戻る - 参加 

こもあ生物学

日記帳53

高病原性鳥インフルエンザの発生:これまでの動向と現況

「畜産技術2006年4月号pp2〜5」から抜粋

2006年5月19日 (金) 1 世界的課題となった高病原性鳥インフルエンザ
1)アジアで発生した高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pasogenic Avian Influenza、HPAI)は、病原性の強さ、伝播地域の広さのどちらをとっても、前代未聞の大流行となった

2)H2N1亜型の発生は2003年12月の韓国の報告に始まった

3)2004年に、タイ、カンボジア、日本、ラオス、ベトナム、インドネシア、中国、マレーシアと続いた

4)2005年には、フィリピン、ロシア、モンゴル、カザフスタン、トルコ、ルーマニア、クロアチア、ウクライナから報告された

5)2006年2月12日、イラク、ナイジェリアで報告された

2006年5月19日 (金) 2 経済的被害
1)HPAI感染により死亡した鳥や防疫のために処分されたとりは、全世界で1億5000万羽を超える

2)発生国の直接的な経済損失は880億〜1,300億円と試算されている

3)鳥の死亡、防疫のための殺処分・消毒などの費用のほかに、HPAI発生による貿易阻害などの損害も含む

4)HPAIの発生は人への影響もあるので、世界のツーリズムにも計り知れない損害をあたえると試算されている

5)ヤ性動物を含む環境にも大きなマイナスの印象を与えている。例えばタイの動物園で多数のトラがHPAIに感染した例は関係者に大きなショックを与えた

6)H5N2亜型による弱毒タイプ鳥インフルエンザやH7亜型によるものも報告されている

2006年5月19日 (金) 3 人の健康への影響
1)HPAIの発生と流行が世界的に問題となっている理由の一つは、本疾病ウイルスが人に感染して病気を引き起こすだけでなく、死亡させる病気だからである

2)人獣共通伝染病なのである

3)人の感染状況は、2006年2月12日の時点で、中国11件(7名死亡)、カンボジア4件(4名死亡)、インドネシア23件(16名死亡)、イラク1件(1名死亡)、タイ22件(14名死亡)、トルコ12件(4名死亡)、ベトナム93件(42名死亡)である

4)鳥から感染するが、人からの感染は確認されてない

2006年5月22日 (月) 4 防疫の困難性とその理由
1)発生国における家畜伝染病の防疫に関する法令の未整備

2)HPAIの発生情報をすばやく把握するためのシステムが構築されてない

3)HPAIは野生の鳥が関係している。東南アジアに多く見られる数はの庭先養鶏では、とくに本病ウイルスに暴露されやすい状態にあり、とくにアヒルはウイルスを排出し続けている可能性が高い

4)ウェット・マーケットが広く存在している

5)殺処分にたいする政府の補償額が低い

6)渡り鳥が関与している

7)現在使われているワクチンは、賞状を和らげてウイルス排出量を減らす効果はあるが、疾病の感染を阻止できない。ワクチンの使用により症状が不明瞭となるため、感染鳥の発見が遅れ、ほかの鳥へ伝播することを助長する