゴン横丁中を駆け回ったが手がかりらしい手がかりはなし。
いつも元気な翔茶まで落ち込んでいる。

「えっと…あ、そうだ!手がかりじゃないけどちょっと気になることあるな!」

どことなく重い雰囲気に耐え切れなくなった空良。
その空気を払拭するように元気よく挙手をすると注目が集まる。

「気になること?」
「うん、実は私たち捜してる途中でロキ君に会ったんだけど…ちょっと気になることを言ってたの。」
「ロキ君?…あぁ、探偵やってる杏弓先輩のおとーとさん。」
「そー、ロキ君ってちっちゃいけど探偵としては凄いの。」

どうやらさっき会ったロキたちの事を話すつもりらしい。
ロキの探偵としての評判を聞いたことがあったメンバーは興味を持ったようだ。
続きを視線で促すと聞かされたことを探し出す。

「ロキ君がね。今から大体2時間後ぐらい?に猫は見付かるって…」
「…なにそれ?2時間後って部分は妙に具体的だけど言ってることはさっぱりだわ。」
「ひょっとしたら実は猫はこの公園におるとか?2時間後ってちょうど集合時間やん!」
「う〜ん、ロキ君とあった時点で40分ぐらい時間経ってましたよ。」

ロキが残した謎かけのような良くわからない言葉。
翔茶が周りをキョロキョロと見渡すが、雪兎の言葉から考えれば後30分以上あることになる。
しばらく考えるがまったく答えの欠片すら見えない。

「…まぁ、わからないけどこれはこれで頭に置いておくとして…香奈たちは何かないの?」
「私たちは、猫探し中十二支と依頼人に会ったよ。」
「向こうも自分たちなりに必死に捜査してみたいだけど…全然、情報はないみたいだ。」
「商店街の近くの空き地で見た人もおったらしいけど、昨日じゃ意味ないしな。」

とりあえず言ったん諦めて香奈たちの方になにかないか問うが、色よい返事はない。
情報は情報だがお互いにあまり現状を打破する有益な情報とは言えず、いきずまってしまう。
捜査続行決定にあさみは溜息を付きながら時計を見ながら言った。

「…またこれから捜査開始だね。じゃ、待ち合わせはこれから1時間後ぐらいでいい?」
「えっ!?別にこのままいってもいいじゃん!」
「それは、あんただけでしょ…あんた意外は全員制服なの。下手したら補導されるでしょうが!」

いくらSCといっても遅くに町にいれば補導に引っかかる。
制服を着替えるための一時解散にちょっと不服そうな私服の綺羅の頭を香奈は軽く叩く。
そして、メンバーは軽く挨拶をするとそれぞれ一時家に向かった。

「…でも、本当に猫どこに行ったんだろ?」

岐路に着きながら香奈は一人溜息を付く。
手がかりもなければ情報と呼べるものもない…難航している猫探し。
思わず溜息をつくのも仕方ない事だった。

ガチャ
「ただいま〜…って、誰もいないか…」

重い足取りで家に入る。
まだ両親は帰ってきていないのか、家は静かだった。
薄暗い玄関に電気をつける。

「…とりあえず服を着替えて親に書置きして…」

とりあえず時間はまだ余裕がある。
そのままこれからすることを考えながらリビングにつくと鞄を適当に置いた。
そして、冷蔵庫からお茶を出して飲もうとした瞬間。


「香奈〜!!!ちょっと聞いてくれ!!!」
「わっ!?」


どでかい声が家に響いた。
思わず手に持っていたコップを落としかけたのを間一髪で拾うことに成功した。
…ただし、中に入っていたお茶はこぼれた。

「香奈!帰って来てるんだろ!香奈!」
「…うっさいわね一馬!でかい声出してないでとっと入れば!」

どうやら声の主は玄関にいるらしい。
でかい声で自分の名前を連呼するのはよく知った幼馴染で、香奈が怒鳴るように呼ぶと中に入ってくる気配がした。
玄関で騒いだくせに律儀に『お邪魔します』と言う声が聞こえたのは彼らしいといえるだろう。

「まったく…突然来てなによ。おかげでお茶こぼしちゃったじゃない。」
「香奈!ちょっと聞いてくれよ!大変なんだよ!」
「なに?また結人にでもからかわれたの?それとも英士に図星指された?」

—— 今日は猫探しで忙しいの!
口に出してはいないが、一馬を構ってやる時間は今日ははっきりと言ってない。
超バットタイミングで現れた幼馴染についつい口が冷たくなってしまうのも致し方ないといえる。
いつもならこんな時は一馬の方が察して帰ってくれるのが今日は違った。

「いや、そうじゃないんだって!頼むから聞いてくれ!」

やけに焦った口調で引く気がない。
彼らしくない対応に思わず床にこぼれていたお茶を拭く手を止めた。
後ろでは、一馬が一生懸命説明をしようとしてる。

「こいつなんだか変なんだよ!」
「は?こいつ?こいつって言われたって…わか…な…」

後ろを振り向いて一馬の姿を見た瞬間。
その腕の中のものを見て、香奈は雑巾を持ったまま固まった。



「実は、今日ちょっと試合の帰りにダイアゴン横丁に寄ったんだ。」

それもそのはずだ。


「そこで偶然こいつに見かけてさ…近寄ってきたんだ。」

切れ目の入った耳。


「人懐っこいやつだなぁって思ってなでてたんだけど…」

大きな黄色い瞳。


「そしたら、こいつ俺の取れかけてた袖ボタン飲んじまって、はかねぇし…」

でも、片方の瞳は瞑ったまま。


「とりあえず親に金貰ってから病院に連れて行こうと思ってつれて帰ってきたのはいいんだけど、親いねぇし…」

茶色いしましまの小さな体。


「それで待ってたらさっきまでぴんぴんしたのに急になんか苦しみだして…」

一馬の腕の中で息苦しそうに丸々それは…


「そしたらちょうどお前のうちの電気がつくのが見えて…

皆がこぞって捜していたチャトラの猫だ。





「俺、どうしたらいいんだよ!香奈!」
「私が知るか!」






おろおろする一馬に怒鳴った香奈は知らない。
ちょうど今が、ロキの言っていた『大体2時間後』の時間だった事を…



猫発見…至急応援も求む。



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*アトガキ*
はい、猫探しの6話目です。
遂に行方がわからなかった猫が発見されました。
猫を連れて行った青年とは、真田一馬君だったのですが…ちょっとへたれ過ぎましたかね。
幼馴染ってこんな感じでしょうか?自分で書いてて微妙です。
そして、この話はここで続きます…次で事件も終盤という事でしょうか?
…が、頑張って完結させます!

2004/07/02