とは言うものの

俺だって中田英寿を見に行ったわけで(笑)。

「ヒデー(こっちむてくれー)」みたいなことは言わないけど、サポーターのコールに合わせて、
「ヒデ、ゴール♪ヒデ、ゴール♪ヒデ、ゴール、ゴール、ゴール♪ヒデ、ゴール♪」
と言うやつは、やりたいと思ったしね。
サッカー観戦も一種のライブ感覚はあるから、じっと試合をみてるより歓声をあげたりしたくなるのは皆同じなんだろうと思う。

まぁそういう感覚は、世界大会のアジア予選ような重要な試合の、ゴール裏とかのサポーター席を確保できたときに取っておいて、今回はピッチからほど近い席からみた試合・選手の感想も書いておこうと思う。(というよりも、それが観戦レポートって言うもんだ。)

【中田英寿】
テレビ画面や写真を通して見ていたとき、あるいは今までスタンドの後方の高めの位置から見ていたときには感じなかったのだけれど、ピッチに立ったヒデは、思いのほか小さかった。
それなのに、ヒデにマンマークについた相手選手は、全くと言っていいほど太刀打ち出来ていなかった。ヒデにパスが出たところにプレッシャーをかけてもかわされ、ヒデがキープしているところにアタックしてもことごとくブロックされていた。
やはり、サッカーは身長ではないんだなということを肌で感じることができた。

【稲本潤一】
この試合では、攻撃的ボランチの位置に入っていただろう。
最も印象に残るプレーをしてくれた。
前半のなかばのプレーだったろうか。
韓国のMF選手にパスが渡り、そこから韓国が攻撃に転じようとする瞬間だった。
稲本がものすごいタックルをその選手に浴びせ掛けたのだ。
ものすごい音がスタンドまで聞こえてきた。
こういうことは、ピッチに近い席ならではのことなのだろう。
パフォーマンスも素晴らしい出来で、サッカーの解説者の間では「影の功労者」と評されていた。

【DF陣】
このチームのキャプテンでもあるセンターバックの宮本恒靖は、自チームのガンバ大阪においてもレギュラーポジションを獲得して久しい。この試合でサイドバックを務めた中田浩二と辻本茂輝は、今年の4月にワールドユース選手権で準優勝したチームで、やはりサイドバックを務めた二人だ。
無論、サッカーにおいて守備に回ったとき、決定的な危機に陥れられたとしても、それはDFのみの責任ではない。相手の攻撃に転じた際、FWもボールを追ってプレッシャーを掛ける必要があるし、所謂「中盤が間延びした状態」では、DFがどんなに頑張っても劣勢になることは避けられない。
そう言ったことを理解した上で、敢えて不遜を言うのだが。
実に危なっかしいDFラインだった。
後半は韓国チームの士気が下がっていたため、言うほどではなかったが、前半の特に立ちあがりは、見ていてハラハラさせられた。
DFラインの裏の広いスペースを易々と取られる。クロスボールを競り勝つことができない。繋ぎのパスをカットされる場面もあった。
やはり個々のポジショニングの問題だと思う。ポジショニングは練習で修正できるのだが、宮本以外メンバーが定着していないため、徹底されていないのだろう。
今後、GKも含めて、DFライン裏のボールの対処を徹底する必要があるだろう。

【韓国チーム】
デカかった(笑)。スピードもあるみたいだし。
でも、FWの余東国以外は、みんな大学生なんだよね。
若手の指導を韓国は怠ってるとしか思えない。最近はKリーグも盛り上がってきているようだけど、ユース年代の選手の育成を考えて行かないと、2002年も危ぶまれるのではないだろうか。

【FW選手H(笑)】
はっきり言って、俺が監督ならこの選手を代表には選ばない。
1次予選ではチーム内で最も点を取ったらしいが、フリーの状態で自分の足元に転がったボールをゴールに蹴り込むという、サッカー選手ならだれでもできるプレーをやったにすぎない。
この選手がボールを持っても、得点の期待を感じることができない。
FW選手というのは、良い形でボールをうけると、トラップの際にゴールに向かってボールを落とし、その時点で相手DFを抜いた格好に持っていく。それと同時にシュートの体勢に入る。
そういうFW特有の点を取る動きができない。できないから、誰も期待してない。
点を取っても、「お前が入れなくていい!」とまで思った(笑)。
彼はこの日、2得点した。得点した瞬間、「俺が点を取ったんだぞ!!」とばかりに、サポータに向かってアピールしていた。しかし、チームメイトが誰も彼のところに祝福に寄っていかなかったのが気になる。この日、他に得点した2人のもとには、チームメイト全員が集まって祝福してたのに。

【試合について】
試合をほぼ真横から観たのは初めてだったのだけれど、全体を見渡して、フリーの選手はどこにいるのか、スペースはどこにあるのかという戦術を見るのには、この席は向いてないように思えた。
しかしながら後半は、日本のバックラインがちょうど目の前に敷かれ、オフサイドを取るタイミングや、相手の裏を狙ったロングボールのDFの処置等がよく見えた。
そういう意味もあって、DF陣に酷評まがいなことを書いたんだけれども。
でも「これくらいやれれば」という試合内容だったので、個人的には安心して本番に臨めるってのが本音。
実際、シドニー五輪本選に向けた調整を考えてもいいと思う。
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