8の殺人
8の字屋敷として知られる、蜂須賀邸。そこは文字通りの奇妙な形をした屋敷で上から見ると角張った8の形をしている。
ある夜、その屋敷に住む、蜂須賀建設社長・蜂須賀菊雄の長男・蜂須賀菊一郎の元に彼を呼び出す電話があった。菊一郎の娘の雪絵は聾唖で話すことができない。その夜、彼女は世話役の河村美津子が彼女の部屋に訪れ、話をしていた。すると、美津子が渡り廊下に誰かが来たみたいと、家の中央に面するカーテンを開けると菊一郎が歩いていた。
雪絵の部屋の対称にある使用人の息子・矢野雄作の部屋の窓辺に人影が見えたとき、菊一郎の体がはじかれたように床に叩きつけられた。部屋を飛び出した美津子は何者かに襲われて昏倒する。
ボウガンで蜂須賀菊一郎が殺されたとの通報を受けて、警視庁捜査一課警部補・速水恭三が現場に赴く。事件はどうみても矢野雄作の犯行にしか見えないが(さらには目撃者もいる)、それを本人は否定する。結局、所轄によって雄作が連行されるものの、美貌の雪絵に泣きつかれ、再捜査する恭三。しかし捜査は行き詰まり、ミステリーマニアである弟の慎二と妹の一郎(いちお)に相談するが明確な答えは返ってこない。
結局、恭三の働きや、決定的な証拠がないことから雄作は釈放される。そして恭三と部下の木下が蜂須賀邸を調べにきた夜、また惨劇が起こる。
どんと、何かが激しくぶつかる音がして女の悲鳴が鳴り響いた。一同が美津子の部屋に駆けつけると、その部屋は施錠されていた。鍵を開けて扉を開くと、矢によって扉に貼り付けにされた美津子の死体が発見された。しかもその折、菊雄の妻・民子が中庭の中空に浮くボウガンを目撃したという! 鑑識の報告によると、5〜6m離れた位置からボウガンは撃たれたのだという。しかし、そうすると閉ざされた部屋の中でドアのそばにいた彼女を撃つのは中空の中庭から矢を放たなければならないことになる。
連続殺人をめぐる犯人の正体とは? そして一連の事件の殺害方法はいったい!?
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