2017年7月--2018年4月

   1い読書感想を恥じながら書いてきたが 高齢故 眼もわるく また坐骨神経痛を患ってその痛みで寝る前に睡眠薬の軽いのを 処方してもらったため

   殆ど本を読んでいない。発病前に呼んだ本もあるが つたない読書感想を書く気力もなく 寝るための睡眠薬代わりにと読んだがさっぱり理解できていないので

  感想文など書ける勇気が無いので題名だけを記録する。回復を期待している。


  
 「 ドイツ帝国が」』世界を破滅させる。日本人への警告 エマニエル トッド


   「キリスト教のリアル   松谷信司

  
   「 下流老人」   藤田考典   よけ世間ではフォぅ人画お金を持っていて使わないから若者の世界が景気もわるく困っているという風に

                       きいていたが この本には年金になって 足りない分を補填する貯蓄もなく 家も借家で困っている人が結構おられると

                       そしてそれがこ子供氏も教育を受けさせられなくて貧困の連鎖が将来の日本の状態を困窮させるのではと警告している。

    「認知症は予防できる」 米山公啓

  
 どの書物もおもしろく私の知らない世界の状況を優しく書いている。世界の事が書かれていて表も裏もわかって大いに興味が引かれた。

   しかし色々感想文を書くほどの知力も 意欲も 元気も無いので 小略。 今や私にとって読書は 睡眠補助財となり 正に積読であり 喘息の身に

   本に積もる埃を払うほうが忙しい字体である。である。











2017年6月  「虚ろなな十字架」 東野圭吾 長編小説でテレビドラマにしたらきっとヒットするであろう娯楽小説。ストーリーを書くのが面倒なので文庫本に書いてある

          ことを写す。「中原道正と小夜子夫妻は一人娘を殺害される。犯人に死刑判決が出た後離婚。数年後今度は小夜子が視刺殺される。すぐに犯人は出頭する。

          死刑を望む小夜子の両親の相談にのるうち彼女が犯罪被害者の立場から死刑廃止反対を訴えていたことがわかる。・・・

           長編小説でストーリーとしてはかなり面白いが いわゆる感動があったり 涙するというような共感もなく 初めて詠む東山圭吾の作品をほかにも読もうと

            は思わなかった。

          
 2017年5月 「 新しい幸福論」 橘木俊詔   岩波新書


         「  日本の経済成長が小さいながらも正の数字が多かったが 人々の生活満足度「幸福度)は低下してきた。経済的に豊かさを増しても幸福ではない。

        そうであるなら経済成長を上げるよりは心豊かな幸せを感じられる政策が必要ではないのかを考える」と帯に書いてある。

        内容は「益々深刻化する格差問題 是正することは可能か。 脱経済成長への道 心豊かで幸せな生活とは何か 今何をすべきかなどが書いてある。

       それぞれご最もな意見ではありますが それが難しい。終わりにまとめて幸福になるのは 他人と比較しない 多くをそして高くを望まない

      出来れば家族とともに。何か一つ打ち込めることを。信仰を持つことはいいことであるが宗教とは適度な距離を持つ。他人を支援することに生き街を持つ。

      最後に他人の幸せを。と言う解りきったお話でしたが これが中々実行するのは難しい。



 2017年4月 「韓国「反日の真相 」澤田克己 文芸新書

   表紙に「新聞コラムで「うんざり」とい書いた」ソウル支局長がコリアをえぐる)と書いてある。。韓国の反日の事情などを「記者の目」として毎日新聞に書いたコラムを一冊の本に纏めたもの。

  韓国で取材していてうんざりだと思ったことを書いてある。我々日本人は韓国に対して罪悪感があり 亦韓国の人はそれを戦後いくら日本人が反省して謝り 亦経済的な援助も

  随分してきたが 戦後何十年たっても 許されず これらの事情を特派員として「もううんざりだ」と言う観点からまとめている。

  これらの事については日本人の一人として本当に酷いは何時も思うのであるが著者によれば駐在していて もううんざりと思うことやそれでいて韓国での

 メイド イン ジャパンの圧倒的な人気に「自覚なき反日」ではないかと捉えている。日本人は批判されることを嫌がる 韓国人は批判されることは問題ないが 韓国人には認めて

もらえないことへの不安が大きい。これは大国に挟まれた国の宿命で 悲劇ではないか。などなど 記者として日常接する韓国社会を分析していて読みこたええがあった。

個人的にには私は韓国へ旅行してとても好きになった。人々はなんら表向きの敵意はなく 親日的である

我等前世代の人々がやったこれらの圧制は人間として決してあってはならないものだったと痛感している。

願わくば過去の歴史的な圧制を許して 日韓が明るい未来に邁進できるように日本政府も何時までもこの歴史を 忘れず謙虚にむきあっていい関係を続けたいものだ。

中でも特に興味を引いたのは韓国で「反日が暴走するわけ」や 大国に挟まれた悲哀 や中国と接近する真理など非情に

面白かった。韓国の皆様 過去の酷い日本を反省しています。今更恐ろしい中国に接近するよりは」反省する日本ともっと仲良くたやりましょうよというのが私の感想です。





 
2017年3月「 習近平の肖像」 スターリン的独裁者の精神分析 崔虎敏

  感想文を書くのが難しいのでほんの紹介文を載せてごまかす。

「 中国人・現役国務院官僚が告発!

 検閲をかいくぐって届いた13通の「習近平研究」レポート。

 政権内部でつぶさに見た、党と軍に吹き荒れる激しい粛清の嵐。いったいなぜこんなことになってしまったのか?

 習近平の生い立ちと性格、野望家への「豹変」、覇権主義思考を反映した諸政策、権力者としての危険性を総合的に検討。
 
 敵を作らず、仲間を増やし、ひたすら雌伏する作戦は見事に成功した。

 国家主席に就任するや、本性を現し、スターリン型の粛清を開始。

 死を賭けた権力闘争を続ける国家主席は、本気で日本に「戦争か、それとも屈服するか」迫っている。

 独裁者の末路はどうなるか。行き過ぎた粛清が共産党の一党支配に与える影響は。

 大手メディアが絶対に伝えない、中国人共産党員による習近平批判。
 
 世界が注目する指導者の、今までで最も生々しいプロファイリング。
」と書いてある

 私の感想

  封建社会から毛沢東を経て共産党国家になり今では資本主義国以上に資本主義的社会になったような経済、金儲けに走る中国人にはいまだ下層階級の

 困難な生活もある様に知らされている現在社会は毛沢東が求めた本当の共産主義は姿を消し いまや資本主義を追い越すような経済と汚職にまみれた

社会となっているようだ。 現在は告発者に対する粛清が多く行われ このままでげはどのような庶民生活が保証され階級社会なき本当の意味での

万民公平の共産主義はもはや私たちが思う万民の平等など考えられないリーダーの特権が常態化し スターリンの時代のような共産主義に習近平時代は

なっているとの論説が書かれている。

よくここまで現政権の中心人物の事を告発できるとは中国も寛容な国になったものだと思ったが 失脚したは薄煕来に近い共産党幹部が 

失脚した薄煕来に近い中国共産党中堅幹部が、習近平政権の恐怖政治を告発したがっている」著者から連絡を受けたのは昨年秋。著者の崔虎敏氏(仮名)は

日本の国立大学大学院にも留学経験のある知日派。

 改革開放が提起された1978年に中国の大学に入学、82年に卒業した世代は、李克強に代表される開明派「改革開放教育一期生」であり、著者もその一人

 であった。

 個人独裁色を強める指導者に、海外事情をよく知る彼らが反感を抱いている様子がうかがえたので、習主席の人物研究を依頼した。生い立ちや性格上のコンプ

レックス、思想や家族関係、権力闘争と粛清を進める理由、身近で見た「等身大の姿」をまとめてられている。

 とはいえ体制批判が命にかかわるお国で執筆者が特定されないよう、仲間の官僚、弁護士、香港のジャーナリストが手分けして書いたリポートを崔氏が集成、

さらに日本と取引のあるビジネスマンの協力を得て、データを運んでもらう手続きをして書かれたものである。

こんなに反中国論を書いてよく身の安全が守られるなあとひたすら感じた。 大柄で何時も笑っているような顔から凄みを感じる 習近平について何処まで本当かは

解らないけれど 世界の景気が不況になったり中国よりやすい労働力がアフリカに生まれたりしたら一度富の味を味わった中国の10億人を超える

人たちは どうなるのか。日本えの影響を含めて 中国の混乱が起こらないように願うばかりです。


 「 望郷 」 湊かなえ 2017年2月  寝る前に読む本としては適当で面白い。感想を書くほどの重い本ではないけれど 文庫本になれば安いし 結構なことです。

        この中の三作品が テレビドラマになったそうだが見る機会が無かったが確かにドラマにすると面白いだろうと想像できる。
  「花の鎖」湊 かなえ 2017年1月

 「日本語の歴史」 山口中美  2017年1月 

  156回 芥川賞 「しんせかい」
山下澄人156回 芥川賞  2017年2月

  

   最近眼が疲れて余り読書をしていない。 眠れない時によももうと思って枕元へ積んでおくのだが・・・

  今年の芥川賞は何故これが芥川賞なのかさっぱり解りません。4回目の候補者だそうだがその苦節たるやそうとうのことだたと推察する。19歳の男の子が

  生ぬるい生活から抜け出すため 谷とよばれる「演劇塾での仲間との生活での葛藤があるでも無し 淡々と書いているだけで私には

   何の感動も 考えさせられること もなく何でこれが 芥川賞かはさっぱり解りません。

  せめて芥川賞だけは毎年読んで 現代を感じようと思っているが今回ほど読解力の不足ではありますが感動のない作品は今までありませんでした。
  「  アルツハイマー病は治せる、予防できる」2016年10月  西道隆臣  恐れる病気に対する根本治療薬開発への道筋  まあきたいしますが・・・  
  
