厚生労働省
厚生労働省についてのページですが、旧厚生省についての資料から作りました。そのため、以下は旧厚生省についての話です。
厚生省は生存権を具体化するための国の行政機関であり、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進を図ることを任務としています。その主な内容を表1に示します。
広義の社会保障 |
狭義の社会保障 |
社会保険 |
健康保険、年金保険等 |
公的扶助 |
生活保護 |
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社会福祉 |
障害者、老人、母子等に対する福祉 |
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公衆衛生及び医療 |
結核、精神病、伝染病等対策、上下水道、廃棄物処理等 |
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老人保健 |
老人医療等 |
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恩給 |
文官恩給等 |
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戦争犠牲者援護 |
戦没者遺族年金等 |
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関連制度 |
住宅対策 |
第一種・第二種公営住宅建設等 |
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雇用対策 |
失業対策事業等 |
社会保障の体系、範囲については、それを定めた法律はないので、表1はよく用いられるものにすぎません。
何をするにもお金が必要です。そこで厚生行政のお金について調べてみました。まず収入は、大きく分けて利用者の負担、税金と保険料になります。支出は、社会保障給付費です。
政府の予算には、社会保障関係費という項目があり、生活保護費、社会福祉費、社会保険費、保健衛生対策費、失業対策費から構成されています。平成10年度の国の一般会計予算の規模は約77.7兆円です。予算の実体的部分は一般歳出と呼ばれています。社会保障関係費は、平成10年度で14兆8431億円であり、予算全体の19.1%、一般歳出のなかの33.3%を占めています。社会保障関係費の大部分14兆4280億円は、厚生省が所管しています。
政府の予算には一般会計のほかに特別会計があります。政府全体では、38の特別全計があるが、厚生省は、厚生保険特別会計、国民年金特別会計、船員保険特別会計、国立病院特別会計の四つの特別会計を所管しています。厚生保険特別全計は、政府管掌健康保険と厚生年金保険の経理を行っています。国民年金特別会計と船員保険特別会計は、それぞれ国民年金と船員保険の経理を行っています。国立病院特別全計は、国立病院.療養所を運営するための経理を行っています。
政府の予算にかかわるものとして、「第二の予算」といわれる財政投融資があります。郵便貯金や年金積立金、政府の特別会計の余裕金などは大蔵省の資金運用部に預託され、大蔵省が管理・運用を行っています。その運用の大きな柱が財政投融資であり、政府関係機関・特殊法人に融資するしくみです。平成10年度における厚生省関係財政投融資資金計画は、総額8兆6686億円となっていて、これらの資金は、年金福祉事業団、社会福祉・医療事業団、環境衛生金融公庫等に融資されています
国の予算の約2割(約15兆円)が健康のために使われていたんですねー。そして政府の予算約15兆円に対し、財政投融資が約9兆円もあるのに驚きました。日本は国が健康保険を管理しているのでややこしいですね。医療保険についてはまた別の機会に述べます。
社会保障給付費は、ILOの基準に従い推計されています。社会保障給付費を「医療」「年金」「その他」(福祉関係)に大別すると、医療が24兆592億円(37.2%)、年金が33兆4986億円(51.8%)、その他が7兆1868億円(11.1%)となっています。社会保障に必要な財源は、租税、社会保険料、利用者の負担などによりまかなわれています。
福祉サービスは法的には社会福祉事業とよばれ、第1種と第2種社会福祉事業に分類される。第1種社会福祉事業は、強い規制と監督の必要性が高い事業である。経営主体は、国、地方公共団体又は社会福祉法人に原則的に限られている。サービスが提供されるかどうかを決定するのは行政であり、施設への入所は法律上「措置」と呼ばれている。措置にかかる費用を措置費と呼び、措置を行った行政主体が施設に全額支払う。その後負担能力に応じて、措置費の一部又は全額を徴収する。残りは国や都道府県が負担(補助)する。最近では、措置制度から利用者と施設との契約制になりつつある。
なんだかややこしくなってきました。ここらで厚生行政のお金のながれを振り返って見ましょう。
収入 | 支出 |
税金 | 医療 |
保険料 | 年金 |
その他(患者負担金等) | 福祉関係 |
財政投融資 | その他 |
表1のように厚生省が行う施策はいろいろな分野に及びます。国民の健康に対する思いがより強くなっていく今、より多くの負担が求められることは必然のことです。
参考文献「厚生行政」 中村吉夫 株式会社ぎょうせい H10 6月20日発行