25th key
—拘子?—
—拘子?—
—だれ??—
—拘子。—
目の前にいる人たちの前にかかっていたもやが、消えた。
ー依子!裕くん!!−
私は二人に駆け寄り、抱きつき、涙を流す。
—依子〜〜裕くーーん!!—
—1人にして、ごめん。—
首をよこにふる。
わかってた、二人は悪くないこと。
わかってた。私は悪くないこと。
わかってた。もう会えないこと
わかってた。どうしようもないことを。
だけど
だけど認められなくて
ずっと来た。
認めたくも、なかった。
—でもごめん。すぐに消えなきゃいけないの。だけど、どうしても
どうしても言わなきゃいけないことがあったの—
ーな・・に?ー
—今日、朝ごはんを食べた後、絶対に、絶対にだぞ?—
—う・・・ん—
—絶対に一人にならないで。お願い。—
その言葉を私につげると、二人は薄くなっていって・・
「—待って!—」
気づくと私は涙をながしながら空に向かって手を伸ばしていた。
きっと待って。とも叫んでいる。
「ん・・」
その声のせいなのだろう。美奈が起きてしまった。
きっと、ただの夢。
そう。なんの変哲もない。
ただの夢。。
ホテルの中で食事をとるときだけは、いつもどおりの日常だった。
そして今日もまた、4人で出かけようとして、しばらく歩いた時
「枻く〜ん!」
そういっていつもどおり走ってくる伊織さん。
そう。いつのまにか、これが当たり前の日常になった。
私の当たり前は、もうココにはない。
「今日はねぇ、絶対に、枻くんをつれてきたいところがあるの!いくよ〜ん。」
「わっちょ!伊織!」
そうしていつもどおり。
そう
いつもどおり、去っていく枻杜。
「あったまきた!」
「本当!」
「連れ戻そうぜ。今日こそ!」
「うん!」
「やめよう?」
「え?拘子?」
「やめよう。ね。私も今日はこれを機会にホテルに戻るわ。」
「え・・・拘子。最近ずっとそうじゃない?
遊びに行こうよ〜〜。」
「ごめん。疲れちゃって・・・あ!写真撮ってきてもらえるかな?」
「え・うん。」
カメラだけ渡す。
そして手を振って、ホテルへ向かった。
最近拘子と一緒にどこにもいってない。
拘子は俺に会おうとしてないから、
拘子の姿も見るのは1日2回。
朝と夕だけ。
それ以外はずっと伊織を見ている。
見させられている。
ホテルの前で俺は兄貴と美奈先輩を見た。
拘子がいない。。
聞きたかった。だけど、おれをしれーっっとした目で見ている二人に俺は聞けなかった。
「・・・。」
仕方なく二人についていく。
「で?」
「ん〜?」
「なんでお前がいる?」
「ホテルの中って喫茶店っぽいものがあるでしょう?
そこでご飯食べようと思って。」
・・・。最悪だ。
「俺はいないから、一人で食えよ。」
「ちぇ。」
今日こそは、拘子にあって、話がしたい。
俺は兄貴の後ろにつく。
「4505の鍵をください。」
「はい。・・・おまたせしました。」
兄貴の手に渡された鍵は2つ。
「え?なんで二つ?」
「え、隣のお嬢さんは4504ですよね?」
「?はい。」
美奈先輩は4504の鍵を手に少し考えて、
とんでもないことを口にした。
「拘子は?!拘子は?!!戻ってないんですか!!」
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