<第一部 コックリル・カクテル>
「事件のあとに」 (After the Event)
コックリル警部は老刑事から“オセロー事件”と呼ばれた事件のことを聞いていた。その事件とは・・・・・・
イギリスの劇界きっての名門・ドラゴン一座。兄のジェイムズと妹のリーラが役者を務め、父親のアーサーが演出家でありマネージャー。名門の名に恥じない一座であったが、ジェイムズがグレンダ・クロイと結婚したことにより陰りがさす。グレンダはとある件によりジェイムズを脅迫し、無理やり結婚を迫ったのである。そして、ドラゴン家の一員になってからはわがままを通し、実力に満たない主役の座を要求してきたのである。そんな折、グレンダが殺害されるという事件が起こる。容疑は当然のごとくジェイムズにかけられるのであったが・・・・・・
「血兄弟」 (Blood Brothers)
おれとフレッドは双子の兄弟で、見分けがつかないくらい似ている。おれたちは仲が良かったのだが、フレッドの彼女だったリディアをおれが寝とってからはぎくしゃくしだした。しかし、そのリディアは凶暴な夫がいて、現在は刑務所に入っているという危ない状況。ある日、おれとリディアがドライブをしていたとき、あやまって子供を轢いてしまう。おれたちは、さっさとずらかったのだが、そんなおれにフレッドがとある提案をしてきて・・・・・・
「婚姻飛翔」 (The Hornets' Nest)
コックリル警部は資産家であるサイラス・キャクストンの結婚式に来ていた。サイラスは亡くなった妻を介護していた看護婦のエリザベスと再婚することになったのである。しかし、その結婚式の最中、コックリル警部の目の前でサイラスは毒殺されてしまう。いったい誰が、どのタイミングでやったというのか。容疑者は看護婦のエリザベスを密かに狙っていた三人の男たち。サイラスの息子であるシオ、亡き妻の連れ子であるビル、主治医のロス。死の間際、サイラスは自分の新妻と周囲の男たちに対して、蜂の飛行をもって例えていたのであるが・・・・・・
「カップの中の毒」 (Poison in the Cup)
医者の妻であるステラのもとに、「モルヒネを致死量飲みました」と言いながら女がやってきた。実はそれは狂言であり、彼女(看護婦であるケリー)は、ステラの夫リチャードを貶めようと、騒動を起こしにやってきたのだ。子供ができたと言いながらヒステリーを起こし、わめきたてるケリー。そこでステラは彼女に毒を盛り、その行為がばれないようにと痕跡を消そうとする。翌日、ケリーは死亡し、警察たちがやってくる。コックリル警部は捜査の末、ステラに対して・・・・・・
<第二部 アントレ>
「ジェミニー・クリケット事件」 (Murder Game)
若者は老人に事件の話をする。その話は“ジェミニー殺害事件”と呼ばれるもの。事務弁護士である70歳のトマス・ジェミニーは犯罪による加害者や被害者の家族の子供たちをひきとり面倒を見ていた。その子供たちは“ジェミニー・クリケット”と呼ばれていた。そのうちの一人、ルーパート・チェスターがジェミニーの事務所にやってきたとき、部屋には鍵がかかっていて、煙が立ち込めていた。駆けつけてきた警察と共にドアを破り、部屋へ入ると・・・・・・ジェミニーが閉ざされた事務所のなかで椅子にくくりつけられ殺害されていた。さらに、この事件に関係しているのかしていないのか、付近を巡回中の警官が別の場所で殺害されているのまで発見される。犯人はいったい・・・・・・
「スケープゴート」 (The Scapegoat)
十三年前に起きた怪事件。偉大なる奇術師、ミスター・ミステリオーゾに当てられた脅迫状。そうして、彼が病院の定礎式に出席したとき、銃撃されるのだが死亡したのは彼ではなく、忠実な付添い人であった。銃が発射されたと思われる向かいの建物にはカメラマンと警備していた警察官のみ。結局犯人は捕まらなかったのだが、周囲の者は警察官を疑い、彼は警察から追われる羽目となり、失意のまま死亡する。その息子は父親は無実だと訴え、カメラマンを憎み、精神科にかかることとなる。十三年前、何が起きたのか真実を確かめるために、当時の関係者が集まることとなり・・・・・・
「もう山査子摘みもおしまい」 (No More A-Maying・・・・・・)
洞窟の泉で農夫の娘のミーガンが死亡しているのが発見された。これは自殺なのか他殺なのか? 警察は彼女と付き合っていたと思われるヒッピーのクリストウを疑う。実はミーガンの死体が発見されるとき、とある目撃者がいたのであったが・・・・・・
<第三部 口なおしの一品>
「スコットランドの姪」 (The Niece form Scotland)
金を貯め込んでいるという噂の老婆がいた。彼女は自分の姪に殺されると周囲にもらし、家の戸じまりを厳重にしていた。その老婆のもとから盗みを働こうと画策していた男女の泥棒のコンビがいたのだが・・・・・・
<第四部 プチ・フール>
「ジャケット」 (Hic Jacet)
作家の男は邪魔になった妻を殺害しようと計画を練る。わざと腕に怪我をして、タイピストを雇い、そのタイピストにアリバイを証明させようと考えた。そして計画を実行してみたのだが・・・・・・
「メリーゴーラウンド」 (The Merry-Go-Round)
とある婦人が自分の娘を良い学校に入れようと夫の友人の男に頼みこもうと思っていた。しかし、そうする前に当の夫が亡くなってしまう。すると夫の死後、夫の友人が彼女を訪ねて来て、彼女は夫の生前の行為により脅迫されることになるのだが・・・・・・
「目 撃」 (Upon Reflection)
その婦人はタクシーの中から資産家の男が見知らぬ男と車に乗り合わせているのを目撃していた。その直後、資産家の男は殺害されてしまう。婦人は自分が目撃したものを警察に告げ・・・・・・
「バルコニーからの眺め」 (Form the Balcony)
仲の悪い夫婦がいた。妻の方はバルコニーごしに隣の家の老婆がこちらの家を見ているのを気にしていた。あらぬ噂をたてているのだろうと。そうして夫婦の仲が最悪となったとき・・・・・・
<第五部 ブラック・コーヒー>
「この家に祝福あれ」 (Bless This House)
老婆は自分の家の軒先で雨宿りをする若い夫婦を見つけた。もうじき子供が生まれるにもかかわらず、行き先がないというのである。老婆は何故か、その夫婦に納屋を貸してしまい、夫婦は無事に子供を産むことができた。老婆はその生まれた子供を見たとたんに神聖化してゆき・・・・・・
「ごくふつうの男」 (Such a Nice Man)
夫が仕事に出かけていて、ひとりで過ごしている妻のもとに、その男はやってきた。そのストーカーのような怪しい男はあくまでも自分は“ふつうの男”といい張るのだが・・・・・・
「囁 き」 (The Whispering)
ダフィは気の乗らないサイモンをけしかけて、いかがわしい店として有名なバーへと行った。そのバーでダフィにとって不愉快なことが起き、腹を立てたダフィは父親に無理やりサイモンにと・・・・・・その嘘により、父親はとてつもない行動に出てしまい・・・・・・
「神の御業」 (The Hand of God)
ろくでなしの男による無謀な車の運転により妻と娘を亡くしたエバンズ巡査。しかし、そのエバンズ巡査が証言をしたことにより、加害者の男は無罪放免となる。エバンズ巡査の真意は!?
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