ClawHammer/NewcastleとPrescottとNehemiah

初出 2005.01.30


毎度おなじみのthermal diodeの特性測定ネタです。
今回は、これまで測定していなかったClawHammer/Newcastle(Athlon64)、Prescott(Celeron D)、Nehemiah(C3)を測定しました。それぞれ1個づつの測定です

Athlon64には現在ClawHammer、Newcastle、Winchesterの3種が流通しています。ClawHammerとNewcastleの違いは私が調べた範囲では2次キャッシュだけのようです(ClawHammerが1MB、Newcastleが512KB)。ですから、ClawHammerコアとNewcastleコアのthermal diode特性はたぶん同じのはずです。このあたりは、Bartonコアの2次キャッシュを半分にしたものをThortonコアと呼んでいたのと同じですね。

一方で、ClawHammer/Newcastleコアが130nmプロセスのSocket 754であるのに対して、Winchesterコアは90nmプロセスのSocket 939です。製造プロセスが違いますから、Winchesterコアのthermal diodeの特性は、ClawHammer/Newcastleコアとは違うはずです。
しかし、残念ながら今回はまだWinchesterコアの測定まではできませんでした。またの機会のお楽しみということにしておきます。

Prescottコアには、Pentium4とCeleronDがありますが、今回測定したのはCeleronDだけです。Pentium4は値段が高くて・・・。

Nehemiahコアは測定しないつもりだったのですが、安く手に入ったものですから・・・。たぶんEzraコアと同じ特性のはずです。

今回測定のために手に入れたCPUは次のようになっています。

Athlon64 3400+ ADA3400AEP5AP CAA0C 0342 MPMW ClawHammer
Athlon64 3000+ ADA3000AEP4AP CAAMC 0342 VPMW Newcastle
CeleronD 320 2.40GHz/256/533 SL7C4 PHILPPINES Prescott
C3 1.0AGHz AG60ABK1Q 0331 TAIWAN Nehemiah
いつもならジャンクを集めるのですが、今回は全部動作品です。私にしては珍しいことです。
最近なぜかYahoo!オークションのジャンクCPUの相場が高騰していて、ジャンクを買うくらいなら動作品を買ったほうがマシになっているのです。一体なぜあんなに高値をつけて買っていくんでしょうか?不思議です(私も結構高値をつけますので、あまり人のことは言えませんが。)。

測定方法はいつものとおりthermal diodeの個体差 その3と全く同じです。

さて、測定結果です。単位はmVです。
 動作電流    CPU   20℃    30℃    40℃    50℃    60℃    70℃ 
  10μA  ClawHammer   718   703   688   671   657   640
 Newcastle   717   702   687   670   656   638
 Prescott   641   621   604   584   566   547
 Nehemiah   645   626   607   587   568   549
  25μA  ClawHammer   743   728   714   698   685   668
 Newcastle   742   728   713   698   683   667
 Prescott   664   646   629   611   593   575
 Nehemiah   669   650   632   612   594   576
  50μA  ClawHammer   761   747   733   718   705   690
 Newcastle   761   747   733   718   704   689
 Prescott   682   664   648   630   613   596
 Nehemiah   686   668   650   633   615   597
 100μA  ClawHammer   779   766   752   739   725   711
 Newcastle   780   767   752   739   725   710
 Prescott   697   683   667   650   633   617
 Nehemiah   704   687   669   652   635   618
 200μA  ClawHammer   797   785   771   759   745   733
 Newcastle   798   786   772   759   745   732
 Prescott   717   703   686   670   653   638
 Nehemiah   722   706   689   673   656   640
数字ばかりが並んでいて見づらいとは思いますが、予想どおりClawHammerコアとNewcastleコアはほとんど同じ特性です。
PrescottコアとNehemiahコアがかなり近い値になっていますが、これはたぶん偶然です。

過去に測定したCPUも含めて100μAでの温度特性をグラフにしてみたのがこれです。
個別のコアごとにグラフにすると大変見づらくなってしまったので、Deschutes/Mendochino/Katmai/Coppermineなど同じ特性のコアは一つにまとめてみました。それでもまだ見づらいですけど。

thermal diodeの全特性

ぱっと見て気がつくのは、ClawHammer/Newcastleコアの特性が、他のコアに比べて極端に違っていることです。何か孤高を保っているというか、仲間はずれにされているというか・・・。

普通、マザーボードのCPU温度測定に使用されているW83782D系のチップではDeschutesコアのthermal didoeを標準にしていますので、このままでは60〜70度くらいの誤差が出るでしょう(実際よりも低く表示される。)。

NehemiahコアとEzraコアは予想通りほぼ同じ特性です。次からはひとつのグラフにまとめることにします。

PrescottコアとNehemiah/Ezraコアの特性は標準のDeschutesコアにかなり近いですから、誤差は少ないでしょう。それでも、5度くらいは誤差が出そうです。

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