明日へ…第二部6

一年たてばどうせ死んでしまうんだ−。そう考え、自暴自棄になってしまう人もいれば、必死になって生き残る道を探っている人たちもいる。
各国政府はあらゆる分野の専門家たちを集め、来るべき悲劇に対する予防策や対抗策を様々な角度から検討していた。

何が起こるかは分からない。だが、何が起きたとしても国民を、ひいては人類を守り抜いてみせる。我々は必ず未来を変えてみせる、と政府の高官はテレビを通して我々に語りかけてくる。
治安の維持はより一層強化された。しかし、そんな言葉も態勢もむなしく映るだけだった。
どうせ死ぬんだ…
それがまるで合言葉のように街中を飛び交っている。街角では男たちが殴りあいを演じている。

一日、また一日と、時間だけがむなしく過ぎてゆく。街を歩くとそこら中に窓を割られた建物がある。中は荒らされ、ガラクタだけが転がっている。加速度的に人々の心がすさんでゆく。
空は晴れていても、街の空気は暗く、重い。

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