23th key
どうして?
どうして想いが、あふれる?
どうして?ねぇどうして?
どうしてこんなにも苦しい…。
どうしようもできなくて、座り込んで頭を抑えて目を閉じて丸くなる。
「拘子?」
枻杜。
そうだよ。私。
枻杜がいるよ、一人じゃない。
美奈だって、いる、、先輩も。
わかってる!
わかってるけど!
でも!!
どうして?
今までも確かに思っていた。
だけど、こんなにもぶり返すなんて
初めてのことで
いやな予感がする。
「拘子。どうしたんだ?拘子?!」
あぁ。もう、とまらない。
「っ・・」
顔を抑える。
見られたくない。見られちゃいけない。
「拘子?!」
でも、勘のいいあなたのことだもの。すぐに気づく。
原因さえ、あなたはわかる。
そうでしょう?
「ごめんな。俺・・・」
枻杜は何も悪くない。
「拘子の支えになりきれてない。」
なってるよ。
「拘子の、支えになりたい。」
なってる。わかってる。
「拘子、わかってると思うけど、俺がいるし、先輩も、兄貴もいる。」
わかってるよ。でも、
「わかってるのにどうしてって思っちゃいけない。」
どうして?ねぇ
「無理だけは、しないでほしい。」
どうしてって思うことが、無理してること?
それとも昔を思い出して精神力を使うのを無理してること?
それとも、泣いちゃいけないって思って、我慢すること?
でも、わかった。
無理しないように、気をつける。
ありがとう。
言葉にはできないけど、
ありがとう。
「もう、大丈夫か?」
「・・・ん。あの、」
「わかってるから、言わなくていい。」
「いってみて?」
「ありがとう。だろう?」
「うん。」
ほらね、
やっぱりわかってくれる。
依子や裕くんみたい。
すごいよ。
二人に近づいてる。
ねぇ、
もうすぐだよ。
でも怖くて、いえないし、考えたくもないんだ。
もう二度と、大切な
大切な大切な大切な人が私から離れていくのは
嫌だから…。
それからすぐに美奈先輩たちが帰って来て
私たちに正式に付き合うことになったと伝えてくれた。
私はよかったねって言って美奈と喜び合っていて、
枻杜は先輩と、がっちり握手をして(笑)またこちらもじゃれあっていた。
平和な日常が、幸せな日常になった瞬間。
でも、その幸せな日常は、長くは続かなかった…。
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