咲村的レース回顧


予想ページと併せて、結果を確認し、次回につなげましょう(笑)。
今回はG1、第69回・東京優駿(日本ダービー)です。
前回の第125回・天皇賞(春)の回顧はこちら


ジンクスは覆える〜第69回 東京優駿(日本ダービー)

 府中は午前中から晴れて、文字通り五月晴れといった感じの爽やかな天候でした。……レース直後からエライ状況に変わりましたが(苦笑)。馬場状態としては可もなく不可もなく、といった感じで、いわゆる「ごく普通の良馬場」だったと言っていいでしょう。レコードが出るほどパンパンな状態でもなく、勝ち時計からすれば平均的なものが予想されるような。多少荒れていたんでしょうね。馬場の内外の不利は、それまでのレースを見る限り、あまりなさそうでした。内でも結構伸びていましたしね。

予想通りハナを切ったのはサンヴァレーバランスオブゲームダイタクフラッグとダービー馬を父に持つメンバーが続きます。バランスオブゲームの外にゴールドアリュール。人気馬は中団に固まる格好になりましたが、多少シンボリクリスエス鞍上の岡部騎手が持っていかれ加減になっていました(1角過ぎには落ち着いていましたが)。

ペースとしては平均的だったと言えるでしょう。多少縦長になりましたが、ホントに「ごくごく普通」といった感じで、皆持ち味を出せる状態ではなかったかと思います。人気馬の位置取りですが、一番前はタイガーカフェテレグノシス。すぐ後ろにシンボリクリスエスマチカネアカツキが並んで行き、皐月賞馬ノーリーズンはその2馬身ほど後方の内に陣取ります。タニノギムレットはそれをマークするように外目の位置取り。モノポライザーファストタテヤマサスガと共に最後方から追走……といった展開で向こう流しを過ぎて行きます。

大ケヤキの辺りでタイガーカフェノーリーズン鞍上の手が動き始めます。ここら辺りはコースデータを見て頂ければ判ると思うのですが、直線の坂を考えれば、ここで動くと止まる危険があるんで動きたくない所なんですよ。……多少、手応えが悪かったのかもしれません。

最後の直線、馬群は大きく横に拡がりました。ノーリーズンは最内を狙いますが、イマイチ思ったように動きません。そのノーリーズンが抜けようと思ったコースにマチカネアカツキが突っ込んで先頭争いに躍り出ます。その外には先行したまま脚を伸ばすゴールドアリュール。更に外にはシンボリが末脚を繰り出し、その間にはメガスターダムが割って入ります。前2走、前が詰まって苦杯をなめたタニノギムレットは誰にも邪魔されない大外に進路を取りました。

間に挟まったゴールドアリュールメガスターダムを退けて、マチカネアカツキシンボリクリスエスの藤沢厩舎2頭の追い比べになるか、と思った先頭争い。その外からすごい脚でタニノギムレットが飛んで来ます。両頭をスパッと差し切った所がゴールでした。

お手馬が多数いる中で「前走の悔しさを晴らしたい」という一心でギムレットを選んだユタカ。リベンジ達成という格好になりました。しかも、ダービー歴代最多勝の単独トップとなる3勝目の栄冠です。今回は大相撲夏場所の表彰式そっちのけ(相撲は阿部晋三官房副長官)で府中に小泉首相がやってきていましたが、こういう「キモ」になる部分ではユタカの強さが出ますねぇ。キムタクがプレゼンターだった時(スペシャルウィーク)とか(^^;

タニノギムレットシンボリクリスエスの1、2着ですが、以前から馬体を見て「いい馬」と言っていた2頭で決まってしまいました。いい馬の前には、ローテーションの不安(皐月賞後直行しない・トライアルなのに勝ち馬が上位に来ない青葉賞)も関係ないということでしょうか。しかも両方ともオーナーブリーディングホースというのは、いい傾向と言えるかもしれません。首相も表彰式に来たし、タニノギムレットの谷水オーナーは、ヨーロッパのようにシルクハットを被って登場しましたし、咲村の希望する「ヨーロッパ的な、格調高い競馬」っぽい感じでしたね。政治家が積極的に競馬に関わると言えば、那須野牧場を持っていた河野一郎(河野洋平・元外務大臣の父)以来じゃあないでしょうか。これで昭和の頃のように、天皇陛下の臨席を賜れば完璧なんだけどなぁ……。

ノーリーズンは、今回は勝負所での手応えが悪かったですね。あとで伸びてきてはいますが、時既に遅しでした。タイガーカフェは、やはり阪神が2位になったことで神通力がなくなったのでしょうか(苦笑)。阪神首位転落から、ぱったりタイガース絡みの馬券ではなくなりましたし……恐るべしタカモトですねぇ(笑)。テレグノシスは予想通りマイラーでした。マチカネはやはり決め手不足。シンボリは今回はベストを尽くしたのですが、相手の切れ味が勝っていたのでしょう。これで評価が下がる訳ではありません。むしろ長距離になればギムレットより強いと思います。モノポライザーは予想通り、馬体の完成が遅れている故の敗退です。来年秋の天皇賞では面白い存在でしょう。

