27th key
—枸子?—
「枸子?!枸子!」
近くで声がした。
土砂降りの中でも聞こえるくらいだから、
相当近い。
「やめてっ!」
また聞こえた。
どこだ?
「枸子——————!」
声が、した。
枻杜の声。
枻杜の、声。
「枻杜———————————!」
「枻杜?お前、まさか・・・」
やばい。
本当に。
「いやああっ!」
「枸子!」
間違いない。
この下。
このちょっとした崖の下の所に、枸子はいる。
「枸子っ」
「ちょ。枻くん!危ないよ!」
「枸子!」
「枸子!!」
オレは崖を滑り降りる。
後で考えると雨ですっげぇ危なかったけど、そのときは、そんな事を気にしていられるほど
余裕はなかった。
「枸子!」
洞窟を発見してそこに入る。
枸子の上に乗っかる、
一人の男。
頭に、血が上った。
「枸子!」
オレは枸子を助け出す。
枸子はオレの後ろで、震えていた。
「貴様が枻杜か。」
「それがどうしたお前!」
「貴様はその子につりあわない。
現に貴様はオレがこの子を誘拐する手助けをしてくれた。
なんていったって、
貴様が女とどこかに行ったから、その子は一人でホテルへ向かった。
人通りのあまりない道で、ホテルへね。」
「うるせぇ!」
「俺とその子は愛し合っているんだ!」
「ふざけた事言ってんじゃねぇよ!
枸子は!
枸子はもう傷ついちゃ!いけないんだ!!」
オレはそいつに殴りかかろうとする。
そしてそいつは諦めたのか、オレから逃げて、崖を上る。
「待て!」
上りきって、どこかに行ってしまった。
追いかけたいが、枸子を背負ってこの崖を上るのは無理がある。
何より
枸子を休ませたい。
キサマハソノコニハツリアワナイ
キサマハオレガソノコヲユウカイスルテダスケヲシテクレタ
キサマガオンナトドコカニイッタカラ
ソノコハホテルヘムカッタ
ヒトドオリノアマリナイミチデホテルヘネ
すべて、オレのせいだ。
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