絞首台の謎
The Lost Gallows   1931

 アンリ・バンコランとジェフ・マール、そして元警視庁副総監のジョン・ランダーボーン卿がクラブに集まって四方山話をしているとき、部屋に絞首台の模型があることに気づいた。その絞首台がエジプト人、ネザム・エル・ムルクに届いたときからこの惨劇は幕を開けた。そしてネザムの机の上に奇妙な人形が置かれたとき、<ジャック・ケッチ>が甦る。

 一行がクラブを出たときに暴走する車に遭遇する。一瞬、運転席を見たとき運転手は死んでいるように見えた。暴走車を追跡していき、やがて停車した暴走車を調べると運転席で黒人の運転手が喉を切られて死んでいた。この車はネザムの物で、死んでいたのはネザムの運転手。はたして、死者が車を疾走させていたのだろうか?

 さらに警察の元に「ネザム・エル・ムルクが今夜ルイネーション街の絞首台で首吊りになる。」という匿名の電話があったという。実際にネザムは行方知らずに成っていた。ネザムの秘書というグラフィンという男に問いただすが、何かを隠しているようで要領を得ない。それにルイネーション街という場所はどこにもなく、誰にも心当たりがない。そして絞首台の模型に人形が吊るされていた。ネザムの死を暗示するかのように。

 そんなときマールの元に前回の事件で係わり合いになったシャロンという女性から電話がかかる。隣に住むコレットという女性の様子がおかしいので助けてくれないかと。そのコレットという女性はネザムの情婦であり、なにか手がかりが得られるのではないかとマールはシャロンの元へ向かう。

 そこでコレットから、コレットを巡る二人の男とネザムとの過去についてを聞くことになる。コレットを巡ってド・ラヴァチュールとキーンという男が決闘をし、キーンが相手を撃ち殺したという結末に。それをネザムは目撃し、裁判で証言したことによりキーンは絞首刑にされたという。しかし、この事件においてネザムの役割というのが疑問視されるのである。キーンをはめたのではないかと・・・・・・

 その後は小人のボーイ・テディが何かを見たと騒ぎ出したり、キーン著「失われし土地の物語」という本が見つかったり、コレットの面倒を見ていたピルグリム医師と会見したりと事件は停滞したかのように思われた。

 しかしまた、警察に匿名の電話がかかってきて、「コレット・ラヴェルヌがルイネーションの街の絞首刑台で処刑された」という。コレットに見張りを立てていた、警官が殺されて、コレットはネザムと同じように行方不明に! 彼らは<ジャック・ケッチ>を名乗る男に処刑されたのか?

 そして遂に、バンコランが犯人について語り始め、彼を罠にかけると言い出す。次に狙われるのはネザムの秘書のグラフィンであると。ジェフ・マールはバンコランの指示により、酔っ払ったグラフィンと同じ部屋で共に時を過ごす。そしてそこで正体が明らかになったのは!?



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