しかし、レース直後から一天俄にかき曇り、雷鳴と共に大粒の雨が降り出したのには驚きました。英語で俄雨のことを「shower」と言いますが、これはシャンパン・シャワーということだったのでしょうか。そういえば、皐月賞後直行しなかった馬が連対したのは、1992年のライスシャワー(しかもマイルカップの前身、NHK杯経由)以来なのですが、何か因縁があったのでしょうか(^^;
 
 

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二度あることは三度(^^;〜第125回 天皇賞(春)

 最初にお詫びしておかねばなりません。エアシャカールはシンガポール国際カップの間違いでしたね。しかも回避してしまうし(^^;

 当日は雨も降らず、パンパンの良馬場になりました。道悪に持ち味を殺されることもなく、各馬が持てる力を最大限発揮できる馬場状態になったと言えるでしょう。前日のレースを見ていたら、内より外の方が伸びるような印象を受けましたが、当日の様子を見ると、内外の違いはあまり見られず、フェアな状態になっていたようです。

 スタートが一番良かったのはマンハッタンカフェ。ハナに立つような勢いで出て行ってしまいましたが、外からエリモブライアンアドマイヤロードが押して行き、内からもボーンキングが続いてマンハッタンカフェは4、5番手、といった位置取りで一周目の坂を下ります。そのすぐ外にナリタトップロード、外からマークするようにジャングルポケットが続きます。……が、心配していた折り合い面の不安が出ていましたね。口を割って度々首を上げる仕草をしていて、鞍上の武豊騎手がてこずっているようでした。

 しかし、ここからがユタカの技術でしょう。徐々に進路を内に取り、一周目スタンド前では、トップロードの内、埒沿いに馬を導いていました。前に馬を置くことで、行く気をそいだ訳です。名前通り「ポケット」したんですね。このお陰で、あからさまに行く素振りは見せなくなりました。ただ、これからも鞍上と完全にリズムが合っていた訳ではなかったと思います。かなり武豊騎手は苦労しているようでした。

 先頭はエリモブライアン。須貝騎手が必死に引っぱりながらアドマイヤロードが続きます。逆にハナを奪いに行ってもよかったのではないか、とも思ったのですが……(これは咲村の買い目に有利な展開を希望した訳です)。向正面ではこれにボーンキングが続き、三強は態勢を変えることなくその後ろ。馬群後方ではサンライズペガサスが脚をためます。ペースとしては澱みないややスロー、といったところでしょうか。このままの状態で、馬群は二周目の坂にかかります。

 ここで動き出したのが早かったのはマンハッタンカフェ。期を同じくして、ナリタトップロード鞍上の渡辺騎手の手も動き始めました。ジャングルポケットは内にササり気味で、仕掛け始めるどころではなかったようです。直線に入ると、真っ先に抜け出したのはマンハッタンカフェ。本当ならトップロードの方が先に行きたかったでしょうが、先手を取られてしまいました。内からボーンキングが追いすがり、外からはトップロードもやってきます。ジャングルポケットは大外に回りました。

 直線。逃げるマンハッタンカフェを外からトップロードが差を詰めます。が、末脚のキレという点ではマンハッタンカフェに分がある為に思うように詰まっていきません。そうこうしているうちに、大外からジャングルポケットが顔を曲げ、舌をブラブラさせながらも飛んできて、トップロードを追い落とします。次はマンハッタンカフェだ……とクビ差まで詰め寄った処でゴール。トップロードは3年連続の3着に敗れ、4着はサンライズペガサスの猛追をしのいだボーンキングでした。ハナを切ったエリモブライアンアドマイヤロードはそれぞれビリとブービー……という結果でした。

 咲村の予言通り、三強はそのメンバーで決着しましたが、エリモブライアンはハナを切るべきではなかった……とは思うんですけどね。さて、ジャングルポケットはその気性難で大魚を逃しました。しかし、場合によっては大崩れするような道中をなだめきったのはユタカの上手さだと思います。馬体だけを見ると一番のデキでしたけれど、レースにおいては、マンハッタンカフェの方に一日の長があった、と見るべきでしょう。トップロードは、ああいう展開になってしまうと決め手で見劣りしてしまう不安がモロに出た形。非常に残念ですが、もうG1奪取のチャンスは消えた、と言っても過言ではないと思います。

 トモの張りなどを見ると、マンハッタンカフェはまだ成長の余地があり、もう一段強くなりそうです。この距離条件においては、ジャングルポケットマンハッタンカフェの勝負付けは済んだ、と思いますが、府中の2400では、まだまだジャングルポケットの方が上だと思います。——もう彼らの現役中に、府中で雌雄を決するという機会はないでしょうから、チャンピオンディスタンスでの決戦は海外で……という豪華な展開も考えられるかもしれません。願わくば両馬とも、宝塚記念をスキップして海外に勇飛し、キングジョージや凱旋門賞にチャレンジしてくれれば……と期待します。

 ……そうなったら、宝塚記念はサンライズペガサスのモノでしょうね(^^;

 
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