心の中の素顔

作:みかん


今日もあいつの姿を見ていない、、、。

栗色のサラサラした髪をいい匂いをさせながら靡かせて、砂糖菓子みてーな甘い顔して笑うあいつ、、、

俺は、甘いもんは苦手だけど、、、

あいつの笑顔は、、、好きだ。

できるもんなら、毎日・毎時間・毎秒でも、見てたいくれーだ、、、。

あいつの白く透き通った肌も、やわらかそうな唇も、握ったら折れちまいそうな華奢な腕も、、、

あいつの存在は、俺にとって無くては成らないモノ。

あいつの存在だけが、俺の生きる意味、、、そんな気さえしてた。

けど、、、

あいつは、俺の前から姿を消した。


。。。☆。。。☆。。。☆。。。


あれは、先月の14日、、、バレンタインとかいう日のこと、、、。

俺の執務室にアンジェがやってきて、真っ赤な顔しながら綺麗に包装された包みを、俺に差し出した。

俺は、バレンタインなんてモノ知らなかったから、ただのプレゼントだと思ってた、、、。

そしたらあいつが、、アンジェが、、、

『これは、私のゼフェル様への気持ちです!開けてみてください、、、。』

とか言い出すじゃねーか。俺は内心焦ったぜ!アンジェの気持ちって、、、

“もしかしたらこいつも俺のこと好きかもしんねー!”とか思ってたけど、

直接、アンジェに聞いた事はねー。

それに俺の性格がこんなだから、、、やっぱ、、その、、、んな事聞けねーだろ!?オスカーじゃねーんだからよ!!?

で、気持ちは宙ぶらりんのままだったんだけど、、、

アンジェは、このプレゼントが自分の、、俺への気持ちだと言ってる。

俺は、答えを確信しながら、包みを無造作に破って、箱を開けた。すると!!!

、、、、、、箱の中身はチョコレートだった。

『なんだ!?おめーの気持ちって、、、これかよ!!?』

アンジェは俺が甘いもんを嫌いだって事は百も承知なハズだ。

なのに 『自分の気持ち』だと言って、チョコを俺に渡しやがった。

こいつはそんなに俺のことが嫌いなのか!!!!!

そう思った俺は、心にもないことを口走っちまったんだ、、、。

「俺だって、おめーの事なんざ、何とも思ってねーよ!つーか、とろくさくて目障りなんだよ!!!」

、、、、、あの時、走り去っていくあいつの顔が、、涙が、、、、、俺の目に脳に、、焼き付いて離れねー、、、、、。


。。。☆。。。☆。。。☆。。。


その後ルヴァから、バレンタインってヤツの話を聞かされたときは愕然とした!

俺ってヤツは、どうしてこうも、、、、、、、、自分で自分がイヤになる、、、。

アンジェの悲しみが解ってるくせに、、、自分がどんなに酷いことをしたか解ったくせに、、、

それでも、、あいつに謝りに行くことも、、、素直に自分の気持ちを伝えることも

できない自分が疎ましい。


レイチェルのヤツが言ってたっけ、、、。

「アンジェには、もっと相応しい人がいるはずです!アンジェを泣かせてばかりのゼフェル様なんて、、、私、認めない!」

別に、あいつに認めてもらおーなんざ思ってねーよ。けど、、、レイチェルの言う通りかもしんねー。

たしかに俺なんかじゃ、、あいつを泣かせてばかりになっちまう、、、、、。

こんな俺より、もっと良いヤツがあいつにはお似合いかも、、、、、

最近、、、そんなことばかり考えちまうんだ、、、、、。


続く