デスペレーション

Desperation     1996

 ピーター・ジャクソンとメアリの夫婦がネヴァダ州のハイウェイ50を走っていたとき、一台のパトカーに停止をいいわたされる。パトカーには一人の大柄な警官が乗っていた。なぜか禍々しい雰囲気の!その警官は夫婦の車(ピーターの妹から借りたもの)を調べると、中からマリファナを発見する。夫婦の言い訳も聞かずに警官は彼らを自分の車に乗せ、連れて行く。デスペレーション警察へと。

 ジャクソン夫妻は鉱山の町“デスペレーション”へと連れて行かれる。しかし、その町には人影が見えず、不気味な沈黙に包まれてる。警察署に入ると、そこにひとりの女の子の死体があった。そして突然彼等の前で、警官の銃が火を吹きピーター・ジャクソンは殺される。

 女の子の死体は、カーステン・カーヴァー。ジャクソン夫妻の前に、同じように連れてこられたカーヴァー一家が警察署にいたのだ。

 カーヴァー一家(夫、妻、息子、娘)はハイキングに来ており、RV車でハイウェイを疾走していた。そのとき彼らの車が突然パンクした。そして車に警官が寄ってきて、近くに凶悪犯がいることを匂わせる。全員、パトカーに乗るように指示し、その場から避難する。そして彼らはデスペレーション警察に連れて行かれるのであった。

 作家のジョン・マリンヴィルは取材旅行のため、バイクでハイウェイを走っていた。バイクを止め、用を足したとき、彼の元へパトカーがやって来る。その警官は彼を作家のマリンヴィルと気づき、彼を褒め称え始める。しかし、突然態度が一変し、彼を罵り、脅し始める。彼らの周りにはコヨーテが集まってきていた。まるでその警官が呼び寄せたように・・・・・・。マリンヴィルは隙をついて、携帯によってマネージャーに連絡をとろうとするが、うまく伝わらずに失敗してしまう。そして彼は、デスペレーションへと拉致されてゆく。

 スティーブ・エイムズはマリンヴィルを車で追いかけていたエイムズは途中でシンシア・スミスというヒッチハイカーの女の子をひろう。彼らが話をしながら車を駆けていたとき、マリンヴィルからの電話を受け取る。雑音により何をしゃべっているのかはっきりしなかったが、彼は何か事故に遭遇したらしい。急いで彼らはマリンヴィルを探すことにした。彼らは少しずつ、デスペレーションへと近づいて行くのであった。

 警察の牢獄には別々に五人の人間が閉じ込められていた。メアリ・ジャクソン。ラルフ・カーヴァーとエレンとデヴィッドの一家。そして彼らよりも先にこの牢獄の中にいたトム・ビリングスリー老人。彼らを連れてきた警官、コリー・エントラジアンはデヴィッド少年に注目していた。彼に何かを感じるのだ。自分とは正反対の力を。
 デヴィッドは祈りによって神の声を聞いたことがあるという過去を持っていた。その力は自分の思い通りにはならないものの、神父の力を借りて日々それを高めようとしていたのであった。
 デヴィッドはなんとかこの場の苦境を逃れようとするのだが・・・・・・

 エントラジアンは一旦出て行った後に、マリンヴィルを連れて戻る。マリンヴィルを牢獄に入れた後、彼は代わりにエレン・カーヴァーを連れ出していってしまう。コヨーテを見張りにおいて。
 デヴィッドは祈りによって“石鹸”という啓示を受ける。そして彼は全身に石鹸を塗りたくり、鉄格子の間を抜けようとするのだ。マリンヴィルがジャケットなどをつかってコヨーテの注意をひきつけている間に、デヴィッドは奇跡的にも? 鉄格子の間を抜け、扉を開き、独房から脱出する。しかし、彼が部屋を出てみたものは警察署内に吊るされた死体の群れであった。デヴィッドは妹の死体だけを下ろし、祈ってあげて、拳銃を手にして、また独房へと戻って行く。
 デヴィッドは拳銃によってなんとかコヨーテを倒し、牢獄の中の人々を解放する。

 独房を出た一同はとりあえず警察署から出ることにする。この町の住人のトムの提案により閉鎖された映画館へと行くことにする。そのとき、なぜか通じないはずの携帯電話がデヴィッドが持つときにだけ、使用することができ、デヴィッドはエイムズと連絡をとり、映画館で落ち合おうと話をつける。
 生き残った一同は映画館へと避難する。その避難の最中に、信じられないことだが、町の住人が全て殺されていることを知る。エントラジアンが一人でやったのだろうか?コヨーテとハゲタカを支配するエントラジアン。
 映画館に集まったのは、デヴィッド・カーヴァー、ラルフ・カーヴァー、メアリ・ジャクソン、ジョン・マリンヴィル、トム・ビリングスリー。あとから合流してきた、スティーブ・エイムズ、シンシア・スミス。そしてスティーブ等と映画館の前で会った、オードリィ・ワイラー。合計8人。

 かつてエントラジアンであったものは変貌を遂げていた。かつてエレンだったそれに似たような形に。“それ”は独房に誰もいないのを見て、怒り狂う。“それ”は彼らを殺すことを決意していた。

 映画館にてこれからの対策を練る8人。彼らはデヴィッドの祈りになんらかの奇跡の力が働くということを信じ始める。しかしそんな中、“それ”の執念によって放たれたクーガーが一行に襲いかかる。なんとか撃退するものの重傷を負ってしまう、トム。意識もうろうとするなか、トムはオードリィに感じていた違和感にようやく気づく。前に見たときよりも身長が伸びているということに・・・・・・。
 一同がクーガーと戦っている間にデヴィッドはオードリィに不穏な気配を感じ、彼女から遠ざかり、一人で祈りを行おうとする。しかし、それを追いかけるオードリィ。一同が、デヴィッドとオードリィがいないのに気づき、あわてて探し始める。そして一同はオードリィが首を絞めているのを発見する。

 昏睡状態におちいっている中、デヴィッドは祈りの中の別の世界で、何者かによって、このデスペレーションの町の鉱山で起こった真実の話を見聞きすることになる。
 そんななか、“それ”は新たな体を求めて、メアリへと触手を伸ばし始めていた。

 真実を知った一同はデヴィッドの要求するように、デスペレーションでの根源を断ち切ろうとするために鉱山へと最後の戦いに赴こうとするのだが・・・・・・


  
コリー・エントラジアン デスペレーション警察警官
ピーター・ジャクソン 文学部助教授
メアリ ピーターの妻
ラルフ・カーヴァー 郵便局員
エレン その妻
デヴィッド その息子、神の声を聞くことができる
カーステン デヴィッドの妹
ジョン・マリンヴィル 作家
ステイーブ・エイムズ マリンヴィルのマネージャー
シンシア・スミス ヒッチハイカー
トム・ビリングスリー 獣医
オードリィ・ワイラー 地質学者




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