「アンジェ〜気になるじゃねぇか!」

「つまり僕とゼフェル様は君とって、それほど重要じゃないってこと?」

「そ、そうなの!おめーにとってオレはどうでもいい存在なのか!?(思わずアンジェの肩を掴んでガクガク)」

「・・・違います!ただ、美しいものとか快いものとか・・・そんな単純なものじゃなくて・・・」

「よく分かんねぇよ!はっきり言ってくれ!オレとセイランどっちが好きなんだ!」

「ゼフェル様、痛いです。・・・セイラン様、私・・・今日はスケッチできません・・・」

「あ、悪い!(慌ててアンジェを離す)」

「なるほど、ね。ま、それも君の感性が上がっている証拠なのかもしれないな。でもアンジェリーク、大切なことはそれほどたくさんは存在しないものなんだよ。君はそれを分かってる?」

「大切なこと・・・ですか・・・」

「そうだぜ!オレにとって大切なのはっ・・・(真っ赤)」

(セイランの方を向いて)「そんなことないです。大切なものたくさんありますよ、セイラン様」

「おめーならそう言うんだろうな」

「だって、今感じましたから・・・。・・・たくさん・・・私が大切にしたいもの」

「やっぱりアンジェは女王に向いてるのかもな・・・」

「ゼフェル様?」

「でもアンジェリーク。君はいずれ、その無数の大切なものから選ばなくてはならない時が来る。」

「選ぶ・・・それって・・・」

「オレの大切なのは一つだけどおめーはたくさんある。それはきっと女王の資質ってヤツなんだろうな。オレが一人占めしちゃいけねぇのかもな・・・」

「ゼフェル様の大切なもの・・・・・・?」

「でもゼフェル様、あなたも、そして多分僕も同じように選ばなきゃならないんだ。」

「選ぶも何もオレはアンジェだって決まってんだよ!」

(ゼフェルの言葉に真っ赤になる)「!」

「だそうだけど、アンジェリーク?」

「オレの大切なのは・・・アンジェの笑顔なんだ!(真っ赤っ赤)」

「私・・・」(真っ赤なまま俯く)

「アンジェが女王になりてぇなら協力してやる。もし嫌ならオレが陛下やジュリアスに土下座してでも女王にするなって頼んでやる。決めるのは・・・アンジェだ」

「ゼフェル様・・・私・・・ぜフェル様にそんなことして欲しくありません。」

「僕は・・・何も聞かなかったことにしといてあげるよ。」

「アンジェ・・・。おめーが笑っていられるなら何だってやってやる」

(頭を振って)「私、ゼフェル様にしてもらえるような子じゃないです。だから・・・」

「どういう意味だよ?もしかしておめーオレ以外のヤツが好きなのか?」

「違います。ただ、自分の事くらい自分で決めないと私・・・ゼフェル様に甘えるだけになってしまうから・・・」

「そっか。そういう意味か・・・(ホッ)ってことはおめーの好きなヤツって・・・」

(更に真っ赤になって両手で顔を覆う)

「アンジェ(ドキドキ)」

「・・・私・・・」

「何だ?」

(成り行き見守り中)

「(アンジェしか見えてない)」

(手で顔を隠したまま小さな声で)「・・・セイラン様といる時・・・快い・・・って思います・・・いいえ、他の方たちといる時も・・・」

「アンジェ〜〜〜〜〜(ショック)分かったぜ・・・要するにおめーは皆が好きなんだな!?ちくしょー!(青春ダッシュ)」

「・・・でも、ゼフェル様といる時・・・私・・・ドキドキして・・・上手く話せなくて・・・」

「(アンジェの言葉にピタリと足を止める)」

「ゼフェル様、いってしまったみたいだけど?」

「・・・・・・。(泣き出す。泣きながら)・・・い・・・やぁ・・・行っちゃ・・・や・・・ぁ・・・・・・」

「アンジェーーー!!!(戻ってきた)どこにも行かねぇから泣くんじゃねぇよ!(ぎゅっ)」

「・・・わかんない・・・や・・・ぁ・・・どうして・・・・・・?」

「何がわかんないんだ?」

「・・・だって・・・ゼフェル様・・・といると・・・私・・・自分が・・・分からなく・・・なる・・・んです・・・・・・」

「そんなの、オレだって同じだぜ!おめーといると胸がぎゅっとしてどうしたらいいか分からなくなる。でもおめーがそばにいるとすげぇ嬉しい」

「・・・でも・・・一緒に・・・いたいん・・・です・・・」(泣きながら)

「オレもだぜ。ずっとそばにいろよ」

「やれやれ・・・・。アンジェリークはまだ少し人生経験がたりないみたいだね。ゼフェル様がそこらへんは丁寧に教えてくれるんじゃない?」

「オレもよくわからなねぇよ。二人で考えようぜ」

「・・・・・・!(驚いた後に笑顔で)はい、ゼフェル様」

「へへっ。おめーってあったけぇ(アンジェをぎゅっ)」

「きゃ!ゼフェル様?(赤面)」

「わるい!(真っ赤)オレ・・・おめーが好きだぜ。アンジェ」

「・・・・・・(俯いて)・・・嬉しいです・・・」

「そっか?嬉しいのか(テレテレ)」

「はい!(にっこり)」

「今度の授業を受けに来る時までスケッチは宿題にしとくよ、アンジェリーク。多分、今なら描けるだろう?」

「(はっ、そういえばセイランもいたんだ)」

「セイラン様・・・私・・・描けません。描くと、嘘になってしまうから・・・」

「ふーん・・・・。じゃあ、ゼフェル様に宿題にしとこうかな。」

「何でオレが!?描けねぇよ。ホントの綺麗さは紙に表わせねぇもんだろ?」

「セイラン様・・・美しいと感じるってことは他人には伝えられない気持ちだと思います。」

「そういう考えかたも、あるかもしれないね。」

「でも、セイラン様が描こうとしてらしたものって・・・・・・?」


「感動したものをかけらでも残しておきたいと僕は思うから。」

「・・・・・・素敵な考えですね。セイラン様、でも感動されたんですか?」(にっこり)

「ふーん。でもオレはわざわざ描いて残す必要ねぇな。何たって本物がそばにいるんだからよ」

「この聖地で一番、僕が心を動かされたものは・・・・そう、無垢な心かな?」

「無垢な心・・・・・・?」

「これからどんな色になっていくのか、も楽しみにしてるよ。ゼフェル様、この僕が期待してるんだから、責任重大だね。」

「・・・?」(ゼフェルとセイランの顔を見る)

「なっ・・・。へっ。オレはぜってぇ守ってやるぜ!」

「ゼフェル様?セイラン様?」(小首を傾げる)

「アンジェ、行こうぜ。メカ見せてやるっつっただろ?」

「え?あ、はい。(にっこり笑ってセイランにお辞儀した後ゼフェルに着いて行く)

(そして仲良く執務室へ向かいました)


〜fin〜