ブラウン神父の醜聞

The Scandal of Father Brown   1935

「ブラウン神父の醜聞」 (The Scandal of Father Brown)
 ブラウン神父はハイペシア・ハード婦人と詩人ルーデル・ロマニーズが駆け落ちする手伝いを新聞記者の目の前で行ってしまった。その行為に腹を立てた新聞記者は、この話を広めてやると言い、“ブラウン神父の醜聞”として世に広められることに! ブラウン神父の真意は!?

「手早いやつ」 (The Quick One)
 バーに立ち寄ったグリーンウッド警部とブラウン神父。その後、色々な人がバーを訪れる。セールスマンの一団、非国教派の牧師とアジア人の従者、変人とみなされるジョン・ラグリー。すると、ラグリー氏と牧師との間で禁酒を巡って諍いが起き、牧師の従者がラグリー氏に向かって剣を投げるという事件が起きる(ただしラグリー氏は無傷)。この件に不穏なものを感じたブラウン神父は次の日の早朝、再びバーを訪れてみると、そこでラグリー氏の死体を発見! 神父は熱心にここで殺人を犯したものを捕えてほしいと頼むのであったが・・・・・・

「古書の呪い」 (The Blast of the Book)
 心霊学研究者、オープンショウ教授のもとに一人の客が来た。プリングルと名乗る男は呪いの古書を持ってきたという。その本を開いた者が次から次へと消え去ってしまったのだという。プリングルが事務室に置いておいた本を取りに戻ると、オープンショウ教授のもとで働いていた事務員が忽然と姿を消していたのだった! この謎に対してブラウン神父の見解は・・・・・・

「緑の人」 (The Green Man)
 海軍提督マイクル・クレイヴンの秘書ハーカーは奇妙な場面を見た。当の提督が本来であればありえない正装のまま船から降りて道を歩いているのである。その後ろには剣を抜きながら妙なステップを踏み続けるルーク大佐をひきつれていた。そして二人は酒場“緑の人”の方へと消え、見えなくなる。その後、提督は池の中で死体として発見される。しかし、溺死ではなく刺殺であった! 弁護士事務所でその訃報を聞いたブラウン神父は“緑の人”との連想により、うすら寒い思いをすることとなり・・・・・・

「《ブルー》氏の追跡」 (The Pursuit of Mr. Blue)
 探偵のマグルトンは失意にくれていた。命を狙われていると助けを求めてきた百万長者を助けることができなかったのだ。探偵は桟橋のある小屋に閉じ込められ、窓から百万長者と殺人者が小屋の外をぐるぐると回りながら追いかけ合っているのを見ているしかなかったのである。その後、銃声と水しぶきが聞こえ、殺人者が目的を果たしたのがわかった。探偵が小屋から助けられた後、人々に話を聞いて回ったが、犯人と思しきものが出ていったのを誰も見ていないというのだ。挙句の果てには、探偵自身が嘘をついているのではと疑われる始末。相談を受けたブラウン神父の答えとは?

「共産主義者の犯罪」 (The Crime of Communist)
 マンデヴィル学寮に寄付をしようとを訪れていた二人の百万長者がベンチで座ったまま死んでいるのが発見された。どうやら二人は毒殺された模様。犯人は毒物を作ることができる化学の教師か? それとも毒物を持っていた疑いのある共産主義者か? それとも・・・・・・? ブラウン神父が犯人として名指しした人物とは!?

「ピンの意味」 (The)
 ブラウン神父が住むアパートの前にビルが建てられようとしていた。しかもその現場は労働争議を起こしている最中であり、神父もその討論に参加していた。そんな折、ビルの経営者の一人が脅迫を受け、川に飛び込んで自殺をするという事件が起きた。ブラウン神父は現場の状況を見て、木の幹に残された遺言と落ちていたピンから、とある推理を披露する。

「とけない問題」 (The)
 ブラウン神父のもとに電話がもたらされる。電話をかけてきた女性は1度目は急いで来てくださいといい、2度目にはやっぱり結構ですといい、次にはやっぱり来てくださいと3度電話をしてきた。フランボウと共に現場へ向かった神父が見たものは、電話をかけてきた夫人の祖父だという男の死体。それは木にぶら下げられたうえに、剣で体を貫かれていた。事件を捜査して、目星がついたというフランボウに対して、ブラウン神父は直ちにここから立ち去るべきだと言い・・・・・・

「村の吸血鬼」 (The)
 とある小さな村で、1年前に事件が起きた。村を訪ねてきた男と村人が口論となり喧嘩に発展したという。その後、村の外から来た男は岩地にて死体となって発見される。マルボロウ博士はその事件を調べるため、ブラウン神父を連れて村へと向かった。その村では現在スキャンダルが起きており、ひとりの妖艶な女性が村に住み始め、牧師の息子が恋をしたというのだ。しかし、父親である牧師は猛反対をしているという。しかもその女性は1年前に殺された男の妻であるということがわかり・・・・・・



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