     曽野綾子 「中年以後」 2016年7月  

       新聞に載せていたエッセイをまとめた本。比較的曽野綾子は好きな作家なので 書かれていることはよく解る。

       雅に中年以降の女性の生き方の情けない状態など己を反省する文章に今後の行き方を考えさせられることが多い・


 
  日本経済新聞 社 「中国バブルの崩壊」 日本経済新聞社   2016年6月の読書

    最近は大した本を読んでいない。何時もは睡眠前に読むのだが しょうもない深夜テレビを見るという最悪の生活をして朝寝坊をし亦夜寝れないで

    テレビを見てしまう。怠惰な生活を続けるることになり猛反省とだらしない生活の繰り返しである。夫が6歳年上なのだが かっての

    職業柄か物凄く本を買っている。
 
    部屋は整理もしないので四方の本棚を天井まで伸ばしてしかも床は歩く隙間も無い 息子が使っていた部屋は私の部屋としてパソコンを置いて

    息子の机や本棚、 前に応接間で使っていた椅子ととテーブルも捨てずに置いてある有様 この部屋にも天井まで棚を作って本がおいている。

    私達以外誰もこの部屋に入ることが無いので散らかしまかせ。

    私の寝室には嫁入りの時に持ってきた本棚が2台 世界文学全集と日本の歴史の全巻だ。ほかには好きな村上春樹 高村薫 塩野七生

    京大出身で39歳の若さで亡くなった「1071年没)中国文学者で全共闘の若者のカリスマであっ高橋和巳の著書はよく読んだ・

    私も40代の若さで大いに社会の不平等などに疑問を持っていたのだろうか 今では殆ど忘れてしまったが大いに熱を上げて読んだ作家であった。

    妻も高橋たか子も有名な作家であった。

    私は傾向として好き な作家とかに当たるとその作品を何冊かまとめて読むようにしていた。そうするとその作家の考えがわかるし同じような

    表現などもあって 面白いのだ。

    しかし年をとってからそういう根気も無く本屋へ行っての読みたいという本が余り無い。それにカバー本は物凄い高価だ。 
 
    買う値打ちがあるだろうかと考えてしまう。

    そこでせっせと小遣いを本代に当て居る夫の部屋から面白そうな本はないかと探すことが多い。

    しかし小説などは殆ど無く なにやら 評論集やら外国の学者のものdなどが多い経済学  政治  評論などなど・・・・

    その中から一寸読んでみよう。・ あとで解ったのだが日本経済新聞社の記者が 連載で記載したものを一冊の文庫物にした

    「中国バブルの崩壊」 というものだった。

    「急激な株価の下落と異例の株価対策。人民元の切り下げに端を発した世界同時株安:::) 2015年10月に出たものであった

    後で気がついたのだが一寸古い。しかし読ん見ると以下に中国経済が世界に与える影響などについて詳しくかいてあった。 

    浅学の私には うわべでは中国人の日本での曝買や中国本土での高層ビルの林立をみて凄いなあ・・と思うだけであったがこの本は

    少し古いが 資本主義オが成熟していない発展途上の国における 危険 日本との関係と日本が受ける2000X年における中国経済の

    崩壊が与えるショックなどについて  解りやすく書いている。


    この本は日本経済新聞に載った記事を本にしたものだが我が家は「日本経済新聞」と「朝日新聞」を取っているのだが私は日経新聞は

   余り詳しく 読まないので  これが掲載されていた記事の文庫版とは知らなかった。

    きっと賢い中国人2016年も前のようには景気がよくないかもしれないけれど 人口の多さとお金に対する執着心で経済を立て直してください。
   
    それがわが国の経済を立て直してくれる一番の薬なんですから・・
           湊かなえ 「望郷」文芸春秋文庫本2016年3月の読書

             
最近とんと本が読めない。書店にいってもど派手な宣伝でどれを選んでいいのか迷う。

            ハードカバーの新刊は価格が高い。果たしてそれだけの値打ちがあるかといささか懐疑的。

           結局そこらの文庫本で睡眠薬代わりに買う。だから読んでも面白くないというぐるぐる状態。

            彼女の故郷の島を舞台にした家族や友人の絡まる小話。四国連絡橋でつながれた

         ふるさとの変わりよう 友人や地の人の身近な存在と変わってゆく島に翻弄される人々を描く短篇。

         読後に残るほどでもなく とはいえ 島の人々の事が良く書かれて うんうん こんなことは在り得る

         だろうと納得と共感を覚えることもある。捨ててしまいたいふるさとと懐かしさの残るふるさとが

         家族の感情が入り乱れた小さな物語だが それなりに共感を覚える。



 高村薫  「空海」 2016年2月の読書

        国土経営のブルトザーとして生き死しては衆生の信仰の柱となった空海

        難しすぎて感想が書けないが・・・中途半端な感想文    click here please
高樹のぶ子「氷炎」2016年1月
 高樹のぶ子作品は実に沢山読んできた。
『花渦』  「水脈 」 「蔦燃「」光抱く友よ」「 揺れる髪」「 あるまだ浅」く 「 百年の予言」などなど 
今回の「氷炎」は京都の大学で教える男性と別の大学で教える女性でまあいわば不倫関係にある物語で夫々うわべでは子供も居てお互いがひそかに愛し合うという事と男性の息子が犯した自動車事故で娘が一生消えない傷を負うという物語。
京都を舞台にしているので 読んでいでいて街の風景や大学の様子がわかるのが想像をたくましくするが特にわくわくするとか 考えさせられるという事も無く後に残らない小説であった。図書館で借りた本で1993年に発刊されたが1991年の雑誌「マダム」に連載されたものを
刊行したという事だからどうせ主婦やOL向きの軽い不倫話なのが想像できる。昔のような芥川賞もらったような作品を期待する。

  遠藤周作 「イエスの生涯」再読 2016年1月

 最近 本を読めなくなっている。新刊書を買おうかなと思うが中々魅力的な本が少ない。
 図書館へ行っても余り新しいものもない。高齢になって欝状態が続くと 洗礼を受けた信者ではないが
キリスト教の学校で学んだせいか イエスへ心がゆく。久しぶりに再読した。このページの 2,012年2月に
 に記している。
最近何か虚しい。世の中の出来事や自分自身の心のありように落ち着きが無く 希望も無く
今後の生き方に不安と絶望感がぬぐえない。そんな時に再読すると遠藤周作さんが描く弱いイエス
奇蹟は起さなかったイエスの教えが何故今の世まで全世界に信じられ心休まるのかが良くわかる。
弱いイエスが弱い私達と共にいてくださるという事がどれだけ大切なことかを改めて感じる。




 
「海辺のカフカ」村上春樹 2015年10月再読
毎年ノーベル文学賞の候補になって今年も逃した春樹さん。ずっと前に読んだ「海辺のカフカ」が本棚に
あったので再読した。春樹様の小説は昔から随分読んでいたが最近はさっぱり読まなくなった。
カフカは読んだ本の中では相当 面白かったので再読してみた。
昔書いた感想は次の様に書いている。            

                            click here  
 2015年7・8月の読書  又吉直樹「火花I 153回芥川賞受賞作品

 
 お笑い芸人が芥川賞受賞という過去に例がないことなので世間を騒がせている。確かに物語の構成と

  いい 文章力といい優れた才能を感じる。いわゆるお笑いの世界にいる新人に属する一芸人と先輩に

  の如何にも破滅芸人と思われる神谷とのかかわりの描写に光るものを感じた。先輩の芸論がずれて

  いることにきずき また殆ど世に出ることなく消えてゆく芸人などがよく描かれている。

 彼のほかの作品は知らないが今回の物語の様に自分が経験する世界を書く以外の 小説を読んで

 みたい。

羽田圭介「スクラップ・アンド ビルド」 153回芥川賞受賞作品


  この小説は「火花」より相当面白かった。題名は無駄なものを捨て(スクラップにする)新しいものに

 立て替える(ビルド」という意味だ。主人公の健斗は自宅で資格試験に挑戦するために頑張っている

 28歳の青年。企業の中途採用の試験にも挑戦するが中々上手くいかない。しかし彼は意思が強く

 健康のために筋トレやジョギングをして鍛えている。同居する祖父は介護を受ける八十七歳で

 口を開けば何時も口癖の様に「もう死んだほうが良いと」いい事実服毒自殺を試みたこともある。

孫の健斗と母にとっては厄介な存在である。彼はかいがいしく祖父の世話をするが実は彼の目的は

祖父を手厚く介護することによってかえって祖父を弱らせて「自然な尊厳死」をしてもらおうというもくろみだ。

。つまり甲斐甲斐しく老人の世話をすれば 祖父が回復して社会復帰をするよりは介護したほうが

早く弱ると算段しているのだ。ここに現在の一見 無駄と思われる介護制度に矛盾が在ることをユーモアを

交えて指摘しているのである。孫と母と祖父という小さな世界で前途のある自分ともう後がない祖父の

微妙な愛情や憎しみをユーモアをもって描いている。祖父と孫の間にある不気味な闇は現代の超高齢者

社会が抱える問題の深さを考えさせられるがこの小説にそのような意味を与えながらもユーモアたっぷりで

久しぶりに読んでいて楽しい小説にであった。92歳まで生きた母の介護をした私としては充分うなずける

ユーモアと切実な問題提供のある物語であった。

                                             

 2015年6月の読書  三浦しをん 『舟を編む』

   最近は世界文学など小難しいものは敬遠している。何しろ読解力と根気がない上に家にあるものは
   読んでしまった。トルストイやスタンダールなど読み返せば又違う感激もあろうかと思うのだが
  何しろ今はそういう気力がない。コレンコとかガルシンの中篇でも暗い話と難しい文学的ストーリーは
  疲れる。東山圭吾でがっかりしたが 本屋大賞受賞という宣伝に負けて初めて三浦しをんという
 作家を見つけた。本屋が選ぶ大賞だからきっと面白いに違いないという期待で読んでみた。

                                             click here please

 2015年5月の読書 曽野綾子「中年以後」

  小説宝石(光文社)に1997年ー1998年に書かれたものをまとめて一冊のハードカバーにした本。
  曽野綾子といえばキリスト教関係の著作を読んで色々学ばせて頂いた作家であるし 私にとっては
  彼女の言葉はすんなりと心に響くものである・この本はよくある新聞などに載せた短文を一冊にまとめた
  もので彼女にとって稿料と印税で二度美味しい作品である。今回は彼女の矜持とも言うべき中年に
  なった女性の行生き方を痛烈に書いているもので 世間にあるあるといわれる中年女性が家庭や
  子供のことで 悩んだり 迷ったりすることを「そんなの当たり前」という風に例を挙げて書いている。
 
  随筆の題名は「ただ人間だけが居る」に始まって「許しと受容の時」「大皿はいれたものを冷やす」
  「親を背負う子」「親しい他人」「憎しみも人を救う」「誠実の配分」「人間を止めない人」などなど24章の
 わたって中年になってもあわてないようにという観点から彼女の叱咤激励と事実をよくみて考えよという
 メッセージが伝わってくる。読んでいて成程と思ったり スカットする文章である。もはや中年は
 遠うにすんで後期高齢者の私には これからでは出来ないこともあろうが彼女が書いているように
 すっきりと 人生を終えたいものだ。今 中年の人は手遅れにならず頑張ってほしいですね。

