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「ねぇ枸子!」 意を決した顔をして依子は枸子に聞いてきた。 そんなことは今までまったくなかったので、枸子はとてもびっくりした。 「なに??依子。」 聞き返すと依子は多少ためらったが、ゆっくりと枸子に聞いた。 「枸子って……好きな人…いる?」 「え〜?ど〜したの??初めてじゃない?そういう話したの〜。」 枸子は今まで恋をしたことがない。 依子もそういう話を一切しなかった。 回りの子がそういう話を枸子たちに言い、枸子たちが興味のない顔をするとみんな不思議がった。 なぜなら小さいころから、枸子・依子・裕は良くもてたのだ。 「ん…そ〜だね。で??」 枸子はだんだん依子の真意が分かってきた。 「あっ。もしかして〜〜。」 「ぇ?」 「好きな人、いるんでしょ〜〜??」 「ええっ!!!!!!」 依子はなぜわかったのだろうと言う思いがあったのか、びっくりしていた。 だが、しばらくたつと、小さくうなづいた。 うなづいた依子がすごくかわいくて微笑みながら枸子はさらに聞く。 「だれだれ?」 そう聞いた枸子だったが、ここ数年の依子を見ていればその相手は容易に想像がついた。 「・・・」 言わないのなら、カンを言ってみようと思った。 「私、………裕くんだと思う。」 「ええええええ!!!!!!」 依子はまさか分かるとは思っていなかったらしく、ひどく驚いて叫んだ。 枸子はよっぽど自覚がないのだろうと思った。 「やっぱりそうなんだ〜〜〜。」 依子はしばらく黙っていたが、しばらくして、うなづいた。 依子の照れた顔がかわいく、枸子は微笑んだ。 「でもなんでわかったの??」 依子は本当に最近の自分の態度は普通だと思っていたらしく、 まったくわからないというような顔で聞いた。 枸子は苦笑しながら、答えた。 「依子が、裕くんと一緒にいるときに、世界で一番の幸せ者っていう笑顔をしていたからだよ〜。」 依子はその返答を聞くと、顔を赤く染めた。 「…」 「告白、しないの?」 依子は理解してくれなかったらしく、びっくりした声を出した。 「ふえ?」 「告白、しないの?」 「…できない…かも……」 依子はいつも明るいほうなので、このようにしんみり言うのはほんとうに珍しいことだった。 「なんでぇ?」 裕の気持ちもある程度想像のついている枸子には信じられない返答だった。 「だって、裕、もてるし。」 裕は確かにもてるが、みんな依子にはかなわないと思っているのか、 告白する人は一人もいない。 「依子…かわいいっ♡♡♡」 ほんとうにかわいかったので、枸子はそう口にした。 そんな枸子を見て不安そうに依子は尋ねた。 「枸子は…裕のこと、どう思っているの?」 「へ?ああ、大丈夫大丈夫。好きじゃないって。」 当たり前だ。 依子が裕の事を好きだと一番先に気づいたのは自分だという自身がある枸子だ。 そんな親友が好きになる人なんて好きにはなるはずがない。 「そう??」 「もちろんっ。だって、私、いまだに恋ってわからないんだぁ。 でも、依子が、裕くんのこと好きなのは、ずっと前から知っていたよ。」 「枸子・」 びっくりしたように依子は枸子を見つめた。 「だから、わざわざ気をきかせて、君付けにしているのよ〜。 てか、昔からの習慣?で、今では、君付けでしか呼べないけどね。」 依子は顔を染め、微笑みながら、枸子に尋ねた。 「枸子。ちょっと前から、気になっていたんだ。 ついさっきのコトバを聞かなかったことにして、、 枸子って、枻杜くんのこと好きなんじゃない?」 「まさか!!」 ありえないはずのことを聞かれた枸子は戸惑った。ありえないと思う。 ただ、自分の気持ちが一番分からないのは、 自分自身だからしょうがないだろうと自分自身にいいわけをした。 「そう??…にしても、枻杜くんと、はじめてあったときをたまに思い出すけど、すごかったね。 よくあんなこと言えるよね。私も教わりに行こうかな。」 「教わりにって…でも、確かにそだね。」 枸子は思い出していた。 枻杜と初めて会ったときのことを… next→1st door 3rd key