詩人と狂人たち
The Poet and the Lunatics 1929
「おかしな二人連れ」
“昇る太陽”という、うらぶれた宿屋から医者である客が立ち去ろうとしたそのとき、そこに二人の男がやってきた。背の高い男は詩人であり画家であるというガブリエル・ゲイル、背の低い男はゲイルのマネージャーを務めるジェイムズ・ハレル。さらにそこにまた二人の人物が現れる。地主の男と、美しい娘。突如、ジェイムズ・ハレルが商売の話をしだし、色々な計画を地主の男に提案する。そんな折、なぜか宿屋の主人が自殺を図ろうとし、客たちの助けにより一命を取り留める。この一つの事件がガブリエル・ゲイルに暗い影を落とすこととなり、もう一つの事件が起きてしまうこととなり・・・・・・
「黄色い鳥」
ガブリエル・ゲイルと医者のガース氏を含む5人の男たちが散策をしていた。丘の上から見える一軒の家に対して、ジョン・マロウ青年は激しく反応した。彼はそこに住んでいる女性を気にしており、さらには最近住み始めたロシア人の男を不審に思っていたのである。一連の話をマロウから聞き、その家を訪ねて行った彼らであったが、そこでガブリエル・ゲイルはある結論に達する。
「鱶の影」
富豪であり、学問と芸術のパトロンとしても有名なオウエン・クラム卿。彼の家で、奇怪な鱗のある魚のような人間が目撃された次のティ、当のクラム卿が殺害された。海辺で死んでいるのが発見されたのだが、周囲に足跡がない状態で殺害されていた。この状況からガブリエル・ゲイルが見出した真実とは!?
「ガブリエル・ゲイルの犯罪」
医師のガース博士は困惑していた。ガブリエル・ゲイルがとんでもないことをしたからだ。パーティーの席上、雨男とからわかれるソーンダーズ青年に対し、ゲイルは嵐の中、彼を木にくくりつけたうえ、熊手を投げつけたのである。幸い、ソーンダーズに怪我がなかったから良かったものの、一歩間違えれば大惨事となっていた。ガース博士はゲイルに対し、なんらかの処置をしなければと考えていたのだが・・・・・・
「石の指」
ガース博士がもたらしたニュース。石化について研究しているというボイグ教授が死んだらしいと。ただし、その死体は見つかっていないというのである。教授の研究に対する反対はや、怪しげな助手などがいるなか、警察による捜索が行われるものの、教授の姿は一向に現れることはなかった。そんななか、ガブリエル・ゲイルがとある指摘をするのであった。
「孔雀の家」
立派な夜会服を着た紳士が、通りがかりの青年に晩餐に来るよう懇願した。その後、たまたまその場をガブリエル・ゲイルが通りかかる。紳士が住む家の孔雀に目を惹かれ、ゲイルはその邸宅へと忍び込んでしまう。そこの囚人に見つかったゲイルであったが、何故か晩餐に招待され、歓迎されることとなる。ゲイルを含めて13人が集う会合。和やかに会は進められるものの、どこかぎくしゃくしたなかで、ゲイルはとある事件についての告発を始めるのであった。
「紫の宝石」
有名な劇作家が突如、心を乱し、大きな塔のある建物の前で、弟の前から姿を消した。乱心により自殺したのか? それとも弟による狂言なのか? ガブリエル・ゲイルは菓子店のウィンドウに飾られた紫色の宝石のような菓子を見て、ことの真相を言い当てる。
「危険な収容所」
二人の医師はガブリエル・ゲイルを狂人とみなし、彼を拘束しようとする。しかし、当のゲイルはむしろ二人の医師を狂人扱いする。そうしたなかで、銃を手にしたもう一人の狂人が現れ、二人はその場を後にする。
物語のはじめとなる「おかしな二人連れ」の前日譚であり、後日譚でもある作品。
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