  
  2015年4月の読書    東山圭吾 『カッコウの卵は誰のもの』

                  本屋さんへ行くと文k庫本として圭吾さんの作品が山積みされている。
                  読んだこともないのでそんなに売れる作家なのかと買って見た。
                  他の鳥の巣に託卵するという郭公に似せてスキーのトップレイヤーが妻の死後
                  一人娘が彼の実子ではないと知る。苦悩しつつも愛情を注いだ娘は彼をも凌ぐ
                  スキーヤーとなる。そんな二人の前に遺伝子を研究する科学者が現れる。
                  そんなこんなの話。テレビドラマにしたら面白いかもしれないけれど 初めての
                  圭吾さんの作品は感動もなく 読んでしまったら何も残らない感じの軽い作品
                  だった。これから彼の作品を読もうとも思わないがっかり感が否めません。
                  

 
   
  
  2015年 3月の読書      コレンコ 「マカールの夢」       
                                               click here please  
                           「鷹の島脱獄囚」   
                             
                
                       
          
 

    2015年 2月の読書     芥川賞   「九年前の祈り」 小野正嗣   click here please

   2015年1月の読書 ガルシン「4日間」 「赤い花」「信号」

                                         click here please
    2014年11月ー12月 「イエス・キリストの謎と正体」 斉藤忠    click here please 
     2014年10月 「昭和天皇実録」の解説 を読んで

 「堪え難きを堪え忍び難きを忍び以(もっ)て万世の為(ため)に太平を開かんと欲す」

 1945年8月、戦争終結の決断を国民に自らの言葉で告げ、「統治権の総攬(そうらん)者」

 から平和国家の象徴になられた87年は激動の生涯だった。実録を文芸春秋の「人間天皇」は

 どう描かれたかについての解説。1万ページ 61巻に及ぶ歴史を半藤一利 保坂正康 磯田道史が

 紐解く。一番興味をもったのは子供の頃親から聞かされた言葉は 「わが身はどうなってもいい。

 国民には罪は無い」といわれたという 記憶である。

 25歳で即位。「現人神(あらひとがみ)」として戦争責任を問われ その身も危なかったであろう天皇が

 トルーマン大統領の特使として対日講和を担ったダレスに対し天皇自らが「日本側からの基地の

 自発的提供」を提案した。そこには国際共産主義による天皇制打倒を何よりも恐れていた。

 講和条約締結後独立した後 非武装の憲法9条ではなく 米軍による日本防衛を望んでいた。

つまり政治的行為が許されない新憲法の下で講和という国家を左右する重要課題に自ら介入していた

事を実録は伝えている。つまり天皇にとって最も重要なことは憲法に沿うことよりも万世一系の天皇制を

存続させることだったのではないか そのため外国軍「米国軍」をたよっても天皇制を守るという

リアリズムに徹する道を選ばれたのでは無いかという解説だ。

実録はご幼少の頃から色々のエピソードがかかれているが私の世代にとっては終戦を7歳でむかえ

天皇陛下といえば 戦後の全国を順行されるときに学校から団体でJRの駅で整列してお召し列車

が通るのを日章旗をもってお出迎えすることが何回かあった。真ん中あたりの列車の窓から

直立不動で立っておられる陛下があっという間に通り過ぎてゆかれる姿が記憶に残っている。

世界大戦の負けてご自分の身をどれ程案じたかと想像する。しかし結果として考えてみれば

昭和天皇ほど 戦後の日本国民にとって心のささえとして重要な存在だったのだと思う。

もし昭和天皇を戦争犯罪者として罪に問えばドイツの様に東西2つの国に分けられ共産主義と

自由主義の国ができていたかもしれない。ドイツが統一するまでの東ドイツの状況を考えると

日本もまた東西に分けられて肉親が憎みあうことになったかもしれない。

実録は天皇の父母への思い)での手紙.「裕仁新イソップ」という創作物語は後の生物学者に

なられる素養をあらわしており「お好きな人お嫌いな人」では成人されてからは決して口にされなかったとか

歴史に御興味があり 天智天皇や豊臣秀吉に関心を寄せられたとか A級戦犯については

語られなかったが 松岡洋右がA級戦犯の裁判でまだ判決がありてい無いうちに死亡したので

まだ罪が決まっていないので死亡により免責とされ祭祀料を下賜されたがこれ以降 極東裁判で

有罪になったものには下賜されなかった。一切の恩遇は不詮議(議論すらしない)としている。

又大元帥として最高指揮権を持ちながら軍部を抑えられなかったのか。治安維持法に懸念をもって

おられたなどなどが記録されている。

侵略戦争というおろそかな戦争を始めた日本がいまや世界を席巻する経済大国となり

民主国家になったということは アメリカによる支配下で自由主義 民主主義のもとに

歩んだ長い日々のおかげでもあるかも知れない。がキリスト教にも興味をもたれたことも

そのほかにも色んな実録が対談の中で述べられているが私が興味を持った部分だけを記した。

 
2014年9月 『Nのために』 湊かなえ 同級生4人がNのために犯す殺人   click here please


 2014年8月 「春の庭」 柴崎友香  第151回芥川賞  

         アパートの住人が写真集に載った青い家に拘る物語  click here
 2014年7月 「落日の宴」 吉村昭 「江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節 プチャーチンに一歩も譲らず 領土問題に

                        あたっっても誠実な粘り強さで主張を貫いて欧米列強の植民地支配から日本を守りぬいた

                        川路聖曝(としあきら)は軽輩の身ながら勘定奉行に登りつめて国の行く末を占う折衝を任される。

                        クリミア戦争で英仏と戦うロシアを離れ江戸幕府と折衝をする艦長プチャーチンと地震や津波の被害を受け

                       沈没したロシア船の乗り組員は500人が上陸し その扱いに苦労する川路は厳しい折衝の上

                       幕府の配慮で完成した戸田号で帰国の途に着かせる。アメリカ船に続くロシアの圧力に屈せず 

                       誠実な態度と 交渉力で日本の植民地化を防いだ優秀な外交官僚としての活躍を取り上げている。」

                 
    文庫本帯の記載より

                      司馬遼太郎の歴史物に比べれば全般がとくにただ資料の通りに何時にどうしたとかそれからどうしたというよう
 
                      つまらない羅列が多く一巻目は面白くも感動も無いように思われた。しかし2巻目になると江戸幕府と
 
                      新しい朝廷とのやり取りなど 歴史的に激動の時代であり幕府が倒れてゆくことに彼がどれだけ

                     絶望しただろうかと 病と気力の尽きたときとき自刃する彼の潔さと哀れさを感じた。

 

 2014年3月ー6月  「魔の山」 トーマス・マン  教養小説というらしいがあまりにも難解で・・ click here please
 2014年2月  『穴』 第150回 芥川賞受賞作品 なんともいえないファンタスティックな物語   click here please
 2013年 10月-2014年1月の読書  ノーマンメイラー  『 裸者と死者』   上下2段組のあわせて1000ペ-ジもある
                                                 長編。太平洋戦争の残酷さを考えさせられる。
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  2013年9月の読書  アーネスト ヘミングウエイ  「武器よさらば」 「日はまた昇る」   clcik here please

 2013年8月の読書   スタインペッック  『怒りの葡萄』     click here please


                『爪と目』 藤野可織

                  第149回芥川賞  私は3歳になる子供。その目から見た貴女は30代半ばの派遣社員で私の父と

                  関係を持つ女性です。母が死に結婚を前提にとりあえず半年間同居しする。あなたは強度の弱視で

                  コンタクトレンズを使うわなければ私の父の顔もはっきり見えない。だからコンタクトにこだわる。

                  私は爪を噛む癖があって 爪はいつもぎざぎざだ。連れ子と継母の一見平和なような然し心の奥では

                   お互いが信じあっていない関係。最後に貴女は私の爪に綺麗にマニュキュアをしてくる。そして


                   もう爪を噛まないようにという。貴女が眠っている間に私はその体に乗り 目をこじ開けて 貴女が2度

                   塗りまでしてくれたマニキュアを歯で噛み切り 貴女の目の中に入れる。というおそろしい復讐をする。

                   少女心理と母となる女性の微妙な関係を大仰な表現でなく淡々描くことによって 少女の寂しさや

                   彼女に対する憎悪を描いている。難しい文章でもないのだが しっかりと構成されて久し振りにこれぞ

                   玄人の発想という感じのする作品だと思った。 藤野さんは同志社卒でわが後輩にまた素晴らしい作家

                    が出現したことを嬉しく思う           
 

2013年7月の読書  村上春樹 『1Q84』 村上春樹フアンなんだけれどこれは『通俗小説』の域を出ない低級作品 
2013年5月ー6月の読書 アンドレ マルロー『人間の条件』 蒋介石の国民軍と戦うコミュニストのテロを描く   click here please
2013年4月の読書 ヘルマン ヘッセ 『デミアン』  大人になる過程で経験した様々な苦悩と救い     click here please

