狐 罠


 店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」宇佐見陶子。

 彼女が同業の橘薫(きくん)堂から仕入れた唐様切子紺碧碗は、贋作だった。プロを騙す「目利き殺し」に陶子も意趣返しの罠を仕掛けようとする。彼女は元夫のプロフェッサーDより贋作作りの名人・塩見老人を紹介してもらう。この橘薫堂への意趣返しに、塩見も思うところがあり陶子の話に快諾する。そして陶子は舞台を整え、塩見は贋作を製作してゆく。

 しかし、橘薫堂の外商・田倉俊子が殺され、陶子が容疑者扱いされるようになり事件に巻き込まれてしまう。執拗に陶子の周りをかぎ回る刑事・根岸と四阿。陶子に近づく保険美術調査員・鄭(てい)。そして橘薫堂の背後に見え隠れする、元大英博物館のキュレーター・細野。

 田倉の死によって暴かれる橘による過去の贋作事件。田倉の身辺を洗うと橘から過剰なまでの給金が払われ、田倉が橘を強請っていた疑いが・・・・・・。さらには橘の身近にいるものがまたも殺害され、過去の贋作事件「虎松事件」により被害にあったものによる復讐が徐々に露わに・・・・・・。そして殺人事件が捜査されるなか、陶子は橘薫堂に「目利き殺し」を仕掛けるが・・・・・・



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