実験方法

 本実験は回流式風洞を使用し測定部を開放した状態で行った。また地面効果は固定地面板法で表現した。
実験に使用した自動二輪車模型と自動車模型で、縮尺は共に実車の10分の1である。大型バスの模型の寸法は全長500mm、全幅250mm、全高270mmである。普通ワゴンの模型の寸法は全長500mm、全幅170mm、全高160mmである。それぞれの自動車模型の床下地上高は80mm、40mm、0mmと同一に変化させた。ライダーを含む自動二輪車の模型の寸法は全長200mm、全幅70mm、全高175mm、前面投影面積0.00760m2である。ここで、大型バス模型と普通ワゴン模型の全長を統一したのは、全長による空力影響をなくすためである。
 自動二輪車模型を配置の基準にし、自動車模型と自動二輪車模型との前後間隔、横間隔を変化させた。実験は自動車と自動二輪車が同一方向、同速度で走行しているとして静的に行い、自動二輪車模型に働く空力の測定は6分力天秤により行った。また圧力はスキャニバルブを使用し、自動車模型の右側面の圧力分布を調べた。
 自動二輪車模型の全長の中心を原点として流れ方向にX軸をとり、流れに直角にY軸をとった。XとYは自動二輪車模型と自動車模型の中心間距離をとった。ここで横間隔が大きくなるにつれて、2つの自動車模型の全幅が異なるため、自動二輪車模型との横間隔はそれぞれの自動車模型では異なることになる。よって自動二輪車模型が側方にいる時は、自動二輪車模型の中心と自動車模型の右側面の距離をYBとした。なお、空力の測定範囲は-2.0≦X/Y≦2.0、0.0≦Y/W≦1.0、0.25≦YB/WB≦2.5である。ただし、大型バス模型は0.25≦YB/WB≦2.0である。また、圧力の測定範囲は-2.0≦X/Y≦2.0、0.75≦Y/W≦1.0、0.25≦YB/WB≦1.0である。
 本実験では、レイノルズ数Reは平均4.46×105で行い、自動二輪車の単独走行時の抗力係数は0.577であった。

 模型配置図
      

実験装置配置

  実験装置概略図

実験条件

   速度:33.49(m/s)
   レイノルズ数:4.46×105
   ブロックゲージ比:
   最大のブロックゲージ比を次式より求めた。
(1)自動二輪車模型と大型バス模型の場合



(2)自動二輪車模型と普通ワゴン模型の場合
  


  ここで、
   WA:風洞断面積=1.00(㎡)
   MWA:自動二輪車模型の投影面積=0.00760 (㎡)
   OWA:大型バス模型の投影面積=0.0675 (㎡)
   WWA:普通ワゴンの投影面積=0.0272 (㎡)
 
本実験で用いた風洞の断面積を1.0m2とすると最大のブロックゲージ比は、自動二輪車模型と大型バス模型の場合で7.51%、自動二輪車模型と普通ワゴン模型の場合で3.48%であった。ブロックゲージ比は小さいので風洞壁による影響はないものとして空力諸係数へ風洞壁の補正は行わなかった。


まえがき実験結果