 2013年3月の読書
ヘルマン ヘッセ 『春の嵐』  身体に障害を持つ作曲家と歌手と美しい令嬢との恋と挫折 永遠の友情. click here

                                                                 
2013年2月の読書

             本年度芥川賞 『a b さんご』買ったのですが横書き平仮名 殆ど漢字が無い文章に1ページ目であきらめる。

             選者は『やまとことばが・・・』なんて書いていたけれど 大和言葉ならせめて縦書きでないと目がちらついて

             読めません。

             70歳以上の初めての受賞ということで期待をしたのですが 読まずに言うのもなんですが読書とは読めて

             何ぼのものではないかと思うのですが・・私だけかと思ったら夫も2ページで友人も読みきれないといっていましたが・

             そこで古典ということでヘッセの名文に感動しました。しかし読書感想文は難しい。

 
 ヘルマンヘッセ 『帰郷』 『車輪の下』 自然描写の美しさ 少年の心理を描いて独特の感動を受ける。若い時にに読むべきだった。

                                             
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2013年1月の読書

桜井よしこ 『日本人の魂と新島八重』  NHKの日曜ドラマで放送されている『八重の桜』はわが母校同志社の校祖 新島先生の

       奥様であるが学校で新島伝を学んだときも八重さんがテレビドラマの主演になられるような劇的な人生を送られたことは

       殆ど知らなかった。
       
       昔から中学のチャペルには八重さんの兄の山本覚馬さんの肖像画が同志社創建に関わった偉人のトップとして横壁の

      一番前に掲げられている。NHKテレビでは覚馬さんのことについても描かれているので今後ドラマの進行に当たって彼が

      どのように同志社のために尽力したかを描いて欲しいと思う。

       桜井さんの著書は八重を描くというよりも 会津藩が子供の教育に注いだ歴史や白虎隊の悲劇の背景にある幕末の悲劇

      などを交えながら会津藩ならではの日本人の寛容ノ精神、 武芸重視の子弟教育、日本屈指の藩校『日新館』や会津の

      人作りや 武家女性の生き方等など 多くの資料からわかりやすく書いている。山本覚馬についての記述は少なく 彼が

      同志社に創設にどのような働きをしたかについての記述が無いことは一寸残念である。これからドラマがどのように

      展開するか楽しみながらわが校祖と妻の在りし日を楽しみたいと思う。



  2012年11月ー2012年12月の読書 


 エミールゾラの『ナナ』 舞台女優でもあり高級娼婦でもなるナナが伯爵や侯爵 若き青年 などに愛され 貢がせ 破産させ

          過ごした後 突如皆の前から姿を消し最後は天然痘にかかって 膿だらけの顔で死んでしまうという物語。

          金銭欲 性欲 名誉欲などあらゆる欲の絡まるナナの人生を描いて圧倒的な力作だと思うと同時に

          人間が誕生してからぞっと続く 哀れな強欲をえがいている。睡眠薬代わりに読むのが私の読書法で

          上下二段組の小さな字で500頁は登場人物も多くイ読み直しも多く時間がかかッたがこれぞ小説と言う

          名作である。その描写は展覧会で見る絵画での19世紀の衣装や調度品 食物などこの小説によって髣髴と

          思い起こされる。当時の伯爵などの貴族階級と貧しい庶民の格差も今の世以上であって 庶民階級がそれを

           受け入れざるを得ない当時の社会構造も想像できる。

           エミールゾラによって定義された自然主義と言う学説は19世紀末フランスを中心に起こった文学

           運動で。ダウインの進化論や ベルナールの『実験医学序説』の影響を受け自然の事実を観察し

            『真実』を描くためにあらゆる美化を否定する。ナナが最後に天然痘で死に場面などにその

            おぞましいナナの姿に表れているとおもう。『ナナ』『居酒屋』でゾラは人間の行動を、遺伝、環境

            から科学的、客観的に把握しようとした。

                   
  2012年10月 11月の読者 ゴーゴリ 『死せる魂』ツルゲーネフ『初恋』 古典的ロシア文学の最高峰 click here
   2012年9月の読書  バルザック 『ゴリオ爺さん』    プーシキン 『スペードの女王』 両作品とも非常に面白かったが

                   感想文をかくことに疲れたので割愛。
   2012年8月の読書 レイモン ラディゲ 『肉体の悪魔』 モーリアック『愛の砂漠』 鹿島田真希『冥度めぐり』

                 世界文学集からの2編と今年度芥川賞受賞の作品   click here please
    2012年7月の読書   バルザック『谷間の百合』 はるか昔 高校生のときに読んだ名作の再読 click here please
  
