繋がっていた部分が離れ、悠人の蕾からぬるりと優作の精液が出てくると、悠人の身体は気だるそうにびくりと震えた。
 優作は近くにあったタオルで、汗と精液にまみれた悠人の身体を拭いてやった。
 悠人の身体が冷えてくると、背中の龍も徐々に姿を消していき、やがて元の白い背中になった。
 自分と悠人の後始末をしながらも、優作は悠人に何て声をかけていいのかわからないでいた。
 聞きたいこと、言いたいことは山のようにある。
 けれども、いくら成り行きとは言え、自分が傷つけてしまった少年に、さらに追い打ちをかけるようなことは言えない。
 床にくったりと横たわる悠人を抱えベッドに寝かせると、悠人の額にじんわりとにじんできた汗をそっと手で拭く。
 悠人が薄目を開けて優作の顔をのぞき込む。その顔に表情はない。
 優作があれこれと悠人に掛ける言葉を探していたとき、悠人の方から口を開いてきた。
「叔父さんに……連絡する……の?」
「あ、え?」
 先に声をかけられ、しかもその言葉に、優作は少なからず動揺した。
 優作が何か言おうとする前に、悠人はがばっと上半身を起こして、優作の腰にしがみついた。
「お願い! 言わないで! 叔父さんの処へ連れていかないで! お願いだから!」
 セックスの終わった後で何処にそんな力が残っていたのか、悠人は大声で懇願してきた。
 悠人の迫力に、優作は少々たじろいで後ずさりしてしまった。
「お、おい…?」
「お願い! 何でも…何でもするから!」
 悠人はそう叫ぶなり、まだしまわれていない優作のペニスに手を掛け、口に含んだ。
 両手で包み込むように優作のペニスを持つと、まだ精液がこびり付いている先端部分を、洗うように舐め回す。
「ちょっ……ちょっとまて、こら!」
 いきなりのことに優作は驚いて、自分のモノを口に含んでいた悠人の頬を持ち上げ、奉仕を中断させた。
 今にも大粒の涙が溢れそうな悠人の大きな瞳は、必死に何かを訴えていた。
 優作は怯える悠人を優しく抱きしめ、なだめるようにとんとんと背中を叩く。
「いい子だから、とりあえず落ち着け。な?」
「でも、でも……」
 その後は声にならず、ただ胸の中ですすり泣く悠人を、優作は軽く背中を叩いてなだめた。
 他人をなだめながらも、悠人が奉仕した部分が中断されたことに不満を申し上げるようにいきり立つ。我が息子ながら、優作は何となく情けなくなった。
 若いなー、オレも。
 苦笑いを浮かべながらも、こちらも何とかなだめてズボンの中に収めると、また出てこないようにしっかりとジッパーを閉めておく。
「とりあえず、コーヒーでも淹れてやろうか? 少しは落ち着くと思うけど」
「……ん」
 涙でくしゃくしゃになった顔を、悠人は拳でごしごし擦ると、こくりと小さく頷いた。
 優作は悠人の頭をくしゃくしゃとなでると、悠人の裸体に毛布をかけた。
「ビンや蛍光灯の破片が散乱しているからな。危ないからここで待ってろ」
 そう言うと、優作は毛布に包まれた悠人の身体をひょいと持ち上げ、ベッドの上に座らせた。
 まだ体のだるい悠人は、大人しく優作のなすがままに任せた。



探偵物語

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