テニスコートの謎
The Problem of the Wire Cage 1939
ブレンダ・ホワイトはフランク・ドランスと結婚することによって後見人のヤング博士から莫大な遺産を相続することになっていた。しかしブレンダのこころはどこか冷たい感のあるフランクよりも青年弁護士のヒュー・ローランドに傾きかけていた。
ある日、そんな彼ら3人と近所の未亡人キティ・バンクロフトとの4人でテニスに勤しんでいたとき、雲行きが怪しくなり、雨が降ってきたためにテニスコート近くの小屋に避難し、テニスを中止にすることにした。そして雨が上がった後に、各自それぞれ引き上げることに。
ローランドは車で去ろうとすると、タイヤがパンクしているのを発見する。彼が修理するための道具を探そうとすると、閉めたはずのテニスコートの門が開いているのを発見する。不信に思い近づくと、そこにはコートの外で取り乱すブレンダとコートの真ん中で絞殺死体となっているフランクの姿が!
その少し前、小屋に荷物をとりに来たブレンダはテニスコートの中央に倒れていたフランクを発見したという。そのときテニスコートにはフランクがコートの中央に向かった足跡だけしかついていなかったという。ブレンダはフランクの様子を確かめにコートに入ったために、ブレンダがコートの中のフランクの元へと往復した足跡が残ってしまったのだ。これではブレンダに嫌疑がかかるおそれがある。そこでローランドとブレンダは口裏を合わせて、ちょっとした工作をすることに。
フランクが殺されたという報を聞いた、ヤング博士は激怒する。彼は、ブレンダを横恋慕しようとしているローランドが殺したに決まっていると言い放ち、彼の犯罪を暴いてみせるといきをまく。しかしながら、警察の捜査によって容疑者となったのは、アーサー・チャンドラーという軽業師であった。その男の恋人である、マッジ・スタージェスは以前フランクと付き合っていたが、邪険に振られたことによりその腹いせにやったのではということに。そして実際、アーサーはフランク殺害時に現場付近にいたというのだ。
しかし、アーサー・チャンドラーは警察によって拘留される前に、劇場での練習中に衆人環視の元で銃殺されてしまう。
犯人はいったいこの一連の殺人をどうやって? 足跡のない殺人をどのようになすことができたのか? 不可能犯罪をフェル博士が解く!
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