 
 2012年6月の読書 カミュ『ペスト』カミュが1945年34歳で著した作品 仏領アルジェのオランである日鼠の死骸が町で

      多発することから始まる ペストの流行。町に入る門は全て閉めきられる中での人々の苦悩と悲惨な死が描かれる。
      
      リュウという医者がその仲間と共にペストに立ち向かう様子が描かれている。これはカミュがナチのユダヤ人弾圧を 

      ペストに置き換えて描いたとも言われてるそうだ。人間とペスト菌との何時終わるともわからない壮絶な日々を描いて

      いる。特に私はその中で絶望的な状態な人々が救いを求めて集まる教会での牧師の言葉にひっかかる。

      イエズス会の宣教師パヌール神父は『いまあなた方は禍の中にいる。それは当然の報いなのです。ペストに罹患

     するということは当然の報いです。すなわち反省すべき時が来たのです。・・・心正しきものは恐れることはありません。

      然し邪なる人々は恐れおののくのです。』とのたまう。然し医者である主人公のリュウは集団的懲罰という

      観念に反発する。『キリスト教徒は実際にそうおもっていなくても時々あんなふうにいうのです。』という。 

      私はこれはカミュの既存のキリスト教に対する痛烈な批判だと思う。もしこのような考えならキリスト教はそこらのご

      利益宗教と変わらぬではないかと。さすがにカミュは後半で神父もリュウも苦痛にさいなまされている人々の死を

     前にして献身的に努力し 何の罪もない男の子の死に対してリューは『あの子だけは絶対に罪もないもので神父も

     それはご存知のはずです』といいパヌルー神父は『我々はともに一緒に働いている。冒涜や祈祷を超えてわれわれを

     結びつける何物かのために。それだけが重要なことだ』といいまた『ペストのもたらした光景を解釈しようとせず そこか
    
     ら学び 罪なきものでも受ける禍に対してただひざまずくだけではなく信仰を捨てずに立ち向かうということだ』述べる。

    
 ’『転落』

     『パリでの弁護士生活を捨て、暗い運河の町・アムステルダムに堕ちてきた男、クラマンス。彼の告白を通して、
    
    現代における「裁き」の是非を問う、』 と本の宣伝にかいているが 要するにクラマンズは自分を『改悛した判事』

     と自称して酒場で始まる一人語りの物語。とても面白いのfだが感想を書くのは私にとっての至難.。

     したがって印象にのこったある部分だけを本文どうりに記入したい。

     『宗教が訓戒をはじめたり 戒律を宣告しはじめたりしたら その宗教は間違っている。罪を存在させるにも

     罰するのにも神は必要ない。人間だけで充分なのです。・・・私は最後の審判を堂々と待ちます。

     2000年前 何故人々はあの人を磔刑にしたかご存知ですか?それには幾つもの理由があった。そう人を殺すのには

     何時だって幾つも理由がある。ところが人間は生きているのを正当化するのは不可能だ.だから犯罪者には弁護士が

     つきものだが無実にはほんのたまにしか弁護するやつは現れない。ところで2000年来じつに上手い具合に説明

     されてきた理由のほかにあの身の毛もよだつ臨終には一つ大きないわれがあった。私には何故人々がそれを

     用心深く隠しているのかわからないですよ。本当のいわれというのは彼自身 自分が完全に無罪ではないことを

     知っていたということです。よしんば彼が人から糾弾されたような過ちの重荷を背負っていなかったにせよ、与り

     知らなかったとはいえ彼は別の過ちをおかしていた。第一彼は本当に知らなかったのでしょうか。いずれにせよ

     彼が根源にいたのですから。罪なき者の虐殺の話は耳にしていたに違いない。彼の親達が彼を安全な場所に移して

    いるそのときに虐殺されたユダヤの幼児たち この幼児たちが死んだのが彼のせいでなければ一体誰のせいでしょう。

     彼が幼児たちの死を望んだわけではない。それは無論そうなのです。あの血まみれの兵士 首をはねられた

     幼児たちの話に彼は恐れ おののいたでしょう。我々の知っている彼にしたってその虐殺を忘れいないでいた。

     と信じますよ。そして彼のあらゆる言動にうかがえる彼の悲しさ あれは殺された我が子を嘆き 慰めを一切嫌った

     ラケルの声を夜中耳にした者の癒し難い悲哀ではなかったでしょうか。慟哭は闇をつらぬいて響きました。

     ラケルは彼のために殺された我が子を呼んでいた。それなのに彼は生きているのです。知るべきことを知りつくし

     人間に関するすべてに精通した彼 ああ死なせた罪よりも自ら死なない罪のほうが重いなどと一体 誰が思いついた

     のでしょうか。昼も夜も自らは与り知らない罪と対決させられた彼、その彼にはこれ以上頑張り続けることがあまりにも

     むずかしくなったのです。きっぱりと形をつけ自己弁護などをせずに死んだほうがましだ。そうすればもうひとりで

    生きていなくてもすむしたの場所へもいける。そこではおそらく自分を支えてくれる人もいるだろう。ところが彼を支える

    者はいなかった。彼はそれを嘆いた。その上 泣きっつらに蜂でそこが削除されてしまった。彼の嘆きを最初に削除した

    のは確か第三福音書の著者ですよ。『何ぞわれを見捨てたまいし』これは反抗に叫びでした。・・・』・・・

     私個人としては

    イエスの生涯については今まで色々学んできたが 何故十字架にかならなければならなかったのかということは

    おもに遠藤周作の著書によっていわゆる政治的理由 あるいはイエスを恐れるパリサイ派などのことを学んだが

    たしかに聖母マリアがイエスを宿したときに救い主があらわれるのを恐れて当時のユダヤの幼子が大量虐殺された

    ことは聖書にも書かれている。然しそれが歴史的事実なのかと言うことはわからないが 『転落』ではじめて無実の罪

    と言う意味でイエスが原罪として十字架を受けたと言う解釈になるのではないか。カミュははっきりとはそのように記述

    していないが私はそうとらえるほうが納得が出来るように想う。もともと原罪とはイエスは処女マリアから生まれ 

   人間は肉欲の結果だから生まれつき原罪を持っているという風に教えられてきた。これこそが宗教的な発想であると

   おもう。むしろ 原罪とは弱き人間が生まれながらにもつ猜疑心や権力欲 自己中心的考え方 あるいは弱者にたいする

   権力 傲慢な心 誰でもあるものだ。それを成長と共にすこしでも改善しようと努力し 他者 弱者を労わり

  私利私欲に走らず他人への支配力をなくする人間のみならず万物の生命を尊重することを学ぶことによって成長するのが

   人間ではないだろうか。

   カミュの父は第一次大戦で34歳で戦死している。スペイン系の母は赤ん坊のカミュをつれてアルジェにわたる。少年時代

   アルジェの貧しい暮らしを余儀なくされ 又そここに暮らす様々な国の人と付き合い 肺結核に冒さ療養所生活も

  送る。アルジェ大学で哲学を専攻し,貿易商の手代 自動車部品のセールスマン 測候所の職員 家庭教師などを経験。

  1934年ファッシズムの台頭に抗議して共産党に入党するが翌年 ソビエットが回教徒開放問題で政策を変更したために

  脱党する。カミュはあらゆる形式の死に反旗を翻す。自殺 殺人 死刑 戦争に反対し 死を是認する思想 法律 政治

  闘争を否定する。第2次世界大戦が始まるとパリへゆき パリ ソワールの記者となり殺人を合法化する革命手段を否定。

  『転落』のなかにも ナチスを痛烈に批判した次のような文章がある。『最近某国民が地球上 最大の国民であることを

  証明するために考え出したものです。囚人は箱の中に立ったまま身動きも出来ない仕組みなんです。セメントの貝殻に

 閉じ込めたみたいで頑丈は扉は顎のところまでしかない。だから囚人の顔は外に出ている。その顔に向かってとおりがかりの

 看守が皆思う存分痰をひっかけて行く。独房に押し込められている囚人は顔をふくことも出来ない。最も目を閉じることは

 許されていますがね。どうです?こいつが人間が考え出したものなんですよ。やつ等がこのちょっとした傑作を作るのに

 神の助けなどいらなかったのです。』

 人間の尊厳など紙っぺら程もない人間の罪 戦後このような事例をミュースや映画 書物でどれだけ証明されてきただろう。

 それでも現在なおリビアやスーダンで同じような弾圧が行われている。現代はそれらの経験を学んだこともあり

 又通信手段の偉大発達によって人々はすばやく情報を共有し国際社会に知らしめること出来るようになった。

 然し国連はもはや機能せずいまでも私達のあずかり知らぬ所で殺戮や拷問が行われている。

『転落』には人間が一生に遭遇する色んなことについて皮肉っぽくまた 正論が展開されていて 難しいけれども成るほどと

考えさせられる。粗末な感想で恥じ入るしだいだ。

『誤解』

 1944年初演の舞台劇

  旅館を営む娘マルタとその母親。彼女等は旅館に泊まる客のうち金持ちの人を睡眠薬で眠らせ河に投げ込んで

  殺害しお金を奪うと言う悪行を働いている。陰気くさい町を離れ太陽が輝く町に移り住みたいと願っている。
  
  そこへジャンと言う息子が何十年も家を離れていたが孝行のために帰ってきてその宿の泊まる。

 夫を気遣って一緒に来たマリアを大丈夫だからと帰すジャン・余りにも長く不在が続いたので母親もマルタも

 ジャンが息子とは気ずかない。ジャンもなかなか打ち明けられずの客としてふるまっている。母は何か予感めいたものを

 感じてやめようと言うが娘のマルタは聞かない。

 ついにいつもどうりに母娘はジャンに睡眠薬を飲ませて殺してしまう。母は自分の息子だと又娘は兄だとは知らずに。

 これが不条理の世界か???

文学全集の中に収められているカミュの代表作の本には1960年5月に読んだとの記録がある。4回生のときにらしいが全く

記憶に残っていない。50年余ぶりの再読だがヤッパリ暫くしたら忘れてしまうのだろうか。このつたない感想分がせめて呆けた

頭に記憶されることを祈る次第です。

     2012年5月の読書 『アッシュ ベイビー』金原ひとみ 『異邦人』カミュ 『小林多喜二』小林セキ  click here please
     2012年4月の読書 『花渦』 『花渦』 高樹のぶ子 久し振りの高樹作品。とても感動的な作品  clcik herr please
     2012年3月の読書 『左岸』 上巻 江国香織 最近あまりにも読みたい本がない。たまたま立ち寄った本屋に

     出ていた。この文庫本の上巻を買ってみた。江国香織という作家の本も知らないし また辻仁成の『右岸』と
 
     対をなす 傑作大長遍という宣伝文句につられて買ってみた。雑誌『すばる』2002年2月号から2007年8月号

     までの連載を文庫化したもので読んで見るとなんとも薄っぺらい女の子のすぐ肉体関係にい陥るアヴァンチュー

     ルを描いた小説で上巻だけ読んであほらしいくてイヤになってしまい下巻を買う気がしない小説だった。

     若 い人にはこういう軽いものが人気なんだろうかといささかがっかりした。

 
    『ヨブへの答え』C,G.ユング 旧約聖書『ヨブ記』で行いの正しいヨブがなぜ子供を殺され 財産を失い 不治

    の病にかからねば成らなかったのか しかもサタンの誘いに神がのってヨブを試した結果として・・・ユングの感受性

    は何よりも 『ヨブ記』の異様な雰囲気に引き寄せらされる。そこでは聖書の中で他に類を見ないことが起こって

    いる。

    人が神に異をとなえ反抗している。神との確執のなかでヨブがみたものは神の野蛮で恐ろしい悪の側面であった。

    ヨブは神自身でさえ気がついていない神の暗黒面を意識化した。ここでユングは独創的な見解を打ち出す。

    神は人間ヨブが神を追い越したことを密かに認め 人間の水準まで追いつかなければならない。そこで神は

    人間に生まれ変わらなければ成らない。此処にイエスの誕生に繋がる問題がある。旧約と新約の世界にまたがる

     神と人間のドラマ 意識と無意識のダイナミックナせめぎあいをユングが描いている』と本の帯に書いてあります。

    とにかく難しい。 『神の人間化』とは神を意識することであり『人間の神化』とは内なる神を知る 体験するという

    意味である。 余りに文章が難しくて理解できない処が多々あります・解ったような解らないような 理解力不足の

    本でした。もともと旧約聖書を良く知らないのですから仕方がありませんが・・・
    

          
   2012年2月の読書『死海のほとり』『イエスの生涯』 遠藤周作 私は遠藤周作さんが生きておられた頃はその作品が好き

        でよく読ませていただいた。上記は勿論 『沈黙』『侍』『深い河』『海と毒薬』など大変感激した思い出がある。

        特にキリスト者としての彼の作品は『沈黙』や『侍』など涙なくしては読めない感動ものであったと記憶する。

        最近は余り本を読んで感激するということが無くなってきたのは ひとえに読書量が少なくなりまたそのような

        本にめぐり合わないことによる。上記2作品は40年前の日付けが本の裏にかいているので私も34歳と若か

        い時だったなあと感慨を新たにした次第だ。『死海のほとり』が昭和48年の4月で『イエスの生涯』は

        同年の8月に刊行されているので作者の言うように表裏一体とした物語である。『死海のほとり』は作者自身

       イスラエルを訪れ 現在と古代を比較しながら 戦時下の弾圧の中で信仰につまずきキリスト教を捨てようとし

        た小説家が大学時代の友人で聖書学者になってる友達に案内され真実のイエスを求めて死海のほとりに
            
       その足跡を追う物語である。一方『イエスの生涯』はイエスがどのように民衆に接しそして弟子からも捨てら

       十字架に架かったか。その政治的背景とイエスの本当の教えを旧約聖書や新訳あるいは色んな聖書学者の

       言葉を調べた上でのイエスの実像と教えで遠藤周作の説を述べた物語である。私はキリスト教の

       学校に学んだのでそれなりに聖書も読み 礼拝で説教もお聞きした。しかし遠藤周作の本による、特に

       『イエスの生涯』をよむと 初めは多くの弟子達の囲まれ 民衆に支持されたイエスが実際は盲人を見える

       ようにも出来ず らい患者を治すことも出来ず 次第に民衆からも見放され弟子達にも逃げられ ローマ支配

       下のユダヤ教の国の中でイエスが政治的英雄となることを恐れたユダヤ教司祭やローマから任命された

       知事ポンテオピラトなどにより 過越祭の夜にユダヤ人の興奮が暴動とならないように 穏やかに終わる

      ようにという政治的あるいは権力闘争の解決策の一つとして彼を十字架にかけたという説をとってる。

      しかしどうして彼の死後弟子達がまた改めてイエスの教えを広めるようになったのか。イエスが最も

      苦しい時に逃げ出した弟子達がその後自分自身も犠牲にしてまでイエスの教えを広めようとしたのか。

      此処にこそイエスが奇跡を起こさなかったけれども 何時も病める人 弱い立場の娼婦や貧者に寄り添って

      『神の愛』を説いたということ、 今までの神は恐れる神であり罰する神であったのがイエスははじめて

      愛する神 共に悩み共に苦しんでくれる神 いつも寄り添ってくれる神としてのイエスの教えが彼のの

      死と共に弟子達にわかったのではないかということを書いている。人間にとって一番辛いのは貧しさや

      病気ではなくそれらが生む孤独くと絶望ではないか。イエスがこれらの人々に見つけたのは彼らを愛する

      者がいないことであった。ヨハネのいう『怒りの神』ではなく『愛の神』である。然しこの愛は物理的に証明し

      がたい。厳しい環境で生きる人々にとって神の愛は感じ難い。弟子でさえも愛より物理的奇跡を

      求める。イエスを裏切るユダは何も出来ないイエス 力の無いイエスと袂を分かつ。

      それでもイエスは苦しい十字架に掛けれてでも神の愛を証明されたのである。自分が

      皆と同じいやそれ以上の苦しみをうけても神の愛を証明しようとしたのである。この遠藤さんの言われる

      苦しみに共に苦しみ 寄り添ってくださる神という教えはいまでもすっと心に入ってくる。キリスト者ではない

      私だが一番心に響く信仰であると思う。

             
   2012年1月の読書『共食い』第146回芥川賞 『第三紀層の魚』田中慎弥 『もらっといてやる』という不適発言で

     話題の作者。すでに新潮新人賞 川端康成文学賞 三嶋由紀夫賞などを受賞している実力派らしい。

     書評には父親を嫌悪する17歳の少年が、もがきながら葛藤する姿を描く作品。 【著者コメント】「さまざまなもの

     を削り取ったあげく、こういう作品が残りました。むき出しの骨を味わって下さい。」 と書いてあった。

     たしか73ページの短編だが 景色描写や人物の心理表現などたしかに上手い作家だと思う。

     しかし年をとったせいか こういう現代風の性の描写などは余り受け付けないし感動もしない。
    
     ただ17歳の主人公の少年の母親への気持ちとか父と住んでいる女性への感情など方言をうまく使って

     描写しているし 川辺りの風景描写も作中人物の心理背景が良く描かれていて作者の言うように

     単純かつ透明感のある文賞で確かに無駄がないようにおもう。しかしきっと暫くしたら忘れてしまうような

     話ではある。

    『第三紀層の魚』第三紀層というのは石炭が埋まっている層のことらしい。少年は父 祖父をなくし 曾祖父が生

         ている。その曾祖父が死ぬまでの時間をチヌ釣りが趣味の少年の成長を描いている。『共食い』よりは

         こちらのほうがとてもよろしい。この頃感想を書くのが億劫である。加齢による倦怠である。
       
   2011年12月の読書『罪と罰』毎夜細かい字の二段組50ページも読めば眠くなり 次の夜はまた戻って読み返さない

            と 話の続きがややこしい。しかも良く似たながーいロシア名はなかなか覚えられずまた引き返すので

            1ケ月もかかってやっ読み終えるというていたらく。しかし内容は重厚で果たして理解していると

            いえるだろうかと些か我が読解力と記憶に疑問を持った作品ではありました。 clcik here please
  2011年11月の読書 【マンボウ家族航海記】 北杜夫 杜夫さんは先日なくなられました。北杜夫さんといえば斉藤茂吉

