和時計の館の殺人


天知時平・・・・天知興産、社長(27年前72歳で死亡)
田波詮子・・・・時平の長女(現在64歳)
田波信輔・・・・詮子の夫(天知興産、事実上の経営者)
田波沙織・・・・田波夫妻の娘、姉
田波瑞樹・・・・田波夫妻の息子、弟、包帯男
天知鐘一・・・・時平の長男(27年前事故により31歳で死亡)
天知康恵・・・・鐘一の妻
天知圭次郎・・・時平の次男(時平死後の天知家の当主)
天知三鳴・・・・時平の三男(現在、消息不明)
天知月美・・・・三鳴の妻
天知鳴彦・・・・三鳴の息子
千夏香子・・・・バイトの手伝いで和時計の研究家
小田牧禄郎・・・天知家の主治医


 父、時平の危篤の報せを受け、長男の鐘一は車を飛ばして実家の日計(ひばかり)の家へと向かう。しかし、その途中事故に会い死亡してしまう。そして27年後に事件は起きる。


 弁護士・森江春策は天知興産当主・天知圭次郎の遺言状の公開のために代理人として天知家へと向かう。遺言状は日計の本邸にて春分の日から三日以内に公開してもらいたいという個人の希望をかなえるために春策が派遣されることになった。  天知邸へ向かう途中、バスの中で奇妙な顔に包帯を巻いた男を出かける。しかもかれは森江と同じ天知邸へと向かっていくのだった。その天知邸は時計塔のある家で、家の中にも数々の和時計が置かれているのであった。森江は千夏香子に家を案内してもらい、かつ和時計についての説明をうける。


 全員がそろったところで、森江は遺言状を公開する。(このときに包帯男が田波瑞樹だと判明)
 遺言状の内容は、
 一、天知興産は詮子にゆずられ、経営は引き続き信輔が経営にあたるようにと
 二、天知家本邸の時計を「和時計博物館」に委託するようにと
 三、三鳴の子、鳴彦に対しての財産譲渡
 四、沙織と瑞樹に500万円を等分割して寄贈


 軽い混乱はあったものの、まずまずの遺産相続がなされており、ひとまずは落ち着いたかのように思われた。そして帰り損ねてしまった森江は天知家に一泊することに。森江は天知家の人々と小田牧医師を加えた奇妙な食卓を共にすることに・・・・・・


 その夜ふと目を覚ました春策は、窓の外の殺人と思われる影を目撃する。時刻は11時。ちょうどそのとき、離れの様子がおかしいとの家政婦の報せによって鳴彦と沙織が離れへ向かう。離れの閉ざされていた扉を鳴彦がけり破ると、そこには信輔が短刀によって殺されていた。その後、知らせを受けた警察が捜査を始めることに。警察は信輔の生前の体調について聞こうと、夕食後に帰っていった主治医の小田牧を呼びよせる手配をする。そして11時前後の各人のアリバイを調べ始めると、瑞樹はその時刻に邸の外をほっつき歩いておりアリバイのない状態に。ただ、瑞樹は10時20分頃に小田牧医師とすれちがい、11時にコンビニで買い物をしたという。しかし、小田牧医師を呼びにいった者によると医師は自宅で鋭利な刃物によって殺されていたと・・・・・・(兇器は発見されなかった)


 次の日、春策は泊まっていた部屋から故人である天知鐘一の妻・康恵の消息を圭次郎の依頼により調べたと思われる探偵社の報告書を見つける。康恵は鐘一の死後、邸から追い出されていた。その14年後、病死していたようである。警察の捜査は続き、信輔と小田牧は同じ兇器によって殺されたことが判明した。


 そして次の日の早朝、瑞樹の撲殺死体が発見される。そして昨夜何者かに襲われた沙織が納戸の中に閉じ込められていたのを発見される。捜査が混乱して行く中、さらにその夜時計塔から大音響が鳴り響く。時計塔に集まった人たちは時計塔のベランダ付き窓から田波詮子が転落するのを目撃することに! しかし時計塔からは詮子と争っていたと思われた犯人が出てくる形跡はなかったのだ。


 そのとき春策が鳴彦に語りかけた。「あなたがこの時計塔に来た目的は、27年前失踪した三鳴氏と対面するためではないですか?」春策が時計塔に秘められた秘密をついに紐解く。
 そして皆を集めて事件の解明へと・・・・・・
 27年前の真相とは?密室殺人のトリックとは? 遺言状に秘められた謎とは?一連の殺人事件の犯人は? 和時計の館に秘められたトリックとはいったい??
 天知家の謎が金田一耕介に扮した森江春策によって解きほぐされる。




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