33th key
元の街に戻ってすぐにラブラブカップル×2はさっさとどこかへ行った。
そんな2組のカップルには興味のない俺達は、戻ってきた事に
ちょっとした感動を覚えていた。
「ふあー着いた着いた。」
「疲れた〜。」
「さてと、帰るか。」
そう言う兄貴。
オレも、兄貴と美奈先輩と、帰ろうとした。
「あ、あのっ!」
誰だ?
そう思って振り向くと、
そこには枸子がいる。
枸子がそういう呼び止め方をしたのは初めて。
今までは「か〜いと?」とか、「枻杜——?」だったのに。
「コレ…」
そう言って枸子は俺に小さな紙を手渡す。
「?」
オレが紙を受け取ると、兄貴と美奈先輩は、、、
「私達、先に帰るからね。」
そう言って、どこかへ行く。
オレは、枸子からもらった紙を開く。
—もう少しでいいから、
枻杜といたい。—
オレはビックリする。
当たり前だろ?
オレは妙に緊張しながら、
どこに行く?と聞く。
「じゃ・あ、私の、家で。」
歯切れ悪く話す枸子。
家に着くまで俺達には会話が
あまりなかった。
枸子の家も久しぶり。
オレは枸子から紅茶をもらった。
「さ、サンキュ。」
「う、うん。」
…
「「あの!」」
そうやって二人同時に口にする言葉。
さて問題だ。
どちらが先に言うか。
「枻杜からでいいよ?」
「いや、枸子からで…」
そんな押し問答が続いて、
結局オレからになる。
「で、何?」
「うん。その・・・ごめん!」
枻杜の口から飛び出したのは、
予想もつかなかった言葉だったけど、
意味は判った。
きっと、今朝された、キスの事だろう。
「本当にごめん!!
ごめん!」
「今朝から謝ってばっかりだよ。」
「…。」
すねた?
「だから!なんでも!言うコト聞くから!
絶対に約束したら、破らないから!
だから…。」
だから、許してくれってこと?
「なんでも?」
「なんでも。」
「何個でも?」
「何個でも。出来る限り。」
「絶対に、約束、守ってくれるの?」
「もちろん!一生。」
「ずっと…っ」
泣いちゃうけど、いいよね?
これは、すごく画期的な事で、
私の中では、一番怖いコト。
だけど、大丈夫だって言ってる。
「ずっと、ずっとずっとずっと、、枻杜と、、いたい。」
それが、私の出した結論です。
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