      の次男であり兄は斉藤茂太であり杜夫自身も東北大学医学部出身の精神科の医者でもある。茂吉さんの奥様が

     これまた有名な烈女で有名だった。テレビなどで朴訥な風貌で面白いお話をされるのをみたことがあるが作品を読ん

      だことも無かった。亡くなられた記事をい読んでいると1960年の芥川賞や毎日文化賞 大佛次郎賞など数々の賞を

     得られている。南極へ行かれたときのことを書かれた【マンボウ航海記】や【楡家の人々】などの名作もあるそうでこれ

     から 一つ一つ読んでいこうかと思っている。

     ところで今回の【マンボウ家族航海記】は週間小説に書かれた家族の日常を文庫本にまとめたものでいわゆる

     出版社と作者が二重儲けする手の本である。毎日の他愛ない家族生活を述べているだけのもので別にどうという

     感慨が起こるものでもない。しかし 初めて知ったのだが杜夫さんは物凄い躁うつ病で 欝状態のときは一日中

     寝ていて躁状態のときは競馬にはまって買い捲り 大借金をして奥様に叱られたとかそういうことがかいてある。

     奥様は彼に言わせると恐妻で・・作家の女房になるものではないらしい。この頃週刊誌などで軽いエッセイを書いて

     いる斉藤由香さんは杜夫さんの一人娘である。娘の結婚や孫のことをユーモア一杯に書かれている処は面白い。

     最近は軽い本ばかり読んでいるので一つもっと重たいものを読みたいと若い時に買った文学全集から【罪と罰】を

     再読しはじめたがこの長編は何時読み終わるのだろうというほど内容も濃いしなかなか手ごたえがある。
  2011年10月の読書 【母の恋文】谷川俊太郎 後世に有名になる哲学者の妻との恋文を子息が明かす click
  2011年9月の読書 【あきらめない人生】 瀬戸内寂聴 【草筏】で寂聴さんの人生を読みまた【祇園女御】【白い道】

     などの作品を読んでいるが その人生の前半分においては子供を捨て夫を裏切って男に走る奔放な生活 そして

     一念発起して仏門に入られた寂聴さんには女性としての勇気とペンで食べていける能力を羨ましくも思ったものだ。

     上にあげた作品でもたとえば西行の足跡をたどって歩き またその当時の文献をことごとく読んで推量するという

     力に色気だけではない実力を感じた。今回の文庫本は平成元年から四年までの間月刊誌【ゴールド】に掲載された

     短文をまとめたもので時代的には少し古いのだが 寂庵での法話 岩手県天台寺の住職 敦賀女子短大の学長

     という忙しい中で世間に起こることに対する自分の考えや 交友関係の話題などその時おりおりの考えを記したもの

     である。女の魅力 愛と性 花の命 人の命 寂聴微笑仏 華やかな老いなどの題についてのエッセイが書かれていて

     軽く読むのには面白いものであった。そして今は私も73歳をになり寂聴さんの言われることが 何の抵抗も無く

     確かそうだと納得できるのである。寂聴さんのような波乱万丈の人生ではないけれど 考え方は同じだというような

   気がする。
    

      
  2011年8月の読書 【猫を抱いて像と泳ぐ】小川洋子 小川ワールドの傑作。西洋将棋 チェスをめぐって  click here
  20011年3月の読書 『厭世捨人』 車屋長吉  最近読みたい本がなかなか見つからないので 2008年5月に

       読んだものを再読。なかなかの力作で面白い。車屋さんは朝日新聞の人生相談の回答がなかなか面白い

       ので好きな作家だ。
   2011年1月ー2月の読書 『きとこわ』朝吹真理子 『荷役列車』 西村賢太 芥川賞ダブル受賞  click here please
  2010年12月の読書 『ノルウェーの森』 再読 

      1987年初版のこの本を読んで村上ファンになった私ですが 最近映画化されたことを知り 24年も前のことなので

      どんな内容だったか すっかり忘れていたので 再読した。24年前の感想とは少し違うかも知れないけれど 当時

      48歳であった私にもまだまだ若き頃のロマンチックな気持ちも残っていて 安保反対時代を過ぎてから起こった

      学園紛争の時代は何か懐かしく 望郷のような切ないような心境で読んだような気がする。

     今回はさすがに高齢者の域にある私が同じような心のときめきを感じたかというと一寸 気恥ずかしいがそれでも主人公

      ワタネベ君の無限の優しさ 恋人キスギに自殺されてからの直子が心を病んで病院に入りそこで出会うレイコさんとの

     関係 あるいは同級生の緑とワタナベ君との友情は今も古びることなく 私の胸に迫るものがある。小説yというものは

     時代背景があるだけに30年も経てば世界や人々はその価値観も変わるもので本当に残る作品というものは時代が

     大きく変化しようとも その内容については普遍の価値 魅力があるものが残っていくとおもう。その点においてこれは

     村上作品のなかでも 戦後日本文学のなかでも貴重な一冊になる魅力的な作品であるとおもう。

     『ノルウエーの森』はビートルズの歌の題名からきているが ノルウェーの森 すなわちnorwegian woodはどちらかというと

     高級な木ではなく はしばしば労働階級の人が住むアパートの内装に使われる木を意味する。村上春樹はビートルズの

     フアンであるが そういう階級に住む女の子をうたったビートルズも同じ労働者階級の息子達だったと思うと 村上春樹の

     ビートルズへの愛情のような感情がこの小説の題名としてえらび 同時代の悩める若者達へのメッセージなのであろうと

    おばあさんは思うのです。
 
              
   2010年11月の読書  『近江山河抄』 白洲正子

    滋賀県立美術館で 白洲正子に関わる展覧会を見て感動し買って帰った本。

    とにかく近江の殆どあらゆる寺 神社 沖ノ島などの島 あるいは古事記や万葉集 また能の舞台になって

    いる場所 山々に登り 旧道を歩いて昔の謂われや古書に出ている故事と突合せ その中からこうで

    あったのではないかという自分の想像を記して余す所なく近江を讃賀している素晴らしい随筆。

    特に私が気にいっているのは 近江(淡海)こそが奈良や京都よりも早くから文明が栄え 日本の

    最初の文化発生の土地であろうということを力説していること。史実と現在残っている地名や

    文化すなわち 木地師 石工 塗り師 木材の豊富さ 帰化人が早くから住んで その石材技術を

    伝えたので 近江には坂本にある穴生の技術がやがて平城京や平安京の町にまで伝えられた

    のでありまた近江に素晴らしい石塔が沢山存在しているという事実。 最澄は父が帰化人であったという

    ことや 空海は名のある弟子がいないが最澄が伝教大師といわれるように全国に広がって活躍する

    キラ星のごとき大僧正を数多く育てたのも近江に比叡山という存在が大きな意味を持つということ等など。

    私は山にのぼるので例えば三上山にしても音羽山にしても実際に白洲さんが登って記述されていること。

    登山口でもある君が畑という地名が天皇に関係する土地であるとか 知らなかった近江の歴史との

    つながりを教えられてわくわくする気持になった。運転手と編集者をつれての取材で高名な家族の
      
    出であれば管主にあったり 地元の人々との交流もスムーズにいったではあろうが それにしても

     古事記や日本書紀 万葉集等などを読破した上で 土地に遭遇して読み比べ 自分の考え 想像を

     このようにまとめることは明治 大正 昭和と激動に時代に良くここまで歩きおおせたと感慨深い。

     




              
2010年10月の読書  『錆びる心』桐野夏生

     『柔らかな頬』で直木賞を受賞した作家の短編集。なんともいえない発想で書かれた

    6篇は難しいこともなくただスット読めるけれど作家の力量が垣間見える不思議なエスプリと心理的恐怖の

    夫婦関係や愛人関係が多く面白かったがきっとすぐに忘れてしまいそうな短編でもある。

    
『言葉の風景』小椋桂 俳句で言葉に詰まるので何かいい言葉が発券できるかと読んでみたが失敗。
2010年9月の読書 [乙女の密告] 赤染晶子 第43回芥川賞受賞作品

       外国語大学ので[アンネの日記]を暗礁する乙女達と指導教授 そして隠れ家に住んでいたアンネが

        誰に密告されて収容所に送られて死に到ったかを下敷きにして乙女の一人が教授と親しくなったことを

        密告することとの関係。 アンネの日記といえば私も中学生のとき読んでその運命に涙したものだが 

        当時はこれほど深い考えを持った少女だッたとは全く理解していなかった。赤染めさんの見事な構築に

        よって人間が行う人間の 分別の恐ろしさ 決してアンネの悲劇を忘れてはならないという作者の思いは

        深く胸に刻まれなければならないことを再確認する小説だと思う。

       久し振りにどうしてこんな発想が出来るのであろうかという作家の才能を感じる作品だと思う。

       素晴らしい。なお赤染晶子さんは36歳で京都外大卒 北大博士課程中退だそうだが 私が近年一番

       素晴らしいと思う小川洋子さんのような新たな発想をもって更なる作品を期待して止まない。

             
2010年8月の読書 [永遠のゼロ] 百田尚樹 特攻隊ゼロ戦でなくなった祖父の最後の姿を求めて取材する姉弟が

             祖父の戦友から祖父は操縦桿を握らせば超一流の腕前を持ちながら 皆がお国のために 喜んで

             死んでいった中にあって [死なずに帰って娘や妻に会いたい]というような卑怯者だったとの話をきく。

             その祖父がなぜ最後はゼロ戦にのって突撃死したかを調べるうちに最後に以外な結末が解るという

             物語。

             読書番組で活躍される児玉清さんが号泣したとの帯に引かれて読んでみた。我々の世代は戦後色々な

             悲惨な作戦失敗による若き兵士の無駄死にも等しい インパール作戦やガダルカナル作戦あるいは

             硫黄島に浜辺に累々と横たわる日本軍の死体写真をみて如何に日本軍が相手を見誤まっていたかを

             知らされたものだ。昔 大岡昇平の[レイテ戦記]や阿川弘之の[暗い波濤]等圧倒的な事実と文学的

             才能で描かれたむごい戦争記に及びも尽かぬ本書ではあるが まあ色んな資料を駆使してゼロ戦を

             中心に海軍がとった作戦を詳しく紹介している。しかし児玉清がなぜそれほどまでに号泣をこらえ切れ

             なかったのかは私にはぴんとこなかった。文章が少し平凡で幼い気がするし祖父のなぜそういう

             気持ちになったいたかを祖父の人物像をもう少し深く文学的に表現する必要があるのではないか。

             最後のドンデン返しで一寸工夫が感じられる通俗小説の域を出ないのではないだろうか。
  
             文庫本して600ページにせまる長編である。
2010年7月の読書 【衆愚の時代】 楡周平 【 国民の皆様が国を滅ぼす】という帯につられたが [派遣切りは正しい]に

