星粒’S ROOM
静かな痙攣 投稿日: 5月27日(日)09時35分24秒 雨の朝は |
だるい午後 投稿日: 5月 9日(水)22時48分20秒 誰かが公園のベンチを立つと |
ゼラチン 投稿日: 3月19日(月)22時38分49秒 ゼラチンのような心 うやむやにできないいろいろなころ 揺れて ぷるぷると 不安定 なときは 丘のうえから ゆうぐれの海を見下ろした 其処も ゼラチンのように揺れている。 すこし 時間をかければ うすむらさきのワインゼリーの波間 になるの を知っている だから こころがゼラチンになったときは 焦らないで まず 靴を脱いで そっと しのびあしで からだをほぐす体操をして 其れから 海のゼラチン ながめにゆく べらんだへ うなじに吹く 柔らかい 風 |
遠景 投稿日: 3月 6日(火)15時00分08秒 川の流れは、 ワルツを踊っているようにゆったりとうねる。 黒く、羽ばたく 無数の鳥 初めてお出ましのあれらは 残雪の かわらに じっと身を寄せ合うように見えた。 光りが 午後には まろやかな口当たりの お酒の色に変わり 良く眼を凝らせば 鳥は 雪の溶けた黒土だった。 其れが わたしの目には 鳥の光りに 見えたのだ。 太い橋のたもとで わたしは 川になる。 すると 鳥のような黒土が こおばしい薫りを 川風に乗せてきた。 鞄につけた鈴がちりんちりん 鳴っているのか こどもたちが駆け出している |
既婚 投稿日: 2月13日(火)21時44分53秒 指輪に枷をかけられたように想う日々は 砂の僻地に埋れて もうアリバイも無く、 遠のいた微熱の幸福は、 噛み砕いた、錠剤の味気無さ のように しろくひからびてわたしの こころの底でじわじわと 腐乱してゆく |
逆上がり 投稿日: 2月 7日(水)00時40分48秒 ぎゃくむきのわたし のお下げ髪。 繋がって売っている綺麗な飴玉のネックレス に似ていた。 校舎が 空の海のなかに淡く溶けていて わたしそろそろ お腹の皮が捩れてしまう。 人間の皮でもかぶっているのかしらというくらい からだをよじって よじって 体育のテストまでにまにあうように |
泣き所 投稿日: 1月20日(土)16時02分17秒 まったく君は素直なのだと 詩論をぶつけ合った男に言われ 囲炉裏のある飲み屋で 泣いた冬 まっすぐな心があれば 怖いものなど知らずにいた。 ちくりと胸を刺す 馴染みの友人の 言葉ほどいたかった 冬。 |
中国のカノジョ 投稿日:12月11日(月)23時20分44秒 カノジョはわたしに日本語を使えと言う でもカノジョの会話は中国語だ。 カノジョはきゃんばすのベンチで おせんべいをかじる かりんとうは なんとか と言う中国の揚げ菓子と似ている。 お尻に草がぴゅんぴゅんさわる きゃんばすのべんちで かりんとうをかりかりと齧った それからカノジョは わたしに絵のモデルになるかと聞いた ヌードのモデルだと言うから だめだめとジェスチャー カノジョは意味不明の首をかしげる ポーズ だからわたしはもういちど 中国語でおことわり ナニジンだかわからない かりんとうをつまむ わたしたちを 普通の学生がふりかえらないようでいて しっかりとふりかえって見ている |
キャロットスープを煮ている週末 投稿日:11月19日(日)19時24分29秒 枯野の細くやさしいシルエットの木に 燈のようにかすかに揺れるのは、まだ落ちぬ小さな葉。 子ども達がガチョウの羽のコートを着て 冷えた空間で縄跳びをしている。 もうじき白く降る雪のはなびらの中で 白うさぎのように跳ねまわるのだろう そんな季節に わたしは首の根元までそっくりセーターの温もりにしまい込み スローテンポで キャロットスープを煮ている。 誰もたずねてはこない週末は、 街路にも車の警笛は聞こえず、 キャロットスープを口を窄めて舌先であじわい 肩を竦めてちいさなやけどを負った 其れと言うのもはと時計が 決まった時刻を告げたならあなたに 電話をかけるから キャロットスープの甘い匂いが さびしい冬の部屋にすこしずつただよう頃 日はすこしずつさしこんで 窓枠がはちみつのようにとろける |
すれちがい 投稿日:10月31日(火)15時10分01秒 すれ違い は振向いた瞬間に気づいた時 ひとは 改札の国へぱくんと飲み込まれて 足踏みしながら行進して行った すれ違い はとろうとして切れた受話器の冷たさ 使われておりません の無機質 かけても かけられても すれ違いは 起きて なにをかんがえているのかおしえて ときいたとき なにをかんがえているのかおしえない といわれて 爪を噛む |
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