11th key 枸子:高1 夏
「あれ?枸子じゃない。」
「あれ〜?美奈?櫂樹先輩も。」
「やっぱりお前だったかぁ。」
「ふぇ?」
「枻杜がさぁ、今日一日中にこにこにこにこしててなぁ、
わが弟ながら気持ち悪い
と思っていたんだけど、やっぱりおまえと夏祭りに行くからなのかぁ。」
「先輩、イヤミですか?」
「いいや。そんなことはない。
ただ、枻杜のこと頼むな。お前のことになると、頭に血上るんだ。」
「…分かりました。覚えておきます。」
「そういえば、依子たちは?」
「待ちくたびれて、先に行っている。」
「そんなに前から待っているの?」
「ぜんぜんよ。さっきまでいたもの。」
「?」
「時報聞いて10秒たったら、遅いから先にいくって言うのよ。
なんなのよ。とか思わない?」
「…。あんまり思わないわよ。」
「…。」
その時に私の中で
—普通思うだろ!—
と、ひそかに突込みがはいった。
「あ。枻杜だ。」
「やっと来たか。」
「おまたせっ枸子っ」
「か…いと?」
「ん?どした?枸子。」
「…」
枸子はびっくりした。背が高くなっている。
「あれ?枸子、背ちぢんだ?」
「あんたが伸びたのよ。」
「へぇ…。あ。そういえば、枸子と最後にあった日から急激に伸びたなぁ。」
「じゃあな。」
「あれ?兄貴。いつからそこにいたんだ?」
「さっきからいたよ。じゃあな。」
「あぁ。」
「じゃね〜。枸子」
「ん。」
二人が行ってしまってから枻杜に話しかけた。
「ねぇ、枻杜。」
「ん?」
「あれ、告白したの?」
「いいや。あれで二人とも片思い。」
「はぁ?」
「わけわかんねぇよな。オレみたいに早く告白すればいいのに。」
「?誰かに告白したの?」
「…。枸子に。だよ」
「私に?」
「はじめてあったときに、付き合ってくださいっていったろ?」
「あぁ、でも好きですとは、いわれていないもの。」
「好きです!」
「…は?」
「好きです!俺は枸子が好きだ。だから、付き合ってください。」
「………やだよ〜」
「ええ…」
「まだわからないもの…。ごめんね…」
「ほんとうに・でもいいや」
「?」
「とりあえず、回ろう。」
「ぇ。うん。そうだね。」
二人は屋台を見て回っていた。
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