読書日記 

 2003年5月

ただ今音楽(クラシック)の方に頭がとんでいて、
普通の本(マンガ除く)がほとんど読めてません!ご容赦・・



 
  「春来る鬼」 近藤ようこ 青林工藝社    

  10篇からなる短篇集。私はこの1冊で近藤ようこにはまりました!こ、これはいい〜。
 冒頭の「くらくら」からしてぐっとつかまれた。5年失踪していた夫が死んだと言う
 知らせを受けた妻。骨を膝の上にのせた時の涙のコマが印象的でした。 
 「よかった聖痕はないわ・・」とはねえ。すご。
 なかなかこういうせりふって言わせられないよ。
 他「水の女」「薄荷煙草」「しあわせ」「生成」「春来る鬼」などが傑作。
 
 「水の女」のこのモノローグ・・
 
 「私はなにもしてない 
  売春すらしてない
  私は自分の影を売って生活してるのよ
  勉強は単なる趣味だわ
  他にすることがないからやってるのよ
  私の生活には創造も生産もないのよ」 
  25P

 テレクラのような覗き部屋のようなところでバイトする女子大生の言葉。
 このひとコマには圧倒されたわ。マンガならではの表現だ。

 「生成」は怖い話でした〜。男女の情念〜!怨念〜!って感じ。ひょえー。
 しかし傑作。「しあわせ」も得体が知れず怖くてよし。
 そして表題作の「春来る鬼」。これはなんと言っても余韻(というのか・・)がすごい。
 こういう終わらせ方には才能を感じる。興奮するわ。
 
 近藤ようこは面白いなあ。まだ沢山読んでいない本があるので楽しみ。

 「目に見えぬ鬼となりにけり」 158P

 2003.05.02
 
 

 「ダーリンは外国人」 小栗左多里 メディアファクトリー    

  外国人と結婚した(いやまだ籍は入れてないらしい・・)漫画家さんのマンガエッセイ本。
 この本、色々ためになることが書いてあるんだけど、それよりなんといっても絵のセンスと
 ユーモアかな!すっごい楽しいよこの本!帯にも書いてあるけど、私も立ち読みだけでは
 我慢できずに購入した口です。傷つくトニーがかわいいー!(笑)トニーはTVにも出てる
 ジャーナリストで、大学の講師もしてるんだそう。多文化社会専攻らしいので、今度サイトを
 覗きにいってみようかな・・。一方作者の小栗さんは「まじょてん」と言う作品を
 書いてるらしい。読んだことない・・。でもこの本見る限り面白そうなので、
 読んでみようと思う。英語に関する章は納得する意見が結構ありました。
 そうそう、入試を英会話にするってのはいいかもねー。
 今の日本の英語教育って全然実用的じゃないもんね。なんとかしてほしいわ。
 
 とにかく楽しくもかわいらしく、かつ興味深く読める本なのでおすすめだす。

 2003.05.10



 「短編集」 魚喃キリコ 飛鳥新社   

  19コお話が入ってます。この人の話は、会話の間のとり方や、絵の中の空間の
 使い方が印象的。「南瓜とマヨネーズ」の時も思ったんだけど、
 恋愛感情のかき方がすごいリアル。
 いいやつじゃないのに好きになっちゃったもんはどうしようもない、とか。
 片思いの心情とか。異様に高揚するあの感じ、がすごいリアル。
 何にもないときの空虚感とか。
 センスのよい絵柄で外観ととのってるけど中身はあんまり伴ってないなーって本
 (雰囲気だけでかいてるような)はほんといっぱいあると思うんだけど、
 この作家は違うと思う。ちょっとした、誰にでも覚えのある感情—でも言い表すには
 難しい感情を、かくのがうまい人。
 軽めの話も重めの話も入ってますが、最後をあの話でしめてくれたのはよかった。
 短編集って並び方で全然印象ちがうしなー。

 ともかく、切なくも共感できる作品集です。なんともいえない気持ちになるなあ。

 2003.05.25
 


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