「和美!」
キャンバスを歩いていると、後ろから隆次の声が聞こえる。
ちょっと隆次の顔を想像してみた。お坊ちゃんぽい丸い顔にちょっとぎこちない笑顔。きっとそんな顔でこっちに歩いてきてるんだろうな。
「よっ!」
想像通りの隆次の顔がそこにはあった。そんな彼と一緒にいることにほおのかな幸せを感じる。
「今日もバイトか?」
「うん。」
「なんか居酒屋のバイトって俺はいい気しないな。せめてファーストフードとかに替えろよ、ミスドとか・・」
「なに言ってるのよ、いまバイトって言ってもなかな無いの。隆が心配してるのは酔っ払いとかが多いところからでしょ、お店のみんなも店長さんもいい人だし、心配なんかないよ。
隆は純なのよね。ま、バイト先の先輩の人達はエッチな人が多いけどね。
「隆こそ家庭教のバイトどうなのよ、高二の女子高生でしょ。」
「なかなか難しいよ。コギャルって言ったけ?言っても聞いてくれなくって。この前なんか教えてると急にパラパラ踊りだしてビックリしたよ。」
クスクス。
「楽しそうじゃない。」
「今だから笑えるけど、あの時はどうしようかと思ったよ。その続きがあるんだけどしょうがないからパラパラの基本をその時教えてもらったよ。こんな感じ」
隆次は教わった通りやって見せた。クネクネしてる・・・。
「わはははは。もう〜やめてよ。」
和美はパラパラとか友達はやってるけど和美はやらない。隆になら教わってもいいかな、と思った。
「で、その後はどうしたの?」
「うん。その日はパラパラを三十分ほどやって、その後はちゃんと勉強してくれた。」
「結構かわいい子じゃないの?」
「うん。好みかも」
「コラッ!」
「今のところやっと決まったバイトだし店の人とも仲良くなってきたし、それに自給もいいのよ。家庭教ほどじゃないけどね。」
どうしてそんなに気にするのかな?
この前の手をつないで歩いていたことが切り出せない。きっとバイト先の奴じゃないのか!?臭うんだよな〜。
周りの人達が足早に歩き始めてる。
次の講義が始まりそうだ。
「和美、次なんだ?」
「行動表現」
「俺違うは。ほんじゃ後で。」
「うん。」
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