僕と同じように狩りをする人たちが増えてきた。僕もすぐに慣れ、今では冷静に獲物を仕留められるようになった。 ある日、僕はいつも通り狩りに出かけた。獲物を探してうろついていると、正面から一人の男が近付いてきた。目もとは殺気立っている。彼もきっと獲物を探しているのだろう。 男の狩りの腕はなかなかのものだった。僕一人だと、一日に犬一匹が精一杯なのだが、今日は犬二匹に猫が一匹。すばしっこい猫を仕留めるなんて、並大抵の腕ではない。 それからは毎日アキラと過ごすようになった。一人だと抱えきれず、押しつぶされそうになる不安も、二人だと少しは和らぐ。今までのことや、これからのことを随分と話し合った。今の一時期さえ乗り越えられれば、きっと明るい未来が待っているはずだなどと、薄暗い地下鉄のコンコースで夢を描いていた。だが、何をどんなに語しても、トモミのことを話す勇気だけは持てなかった。 |
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