あるところに猟師がすんでいました。
猟師はある日、湖水に飛んできた一羽のそれはそれは美しい
きれいな色をした水色の白鳥を見つけました。
「なんて変わった色をした水鳥なんだ 捕まえてやれ」
水鳥はおとなしく従順で抵抗(ていこう)をしませんでした。
水鳥は猟師の家の大きな大きな庭園の中のプールで飼われました。
猟師の家はそれはそれはお金持ちでしたから。
水鳥は仲間の鳥たちとひとり離れてさびしそうでした。
それを見た猟師は、 あろうことか、水鳥の風切り羽を片方切ってしまいました。
自分から離れて遠くへ飛んでなどいかにように。
猟師はそれはそれは孤独でしたから。
水鳥はなきました。
「私だって、もっと自由がほしいわ」
風切り羽を切られた左側の羽は飛ぼうにも上に上がりません。
猟師はそれを見て不敵に笑いました。
「しばらくそこにいろ」
水鳥はがまんしました。
来年の春が来たら羽が生えそろうのが分かっていましたから
水鳥は大きな大きな庭園のプールの中で精一杯飛べない ふりをしました。
猟師はそのたびに喜びました。
水鳥も楽しそうなふりをしました。
それに春までは一緒にいてあげたかったのです。
水鳥は優しくもありまた孤独でもありました。
来年の春がきて 羽の生えそろった水鳥は 猟師が見守る中、南へと飛んでいきました。
猟師もその頃には分かっていました。
こんなことをしてはいけないと 猟師はつぶやきました。
「きみの好きな場所へ」
水鳥は高らかに飛んでいきましたとさ。
おわり