季 歐
惚れたって言えよ・・・・・・。美貌の殺し屋は言った。その名は季歐。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂を引き裂いた。
大学生の吉田一彰は昼は工場、夜はナイトクラブでアルバイトをしていた。しかし、ある日過去の知り合いに目を付けられたことからナイトクラブの銃撃事件に巻き込まれる。またそのときに殺し屋、季歐に出会う。
過去、六歳の時一彰は母と二人で大阪の桜の木のある工場のそばに住むことに。その工場の主、守山に気に入られ、機械に触れる毎日となる。しかし、その工場で守山は中国人たちをかくまったり、拳銃を置いていたりという面もあった。ある日一彰の母は工員の一人と消え、守山の工場は警察に踏み込まれる。そして一彰は祖父母に引き取られ工場を去ることに・・・・・・
ナイトゲート事件に巻き込まれた一彰はアルバイトをくびになり、大学も自主退学した。その後、事件の際現場にいた笹倉に守山に伝言を頼まれる。そして工場でまた季歐と出会うことに。季歐の魅力にひきつけられる一彰。一彰はその後、他のクラブでアルバイトをしながらも工場を訪ねたりして日々をすごす。そんな日々の中、季歐が日本を脱出することに・・・・・・。その前日に一彰と二人で笹倉の拳銃を奪い、二人は再会を約束し別れる。その後一彰はナイトゲート事件の証人となるために警察へ出頭・・・・・・。懲役四年の有罪判決を受ける。
刑期を終えた後、一彰は守山の工場で働く。しかし一年も経たないうちに守山がガンで亡くなってしまう。工場は一彰が継いで経営することになった。日常の日々の中、一彰は刑務所で出会った原口というやくざに目を付けられ、拳銃をあずけられることに。普通の暮らしを送りながらも、一彰は拳銃の部品を削ったり、組み立てるという日々を送る。そして一彰は季歐の噂を聞くことに。季歐は実業家として名をはせていると。そんなある日一彰は季歐の夢を見る。一彰はその後守山の娘の咲子と結婚し、息子ができる。
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