9th key 枸子:中3
そして、とうとう枸子が卒業する日がやってきた。
枻杜はやはり?いつもよりもおとなしく、
何かを考え込んでいたように見えた。
そして枸子は最後の別れを惜しみ、友達と話していた。
「枸子〜?枸子〜??」
「どうしたの?美奈〜?私はここだよ。」
「あ〜。枸子いたいた。」
「あれ?」
枸子はびっくりした。卒業したはずの櫂樹が美奈の隣にいたのだ。
「??」
「あ。櫂樹先輩ねぇ、お祝いに来てくれたのよ。」
「へぇ…。」
「で、もう少ししたら?みんなにおごってくれるって。」
「へ?」
「だから、私とあなたたち3人と枻杜くんを連れて、おごってくれるって。」
「え〜?別にいいよぉ。私達は。二人で行ってきなよ〜。」
「少なくとも、水島さんを連れてけって言われてるんだよ。」
「まさか…。」
「そ。枻杜にな。」
—……なんて気の利かない野郎だ—
「あ。わすれるところだった。」
「?」
「枻杜君が呼んでる。」
「誰を?」
「枸子。」
「私を?」
「うん。構内の噴水知ってるよね?」
「え?うん。」
「そこに行って。待ってるから。」
「枻杜が待ってる?めずらし〜わね。」
「とりあえず、早く。」
「…は〜い、」
枸子は枻杜がいるらしい場所に行った。
「枻杜!」
「ぁ……枸子…」
「?どうしたのよ。深刻な顔して。」
「枸子…これ………………やる。」
「え?」
枸子の手に載せられたものは、ボタンだった。
「何このボタン。」
「オレの、ボタン。」
「は?」
「第二…ボタン。」
「?」
「これ、ずっと持っていて欲しいんだ。できれば、肌身離さず。」
「?…なんで?」
「オレ、枸子のいる高校に、かならず入る。」
「え」
「でも、1年間、あえないだろ?…………多分会いに行くけど」
「は?」
「あ。いや。だろ?」
「うん。」
「だから、持っていてくれ。頼む!」
枻杜は頭を下げた。すぐ顔を上げるかと思ったら、ぜんぜん顔を上げない。
「ちょっ。やめてよ!」
「肌身離さず持っていてくれるって約束してくれないと、絶対にやめない。」
「え〜。」
「頼む!!!」
「…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・…・・……………
あ〜。も〜。わかったわよ」
「マジ!?」
「わかった。わかった。ちゃんとネックレスにしてあげるよ。
そしたら肌身離さず。でしょ?」
「やり〜。」
「にしても枻杜!あんた、櫂樹先輩が美奈のこと、どう思っているのか知ってるの?」
「知ってるよ。惚れてんだろ?」
「わかってるなら、なんで、私を連れて行かせようとするのよ。」
「だって、兄貴がさ。」
「え」
「二人だけだと、恥ずかしいとかなんとか言ってて…」
「美奈に聞いたけど、二人で屋上に行ったら、たまたま二人きりだったんだって。屋上で。」
「で?」
「屋上で二人きりでいられるのに、どうして他のところだと二人きりで入れないのよ!ばかっ」
「…あ。そっか。」
「わかったわね?」
「でも〜しばらく逢えないからさ〜。
今日さ、せっかく卒業式だし……。枸子と、」
「私と?」
「………一緒にいたい。」
なんとなく顔が赤い。照れているのだろうか?
「…わかったわよ。依子と裕くん誘ってうちに来ればいいでしょ。」
「!本当に?」
「ええ。じゃあ、断るのよ。」
「OK!」
こうして枻杜は、枸子が言うとおりにした。
櫂樹と美奈は顔を赤くしていたが、櫂樹が「行くか」というと、
美奈はたいそう嬉しそうに「はい」とうなづき、二人は何処かへ行った。
だが、その後は枸子が行ったとおりにには、ならなかった。
「え〜(^^)」
「枻杜!あんたなんでそんなに嬉しそうに言うのよ!にしてもなんで?」
「だって、デートするんだもん。ね〜」
「ああ。卒業式だぜ。俺らに気をつかえよ。」
「!…そっかぁ。依子と裕くんは、これないのか。
じゃあ、枻杜もうちに来るのは、なしで…」
「え〜(*o*)」
「………。くる?」
「もちろん!(^^)」
「じゃあね。依子、裕くん」
「うん。ばいば〜い。」
その後、依子と裕は、喫茶店にいた。
「枻杜くんのために、二人きりにしてあげないとね。」
「そうだな。」
「枻杜くんには、がんばってほしいわ。
枸子が幸せになるには、枻杜くんが、必要だと思うの。」
「オレも。枸子は小っちゃい頃から苦労しっぱなしだもんな。」
「ん。枸子には、幸せになって欲しいわ。」
「ああ」
「たとえ、私達がいなくなっても、、枻杜君がいれば、大丈夫よね?」
「そうだな。」
二人は異常によくあたる手相で、いつまで生きられるか。というものを知らされた。
依子と裕は、自分達がいなくなった後の、枸子が心配だった。
next→2nd door 10th key