「起こったかもしれないこと」
ジェイムズ・アンズウェルはメアリ・ヒュームとの結婚を認めてもらうために、メアリの父、エイヴォリー・ヒュームに会いに行った。あらかじめ電話をしていたものの、そのときのエイヴォリーの口調の冷たさに不穏なものを感じ、ジェイムズは緊張していた。
ヒューム家に着くと、執事が出迎えてくれた。執事からの帽子と外套をあずかるという要求に、ついジェイムズは外套はそのままでいいと言ってしまう。階段の上からエイヴォリーに長年連れ添っている、アメリア・ジョーダンがジェイムズの方を見ていた。
部屋に案内され、エイヴォリー・ヒュームと対面する。最初はきっかけをつかむために、目に付いた矢の話をすると、少しぶっそうな話になってしまう。ウィスキーソーダを勧められ、話題を変えようとしたとき、意識を失いそうになる。「ああ、これこれ、どうされた、気でも狂ったのかね」というエイヴォリーの言葉を最後にジェイムズは気を失う。
ジェイムズが目を覚ましたとき、エイヴォリーは飾ってあった矢によって、息絶えていた。内部から錠がかかった部屋の中で・・・・・・
ロンドン中央刑事裁判所
被告人:ジェイムズ・キャプロン・アンズウェル
訴因:エイヴォリー・ヒューム謀殺の容疑
裁判官:ボドキン判事
弁護人、追訴者側、王室検事:サー・ウォルター・ストーム
弁護人、被告人側、王室顧問弁護士:サー・ヘンリー・メリヴェール
<追訴側冒頭陳述>
<追訴側証人尋問>
●建築物検査官:建物には秘密の通路などなく、部屋にはすきま一つないと証言
●アメリア・ジョーダン(ヒュームの秘書、内縁の妻?)
:冒頭陳述における事実についての証言
:メリヴェールの反対尋問
●ハーバート・ダイアー(ヒュームの執事)
:冒頭陳述における事実についての証言
<休廷>
ケン・ブレーク、H・Mよりメアリ・ヒュームへの手紙を頼まれる。さらにH・Mは「ユダの窓」を示唆する。
ケン・ブレーク、ヒューム家でレジナルド・アンズウェル(ジェイムズのいとこ)、スペンサー・ヒューム医師(エイヴォリーの弟)と会う。
ケン・ブレーク、メアリから叔父の上等のゴルフ服とそのポケットに入っていた、スタンプパットが紛失したことを聞く。
<追訴側証人尋問>
●ランドルフ・フレミング(ヒューム家の隣人)
:冒頭陳述における事実についての証言
:メリヴェールの反対尋問(矢じりの青い羽根について、ボーガンの存在について)
●スペンサー・ヒューム、尋問に呼ばれるも失踪する。
●警視庁刑事部顧問医師:検死についての証言
:メリヴェールの反対尋問(矢の角度の問題)
●モットラム警部:事件後の被告の状態についての証言(被告の銃の携帯について)
:メリヴェールの反対尋問(青い羽根の行方について、矢じりの強度について)
(休廷が宣言された後、被告人が自分の犯行だとわめきだす)
<休廷>
メアリがスペンサーから受け取った手紙をH・Mに見せる。
それにはレジナルドに薬をもったことは確かだと書かれていたが、レジナルドがエイヴォリーを殺したのも間違いないと書かれていた。
<被告人側冒頭陳述>
<弁護側証人尋問>
●被告、ジェイムズ・キャプロン・アンズウェル
:メリヴェールはこれまでの話しにより、被害者エイヴォリーはジェイムズのことを従弟のレジナルドと間違えていたと指摘する。
:反対尋問
●メアリ・ヒューム
:かつてレジナルドとの付き合いがあり、そのことでエイヴォリーが脅迫されていたことを証言する。
:反対尋問
●ピーター・マクドナルド・キグリー(エイヴォリーの知人)
:レジナルドによりエイヴォリーが脅迫されていたことが事実だと証言する。
<休廷>
H・M事件の時刻表をケン・ブレークに見せる。(ガブリ、ガブリ)
失踪していたスペンサー・ヒュームが姿を現す。さらにランドルフ・フレミングも顔を出す。
<弁護側証人尋問>
●ホレース・カーライル・グラベル(掃除夫)
:エイヴォリー・ヒュームがレジナルドの銃を無断で持ち出していたことを証言する。
:反対尋問
●ジョセフ・ジョージ・シャンクス(ヒュームの弓の道具を管理していた下男)
:メリヴェールが提示した石弓と矢の羽根飾りについて証言する。
:反対尋問
●レジナルド・アンズウェル
:ジェイムズの立場において不利な証言をする。
:反対尋問
:メリヴェールの再尋問
●ハーバート・ウィリアム・ダイアーの再尋問
:メリヴェールが提示した、ゴルフ服とスタンプパッドを確認する。
●ウィリアム・ラス・コクラン(駅の荷物預かり所の主任)
:駅にあずけられたスーツケースの中に、石弓、ゴルフ服、ソーダ水のサイフォン等が入っていたことを証言
●モットラム警部の再尋問
:ここでモットラムの証言を借りて、メリヴェール、“ユダの窓”の存在を明らかにする。
<被告人側最終弁論>
<追訴者側最終論告>
<判事による総括論告>
<判決>
「ほんとうに起こったこと」