嘘吐きは泥棒の始まり。
……嘘だってばれなければ泥棒じゃあ無いのでしょーか…。


<嘘吐きはドロボーの始まり> 後編


「取り合えず……椎名センパイとか呼んだほーが良いんじゃねーっすか?」
「そーねー。後はー…風間先輩とか?!」

四人で道場を出て、
取り合えず姫ちゃんの家へ向かった。

「なー!ショータと寺崎先輩は如何思う?」

でも、俺様と空良先輩が話している間、
翔茶と先輩は呆れたような顔でぼっーと空を見て居た。

「んー…雪夢ちゃん。悪いんだけど…。」
「その人達、呼んでる暇、無いみたいやで、」

次の瞬間、ショータと先輩は、
竹刀を握っていた。
そして俺様は、誰かの手の中に。

「?!先輩、?ショータ?!ってかお前誰だ?!」
「いややわーお兄さん。……ストーカーなんて…悪趣味やでぇ?」
「しかも小学生の女の子を二人も人質にするなんてねぇ?」

そうか、俺人質になってしまったのか。
思考が働くのが随分と早かった気がする。

「……って……姫?!」
「あ、せっちゃん。」

隣を見ると、
其処には姫之。
俺様と同じように、
黒尽くめでいかにも怪しいって格好の人に
捕まっていた。

「あ゛—!はーなーせ!離せ!離せよ!」
「動くな餓鬼が!」

ひんやりとした物が首に当てられた。
それは姫之の首にもある。
——ナイフだ。

「っ…?!」

……しかも見た所良く磨いてあって、
切れ味も良さそう。
…ちょっとでも動いたら終わりかー…。

「あー…雪夢—。姫ちゃんー。取り合えず動くなやー。」
「直助けてあげるからちょっと動かないでねー!」
「……あの人達…何処かで…?…確か…うーん…。」

三人が何か言っていたけれど、
自分の耳には入ってこなかった。
——早く逃げなければ。
——如何すれば逃げられる?
そんな事しか考えることが出来ない。

「あ…。」

綺麗な一本の光が、
頭の中を駆け巡った。
そうか、そうすれば良いんだ。
後のことを考えるより、
体が先に動いていた。

「ぅわっ、?!」

力の限り、
犯人の腕を噛んだ。
血が少し出てて鉄の味がしたけどお構いなし。
そして、手に持っていた、
赤い光の出る玩具の銃を、
犯人の目に向けて— —撃った。

「「「な…?!」」」
「ぐ…!」
「寺崎先輩!ショータ!」
「「…あ!」」

その後あったことは、
よく覚えてない。
確か、寺崎先輩が竹刀で犯人を倒して、
ショータが俺様と、姫を犯人の傍から離した……。
…後は…気絶してたから…全然記憶に無いのだ。

— — — — — — — — — — 

「おーい。雪夢—。」
「雪ちゃーん。」
「雪夢ちゃんー!」
「早く起きてー!」
「ん…うん?」

目を覚ましたら其処は、
学校の保健室だった。
……学校の?

「なぁ何で学校…?」
「んー犯人警察に突き出して、」
「西園寺せんせーに事情を説明して、」
「学校に居なくちゃいけなかったら、」
「保健室を借りたの。」

あぁそうか。
犯人、捕まったんだ。
安心して、
ふぅと溜息が出た。

「そー言えばあの犯人な、
 僕と空良先輩の口封じのために、二人を人質にとったんやて。」
「へ?」
「私、どっかで犯人見たことあるなー!って思ってたの!
 そしたらやっぱり!本屋さんで見たことあったの!」
「え?」
「んで、あいつ等、強盗しててん。本屋でな?
 そいで、現金—…一千万位盗って、逃亡してたんや。」
「それで、その時たまたま本屋に居たから、私達犯人のマスクの下の顔、見ちゃったの!」
「で、本当にたまたまさっき僕達を見つけてー。」
「私達に声をかけようとしてた、姫之ちゃんを人質にとったって事らしいの!」

……途中で、本屋を強盗する犯人なんて居るんだなーって思ったけど、
今はそんな考え、出てきた瞬間、ぱっーと消えていった。
姫に謝らなければいけないから。

「姫…あの、な…?」
「どうしたの…?……あー!」

今日は、翔茶&空良先輩といい、今の姫といい、
良く叫び声を聞く日だなーと思った。

「あのね!さっきの銃のヤツ!かっこよかったね!
 あれ、必殺技?!すっごくかっこよかったよ!」
「…え?…あ…うん。」

ちらりと後ろを見ると、
保健室から出ようとしている3人。
しかもニヤニヤ笑ってる。
…もしかして、知ってたのか?
…つまりは…確信犯…?!

「ちょっ!三人とも待った!」
「何言ってるん?いい好機やーん!」
「そうそう!心配事なくなったんだし!」
「二人で少し、仲良く話しててね!」
「「「ごゆっくりー!」」」

バタンッ!
扉が閉まった。
……いや…女の子とごゆっくりって…。
俺も女…。
でも、今日ぐらいは良いだろう。
今日ぐらい、今だけでも、嘘吐かなくても良いだろう。


嘘吐きは泥棒の始まり。
嘘を吐いたら、
きっと自分のところに跳ね返ってくるだろう。
…でも…正当防衛の嘘なら…吐いても良いかな?

— — — — — — — — — —

Back. or DreamTop.

後書き…
あああ…。
やっぱり最後のところだけ意味が分からなくなっしまいました…(最初の方もですが…
和泉様、風夏様、失礼しましたー!

コメント
これも1つのハッピーエンドでしょうか?
雪夢ちゃんの悩み(?)も晴れたようですしね。
可愛らしいお話ありがとうございました。
次の投稿もう心よりお待ちしています。