           始まって[欲望を知らない子供達] [ 夢という名の逃げ道] [サラリーマンは気楽な稼業ではない]

           [まだ株屋を信じるか] [非成長時代の身の処し方] [ 老人専用のテーマパーク作ろう]

           [ 弱者の視点が国をダメにする]などの項目にしたがって自説を述べているが 目新しいものはなにも

           なくテレビなどでしょうもも無い解説者が言うようなことで一寸世の中を考えている人ならわかる話を

           要領よくまとめたもの。著者は昭和32年生まれの慶応出の米国系企業に勤めた後作家活動をされている。

           新潮文庫とはいえ へぇっというほどの新しい視点はなかった。
2010年6月の読書 【アフターダーク】 村上春樹  小説としては新しい手法かもしれないけれど何ともゆるい話 clcik here
2010年5月の読書 【貴婦人Aの蘇生】 小川洋子 アナスタシアだと名のる老婦人と姪との生活   click here
2010年4月の読書  【羊をめぐる冒険】村上春樹 野間文芸新人賞受賞作品 青春三部作完結編  clcik here
2010年2月ー3月の読書 【太陽を曳く馬】 高村薫 【晴子情歌】【新リア王】に続く三部作。余りにも難解 click here

2010年1月の読書
 【人間失格】 太宰治 若い時に読んだのだが 今の時代又太宰ブームとかで映画にもなるらしい。

もう一度今の年齢で読み返してみる。文学としては素晴らしいと思うが まあ主人公が太宰の人生そのものであるだけに

 暗くて 皮肉屋で人を小ばかにしたような とても肯定できる人間ではない。育ちから来る優越感と劣等感 意志薄弱で

薬と女性に頼る情けない自分を人間失格としてこの自叙伝的私小説を書いた後玉川で女性と共に入水心中をするのだが 

彼自身が津軽金木の名家に六男として生まれ 東京大学に進学するという一見 その時代としては恵まれた環境であるよう

におもえても 当時父は殆ど仕事や貴族院議員として多忙を極め 母は病弱で彼は殆ど乳母やおなごしに育てられた、

当時としては長男ガ家の跡継ぎとしてもっとも期待され実権を握りその存在ガ大切にされた時代である。しかも実家が

農民に金を貸し 返せなければ田畑をとって益々家は大地主となってゆく。そういうことに対する反発が彼を共産主義に

傾倒させてゆく。敗戦の年彼は36歳であった。

 彼は最果てとも言うべき津島に生まれ 地の人が持つ忍耐強い一面も持っていただろう。然し薬物中毒で精神病院に

いれられ家族からも仕送りを立たれ 孤独の中に自らの存在理由を見失ったのである。

 現在なぜ又太宰の作品が読み返されるのであろうか。それはきっと今青年達が置かれている逼塞感 あるいは

社会における人間性の欠如 昭和初期とは違うが 何か時代に共通の若者達の孤独感が太宰作品に共鳴する何かが

あるのではないかと推察するのである。
2009年10月から12月まで 『インド世界を読む』と言う岡本幸冶氏の新書くらいしか読んでいない。

   身辺色々あって睡眠導入剤を飲む関係で週刊誌 文春くらいしか読めない。この『インド世界を読む』は

   大阪国際大学の名誉教授 でインドに詳しい先生の著作だが内容が極めて常識程度で 『詳しくは拙著何々

   に書いていることを参照』と言うことが多々出てくる。商社勤務から大学教授だそうで 大体内容が想像できる

   ことが要領よくまとめただけの本。私がインド人が素晴らしい文化や数学の才能 あるいはイギリスと戦った不屈の

    精神 現在の発展振り 更にあの人数での選挙などの民主主義国家を体制として持っていることは

    素晴らしいとはおもうけれども お釈迦様が生まれた土地でありながら人民を差別してカーストを制定し

    その下にも不可触民と言われる民族がいるという現実がある。政府も色々優遇策を取っているらしいが

    人に差別意識というものはなかなか変わらないものだ。生まれながらにして貧しく差別される人々の

     事を思うと胸が痛いのである。ヒンヅーやイスラムでは女性差別もはなはだしい。中国と並び世界で

     大発展している国であればこそ 人権の問題を第一に考えなければ更なる発展も人を幸せに

     することは難しいのではないだろうか。

                  
2009年9月の読書 磯崎憲一郎 『終の住処』第141回 芥川賞作品

        最近の芥川賞にはどうも納得がいかなかったというか私の読解力不足で 何でこれが芥川賞かのかという

        疑問を抱くことが多かったように思うが今回の『終の住処』は簡単に言えば結婚後夫婦がその後11年間

        口を利かなかったが十一年目にしてまた口をきくようになるという男側の心理とその間の他女性との付き合い

        などを淡々と書いているのだけれど 事実を時間経過によって書いて行く上で不思議な感覚と確かにそういう心
   
        理状態は男にはあるであろうことがよく理解できる。口を利かない妻側の気持ちとか生活を殆ど書かない事によ

        る想像を読者に与えるのである。下世話に言えば こんな夫婦生活なんてありえないという単純な感想と

        その二人の世界を想像して余りある楽しみ方も出来る。作家は早稲田大学で漕艇部で三井物産の就職して

        アメリカの駐在員として仕事でもやり手らしい。作者は夫婦すれ違いのギクシャクした不幸な関係を書いたのでは
  
        なくどんなに性格はちがっても価値観が違っても理解しあえない夫婦でも40年50年と一緒に生活して

        いるとその時間ほうが重いということを書きたかったということですが。現実問題としては 夫側のいいぶんであ

        り 妻側の期間の経過や生活や感情を書かずに 僕本人の生きてゆく上での行為を書いてゆくという手法が新し

        い手法であり魅力的な小説 小説らしい小説になっていると思う。

       小川洋子さんがこの小説について 『妻との11年間口を利かないという一つ一つに合理的理由は存在せず

        お互いにつながりあってもいない。あらゆる出来事はまるで予め定まっているように起こるべくして起こる

        人間の人格など役に立たない。・・人間を描くという不確かな視点を拒否してただ時間に映しだされる

        事象のみを書き写す試みが独特のいびつさを生み出している。貴重な才能の出現を祝福したい』と書いて

        おられる。私もこの作品はその書評に尽きると思う、新しいスタイルの作者の出現をお祝いしたい心境である。

2009年8月の読書 浅田次郎 『シエラザード』上 下2巻

        歴史的事実として日本郵船の阿波丸が第二次大戦末期に連合軍から南方各地に収容されている捕虜の為に

        物資を運ぶ特命をうけて緑地に白十字の標識を掲げて航行していたが物資以外は運ばないという約束を反故
  
        シンガポールでかき集めた金塊を秘密裏に積み 邦人を2000人も乗せて帰る途中進路を上海に変えたため

        アメリカ軍の攻撃を受け沈没して大勢の人命が失われたということがあった。なぜ金塊を上海に運ばなければな

        らなかったか。

        すでに日本は中国での戦費にも事欠く状態でもしそのまま何もせずにおれば民衆の蜂起によって

        益々窮地に陥るという末期的な状態であった。昭和20年3月にはフィリッピンも制圧され 退路は立たれていたの

        である。

        物語はその黄金を引き上げるために宋と名乗る台湾の要人が色々画策する話で浅田次郎特有の波乱万丈の

        エンターテイメントストーリを展開する。

        船は弥勒丸として登場しもともと サンフランシスコへの豪華客船として日本郵船の力を結集した豪華客船

        である。当時の弥勒丸での船長や軍人の駆け引き 白系ロシアの少女の密航 船員との友情なと

        戦後の引き上げを巡る財界人や金融会社の社員や女性ジャーナリスの恋愛など軽く読むには絶好の面白い

        作品となっている。昔NHKでドラマになったことがあるそうで 私は見ていないのだがきっとrテレビとしても

        面白い作品にだっただろうと想像させる作品である。

2009年5月の読書 小川洋子『 シュガータイム』最初の長編だそうだが単なる青春小説ではない深い内容。click here pleas
2009年4月の読書 前月に続いて小川洋子作品を読む。【凍りついた香り】【妊娠カレンダー】【海その他】 click here plese
2009年3月の読書  『人間の覚悟』五木寛之 『完璧な病室』『余白の愛』『やさしい訴え』 小川洋子   click here

 2009年2月の読書『ポトスライムの舟』津村記久子 

   去年の受賞作『ひとり日和』のときに感じたものよりさらに何故これが賞をうけるのかわからない。読後の感想
   としては昨年の『ひとり日和』のほうがまだ文学的な鑑賞に堪える。工場でベルトコンベアーに載ってくる
   作業をしている女性は土日はコンピュータを教える仕事をし夕方は友人のコーフィー店でアルバイトする今時の
   フリーターの女性がある日世界一周(どこか太平洋に島々を巡る)163万円の船旅の広告を見る。
   自分の年収と同じ金額の旅をしてみようかと考え始める。そこに一人の友人が離婚して彼女が同居する母の
   家に転がり込む。そしてもう一人はいわゆる空気読めない友人 工場の先輩 などと お互い傷つけないように暮らす
   即ち濃密な関係がもたらす憎悪をしるゆえにお互いに傷つけないようにお互いを思いやり 又つましい生活だからこそ
   よい関係を保つと言うような 文学的な鑑賞力のない私には感動のしようのない平凡な毎日が大阪弁で描かれている
   選者の一人が『蟹工船よりこっちでしょ』と言っているが蟹工船の時代と今では全く人間の置かれる絶対的境遇が
   違うのに何でこんな話のほうガいいのか理解できない。主人公は前の会社でモラルハラスメントを受けて欝になり
   会社を辞めているという背景がある。そのことは別の作品に書いているそうだが もう少しッ同居の母との会話とか
   友人との関係を濃くかいたほうが作品に重厚感を与えるのではないだろうか。余りにもフラットで私が小説に求める
   ものに程遠いと想う。これは単なるエッセイならそれはそれで特徴あるものかもしれない。

