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「わっ。」 枸子は人並に、もまれ、転びそうになった。 「枸子っ!平気か?」 枻杜はすぐ手を差し伸べてくれた。枸子はそれをつかんで答える。 「ありがと。平気。でもさ、枻杜って背高くなったから、便利ね。 あ。便利って言っちゃ失礼よね。ごめんなさい。」 「ん?大丈夫。で、何?」 「あ。そうそう。だから、 手をつないだままでもいい?」 「えっ」 枻杜の顔はみるみる赤くなった。 「いや?なら…しょうがないね。」 「え。いやじゃないっ!」 枻杜はものすごい剣幕でそういった。 「そ…そう?ならいいや。」 二人は手をつないだまま、屋台を回っていた。 「よぉ枻杜」 「よっ!」 枻杜に話しかけてきたのは、中学の同級生らしい。 「おまえ幸せそうだなぁ。そっちの綺麗な人が例の先輩か?」 「そうだけど、やらないぞ。」 「わかってる。わかってる。じゃ〜な。」 「ああ。」 中学の同級生は、すぐにどこかに行ってしまった。 「ねぇ、枻杜。私のことどういうふうに説明しているの?」 「彼女」 「なっ!」 「とは言えないから、とりあえず片思い中の脈あり。って。」 「そう…ぁ。枻杜。何か買って、花火の場所取りしようよ。」 「そう?だな。じゃあ、なんかおごってやる。 って言っても、兄貴からもらったんだけどな。金。」 「先輩くれたんだ。」 「くれた。でも枸子におごってやるために使うこと。って。」 「へぇ…。」 二人は食べ物と飲み物を買って、花火の場所取りをした。 「そういえば、どう?うちの高校。」 「んぁ?いけそうか?ってこと? 単願だし、成績も結構いいし、スポーツ推薦でもいけるし。 ちゃんとやれば余裕。」 「そっか。」 「そう。また枸子に毎日会いに行くからな。」 「会いにきてくれるんだ。枻杜も熱心だね。」 枸子は笑った。 その時に、まだつないでいた手を枻杜はぎゅっと握り締めた。 枸子は気になったが、何も言わないでいることにした。 最初の一時間がすぎた。 「今年は静かに見れているからうれしいぜ。」 「去年は静かじゃなかったの?」 「ああ。」 「なにかあったんだぁ。花火失敗したとき?」 「ぇ」 「?どうしたの?」 枻杜の目は大きく見開いていたから、どうしたのかと思った。 「なんで…覚えてる?」 「離婚した年だったし…。」 枻杜は枸子の顔が少し寂しくなったのを見逃さなかったらしい。だからすぐに誤ってきた。 枻杜のせいではないのに…。 「あ。ごめん」 「ううん。でも誤らないでよ。枻杜には感謝しているんだよ。だからかなぁ?あんなに楽しかったお祭り、初めてだったもの」 枸子は満面の笑みを浮かべた。 「…」 枻杜は真剣な目つきをして枸子を見ていた。 もしかしたら、今なら告白できるかも、と思ったのだ。 「どうしたの?枻杜、私何か」 キキーーードォン next→2nd door 13th key