24.援助ではなくローン
インドネシアの副大統領の発言をすこし長いですが、全文(Jakarta Post原文>を翻訳しますので一読下さい。インドネシア政府がどっちの方向に行こうとしているか読めるでしょうか? 日本在住のインドネシア人を相手に発言されたもので、リップサービスが含まれているのは当然ですので割り引いて読む必要はありますが。日本の閣僚だって海外視察で威勢のいい発言するでしょ? ただ次の事実は重要ですのであわせて考えてみましょう。インドネシアはかつて中国系共産勢力を一掃し、目に見える漢字の看板すら禁止している。しかし石油の国内需要増加と生産の頭打ちから輸入國になってから中国をその輸入先としてきた。また国防に必要な武器の調達先もこれまでの米国から中国・ロシアになりつつある。


日本からのものなら援助ではなくローンと呼ぼう
National News - January 26, 2006
Muninggar Sri Saraswati, ジャカルタポスト, 東京

副大統領Jusuf Kallaは4日間の滞在中の東京でインドネシア人にこう発言した、日本はこれまで大量の"援助"ローンを与えてきたがインドネシアにはとても返すことのできない利息がついていた。
In an offbeat, sometimes amusing get-together with Indonesians living in Tokyo on Tuesday evening, Kalla took some time out to take a few potshots at his Japanese hosts.
Kalla told the group about his earlier meeting with Japanese entrepreneurs, where he had answered questions about Indonesia's trade relations with China, and about Indonesia's decision to prioritize LNG supplies for domestic needs in the future.

インドネシアと日本との関係を薄くすることなしに、インドネシアは安い製品を提供する中国との貿易を増やしてきました。
我が国に利益をもたらすなら、できる限り多くの国と相互関係を進めるよう勤めるべきである。ある1つの国にのみに頼るようには決してならない。
日本はこれまでインドネシアにローンを与えることばかりに熱心であった。ローン返済の利息は高く、ローンが終わった時にはインドネシアより日本の方により利益があがる。
私は外交官や官僚に命令してインドネシアへ海外から提供されるローンについて"bantuan keuangan packages経済援助パッケージ"という言葉を用いないようにした。
私はローンに援助という言葉は決して用いない。正しい用語はcooperation協調である。日本は我々に返済を求めるものに援助ローンと常に呼び続けている。
日本のローンで北スマトラに建設したダムはかつて2国間関係のマイルストーンとみなされていた(註:アサハンダムのこと)。しかし今なおインドネシアはその返済利息に苦しんでいる。
我々は日本から多額の金を借りたが、30年たって、このプロジェクトは損失でしかない。6億ドルで買って日本人ビジネスマンにおさらばしたかった。私のこの言葉は財務大臣Pak Boedionoにはショックだったようだが,話の内容はその通りです。
LNG問題については、インドネシアは他国との契約を終了するためにどんな手段でもとります。例えばアチェにある肥料会社を閉鎖することもありました。
しかしこの海外との契約が失効すればインドネシアは国内需要にLNGを供給することに優先順位を与える権利を有しているのです。
アチェと東カリマンタンのガス田が古くなってきているため政府はLNG輸出を今年6%削減する計画を発表しました。
この削減は日本の企業に影響を与えます。2010年に契約失効した後になおインドネシアからのLNG輸入を期待しているからです。
我々が安い製品を中国から購入して何が悪いのか? 他国との契約が失効してからのLNGを国内需要に振り向けて何が悪いのか?
他の国々と同様に我々も自国の国民の利益となるよう最大限の努力をはらいます。これが微妙な問題であることはわかっていますが、これが我々の立場であり他国はそれを理解すべきです。
インドネシアは自分が前進するために先進国に頼ることはもうあってはなりません。
我々が未来へのロードマップ作成や開発計画の評価を海外のコンサルタントに余りにも頼りすぎてきたのは少々賢くなかったでしょう。我が国にはたくさんの優れた人材がいるのだから自分でできるのです。

海外のインドネシア大使館に、発展の妨げとなるような多くの条件付きローンは受け入れないように指示しました。
この問題の取り扱いには注意します。我々には豊富な石油と木材と、そして膨大なローンがあります。しかし石油は掘り尽くされ今や輸入国となっています。森林は破壊され洪水や地滑りが引き起こされ、なのに我々はいまだローンを返済しています。私が副大統領になったのは良いチャンスだと思います。

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