31th key



朝起きるとなぜか騒がしい気がする。
まさか、また何かあったのか?
ガバッと起き上がる。
すでに兄貴も美奈先輩もいなかった。

ふと気づくと、今日の午後3時、ココを出て
元の町に戻る。
そんな日になっていた。


すぐに着替える。
嫌な予感がするんだ。

「兄貴!」
「枻杜っ大変だ!」
オレを見つけて兄貴はオレに走り寄る。
「枸子だな?どうしたんだ?!」

すると、美奈先輩が戻ってきた。
「だめ!やっぱりホテルの中にはいないっ!」
「先輩!どういうことですか!」

「コレ。」

そう言って手渡されたもの。
手紙だった。
枸子からの。


ごめんなさい。行きたい所があります。
ずっと行けなかったけど、行かなければならないところがあります。
少し遠いので、出発までに帰れる自信がありません。
だから、先に帰っていてください。
帰る時は、気をつけてください。
皆、大好きです。

水島 枸子



「枻杜君!」
そう呼ばれたのは、俺が走りだしたから。
枸子が、危ない。いろんな意味で。
それは、ずっと側にいたオレだから…


そう。オレだから判るコト。

「枻くん!おっはよー。」

立ちふさがる伊織。
決着をつけるときは、きた。

「ごめん!伊織!オレは
 オレはやっぱり、お前と付き合うことは、出来ない!
 ごめん!」

そう言って走る。
伊織はもう追ってはこなかった。


—わかってた。わかってたよ。
 どんなときでも
 あの人の事を考えていたあなたのコト。
 わかっていた。
 ありがと。
 さようなら。枻くん。—



ふと海を見る。
海の結構沖の方に、
たった一つの黒い点。
—まさか!—


砂浜へ急いで向かう。
間違いない。
人だ。
そして、間違いない。
あれは、枸子。


「枸子!」
オレが叫ぶと枸子は1度振り向き、ハッとした様に沖へ急ぐ。
もうすでに肩まで水に浸ってる。
「枸子!」

もちろんオレも入っていく。
愛する人がに死にたいと、そう思わせた原因を作ったのは、俺だから。

「枸子!」
オレの叫び声を無視して枸子は沖へと入って行く。
浮き始める枸子の体。
枸子…
枸子っ…
枸子!!

ガシッ
「やだ!離して!」
オレはひとまず嫌がる枸子を足が立つ位置まで連れて行く。
本当はすぐにでも砂浜に連れていきたいが、
また入るのは目に見えてるから。


「離して!離して!!」
「どうして・・・どうしてだっ!枸子!」




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