冬の季節 【1】


キスをしながら、涼介が言った。

「お前、唇荒れてるな」

啓介はびっくりして、目を見開いた。

そして、涼介から体を離して、自分の唇に触れた。

(・・・ホントだぜ・・これじゃアニキに言われてもしょうがねェかも・・)




そのままボーっと、している啓介に、涼介は、

なにやら机の引き出しから何かを取り出した。

ボーっとしている啓介の顎を左手で軽く添えると、

その唇にリップを塗った。




「・・ん?何してンだ?アニキ」

啓介が気がついたときには、もうリップは塗り終わっていた。

どことなく嬉しそうな涼介が満足げに

「これからはこれを塗るんだ。啓介。」

「これはオレからのプレゼントだ。」

とまあ、何とも誇らしげに言った。




「サンキュー、アニキ」

とにかく兄からもらえれば何だって嬉しい啓介は、

にこにと、そのリップを受け取った。

そこへ、

「啓介、言っておくが、それは他人の前では

(特にREDSUNDSのメンバー)塗るなよ?」




「・・どうしてだよ?アニキ?」

子鹿のように小首をかしげて訊ねる啓介の姿に

涼介はぐらっ、ときながら、やっとのことで、

「とにかく、オレが塗るなと言ったら塗るな。」

という説得力があるんだかないんだか分からない涼介の

言葉に、啓介は、

「分かったぜ」

と、簡単に納得してしまった。 そのおバカさ加減がかわいくてかわいくて仕方のない

ところなのだが、逆に心配になる涼介なのであった・・・。




総受け啓介シリーズ・・続く・・

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