    なんやようわかりませんわ。お手上げです。                       
           
2009年1月の読書『利休にたずねよ』 山本兼一 第140回直木賞作品 久し振りに納得のいく受賞作品 click here please

2008年12月の読書 『あやし』上下 宮部みゆき
              9編の時代小説。 江戸時代に差配に紹介されて12や15歳でお店へ奉公に行って彼や彼女が
              そこで経験する不思議な あやしい話の短編集。最近読んだ時代小説はどちらかといえば武家社会の
              話だがこれは一般市井に置ける悲喜こもごもや不思議な体験などを書いている。
              今の時代派遣で働く人がいろいろと問題になっているが派遣は昔は差配という人を通じて紹介され
              お店がつぶれれば お閑を頂き、本人が気に入られなければ首ということで今も昔も厳しいものである
              には違いない。
              睡眠薬代わりに読むには軽くていいかもしれないけれどどの一遍をとっても何ら目新しさもなく面白みにも
              かけるただの週刊誌向けのしょうも無い小説である 。
2008年11月の読書 『蝉時雨』藤沢周平  『海辺の光景)安岡光太郎 『父の帽子』森茉莉   click here please
2009年10月読書 『五辧の椿』山本周五郎 ちょっと古いけれど時代小説の代表作としてはじめて周五郎を読む。click here

2008年9月の読書
 「両性具有の美」「余韻を聞く」 白洲正子 昭和初期からの上流階級の随筆  click here

2008年8月の読書 『車屋長吉句集』 「ブラフマンの埋葬」 小川洋子 「時が滲む朝」楊逸(ヤンイー) click here
2008年7月の読書 『天涯の花』 宮尾登美子 四国の霊峰 剣山に咲くキレンゲショウマに纏わる恋と家族愛。 click here
2008年6月の読書『鹽壺の匙』『業柱抱き』『武蔵丸』 車谷長吉 

      先月読んだ車谷長吉の作品が面白かったので図書館で古い文庫本になっているものを三冊借りた。

      
『鹽壺の匙』は三島由紀夫賞を受けた6編の短編が収められている。夫々に感想を描くほどのストーリ−性

      もないので割愛するがとにかくこの作家の生い立ちというか家族環境は凄い。これほどの特徴のある家族をもって

      ご本人のあくなき小説への熱情と人生経験があれば 作家として題材には困らないだろうけれど然し題材に

      される祖父 祖母  父母 従兄弟 弟等はたまったものではないだろう。私小説というものの残酷さを感じる。

      それぞれの短編は昭和はじめからの現代史の中における庶民の生活を生き生きと描き 私つまり車谷自身の

      幼少の頃感じた肉親への憎悪や憐憫の中にある愛情を方言を交えて書いているのでで読み手を飽きさせない魅力が

      ある。然し私小説であるゆえに同じ背景 同じ人々が出てくることから どれもどこかで読んだという感じは否めない。

      先月の『厭世捨人』の前編のようなものである。特に弟や自死した従兄弟とのことが作家の心を占めるめる割合の多さ

      からすぐれた描写となっていると思う。一読の価値のある私小説ではないだろうか。
      
2008年5月の読書 『厭世捨人』 車屋長吉 初めての作家だが中々面白い自伝である。同時代にi生きる共感 click here please
2008年4月の読書 『梅原猛の授業・仏教』 犯罪の多発を憂いて道徳心を養うためには仏教の授業が大切と。click here
2008年3月の読書 『ブッダはなぜ子を捨てたか』 山折哲雄氏の子捨て親捨て時代への警鐘?  click here please
2008年2月の読書 『沈黙博物館』小川洋子 『けなげ』荻原アンナ 『乳とy卵』川上未映子 芥川賞  click here please
2008年の1月読書 正岡子規 『歌よみに与ふる書』『かけはしの記』『高尾紀行』等 俳句の参考にと子規を読む  clcik here
2007年12月の読書『中原の虹第4巻』浅田次郎 『中原の虹』最終編 最終編だが今ひとつ感動がない  click here
2007年11月の読書

『五郎治殿御始末』 浅田次郎  幕末から明治維新になって激動の時代を生き抜く人々を語る六つの短編

 負け方になった幕府側の下級武士の悲哀、西洋化を促す新政府についていこうと奮闘する人々。

  水戸藩士に暗殺された井伊大老の家臣が明治政府になっても暗殺犯を追いかける話、浅田次郎自身の家系に

  あったと思われる桑名藩の侍が桑名藩が徳川方であったために恭順開城を拒み 廃藩となったときその後始末を

  まかされ 自分の始末を最後につけるために孫を殺して自害しようとするがそこで昔藩に出入りしていた商人に

 すんでのところで諌められ孫を殺すことをやめるという話。男の始末とは決して逃げず後戻りせず、能う限りの

  最善の方法で始末をつけねばならぬという話である。六編夫々が素晴らしく激動の時代を右往左往しながらも

  庶民が生きて行こうとする苦悩を徳川方の武士を通じて描く傑作である。浅田次郎の視点は徳川慶喜にみられる

  卑怯な指導者をもった下級武士の悲哀 それでも各藩における人々の忠誠心、、錦の御旗を掲げた薩長の滑稽さ

  西欧化への批判などが 当時の人々への暖かい共感が読みとれる。短い時代に体制がこれほど変わった時勢を

  庶民が特に武士階級がどれほど困窮し又のし上がった人々がいたかを知るとき歴史で学び事実だけでは

  想像も出来ない庶民の生活に思いをいたす作品であった。

 
 『沖縄ノート』大江健三郎  名誉毀損裁判について   click here please          
2007年10月の読書 『王妃の館』(上・下巻)浅田次郎 パリにある『王妃の館』というルイ王朝そのままのホテルに泊るツアー click here
2007年9月の読書 『憑神』 浅田次郎  下級武士が邪悪な神に取り付かれそれを乗り越えて人間として成長する時代小説  clcik here please
2007年8月読書『中原の虹』第3巻 浅田次郎 『蒼穹の昴』から始まる中国近代史だが巻を重ねる度に面白くない clcik here
2007年7月読書 随筆集『夕波帖』小川国夫

           曽野綾子のキリスト教関係の本を少し勉強(?)していたのでここ暫く読書といえるほどの本は読んでいない。
          小川国夫さんは有名な作家であるが今まで作品を読んだことがなかった。インターネットで本を探していたときに
          小川さんの対談が載っていてフランス語を習っていた宣教師からカトリックの洗礼を受けた次第を次のように語っ
          ていた。          

          『今でも日本に外国人宣教師は大勢いるでしょうが、戦争前と戦後に来た人には十字架を運ぶくらいの苦労が
          あっただろうね。でも、僕がそういう人たちにぶつかったってことは運がよかったと思っています。つまり、キリスト
          教の真髄というか、本当の精神に触れた、という感じがしたからね。それも、東京や横浜ではなくてこういう田舎
          で。
          この町も少しは爆撃されましたから荒れ果てていたけれども、そういう所に彼らはスッと入ってきたんですね。
          だからキリスト教の内容にはたいして関心はなかったんです。そうした人物の魅力というか迫力ですね。
          親鸞の有名な言葉が「たとえ法然にすかされて地獄に落ちてもいい」という・・言葉があるじゃないですか。
          こういう人なればすかされてもいい、という感じでした。こっちも若いからパッと反応しますよね。
          カトリックについては、その後、僕も色々と調べたり、そのために苦労したり、わかんなかったり ぐらい悩んだり
          いろいろあったけれども、この時に「道」を見いだしておいてよかったと思いますよ。
          人間ていうのはやっぱりテーマというものが必要でしょう。生涯にわたるテーマをひとつは持つと思うんですね。
          テーマがなければふらつきますから。それで、そのテーマを彼らは与えてくれたわけですね。・・・』
          この言葉に『親鸞』を少し学んだときのことを思いだして人間が高邁な思想も大切だけれどもヤッパリ心から
          信じられるのは高邁な教えを語ったり実際の生活の中で実行している人に影響を受け、その人をとおして
          信じるようになるということをあらためて感じた次第だ。それで手近かにあった小川さんの随筆集を読んた。
          『夕波帖』は帯によると洒脱なユーモア感覚で老いと戯れる心の発露としての随筆集だが彼が若き時から
          かかわった志賀直哉や芥川龍之介などとの交流や彼らに対する感想、若き日のフランス留学やイタリア旅行
          についてのエッセイが書かれている。古い時代から2006年くらいまでの新聞や雑誌に掲載されたものを 
          まとめたものである。
          読み易い文章と暖かい心の発露が素晴らしい。特にミロのヴィーナスより美しいといわれるシシリーのヴィーナス
          アフロディアのヴィーナスをみに行くオートバイ旅行の一遍は素晴らしいと思った。所々に彼の信仰や人生への
          感が出ていて心に響くエッセイ集である。
  

2007年2月の読書 「ひとり日和」青山七恵 第136回芥川賞授賞作品 文芸春秋

            珍しく選考委員の石原慎太郎と村上龍がほめていてしかも審査員も昨年ほどには割れなかったと聞いたので
            大いに期待したのだが 私にはこれが何故芥川賞を受けるのがわからない。20歳のフリーターの女性が母が
            中国へ留学するので遠い親戚関係にあるらしい70代のおばあさんと同居生活をしながら軽い恋愛をしてまた
            おばあさんの老いらくの恋なのかボーイフレンドとのかかわりを描いている。 おばあさんの家が駅に近く 
            その駅を中心にして四季の移ろいを通じて彼女が自立してゆく姿をえがいている。 彼女をはじめ恋人となる
            2人の男性との出会いと別れにしても深みも情緒も無く主人公の彼女にしてもまるで無気力というか全く魅力が
            無いし母との関係においても説得力が無い。ただ駅を中心としたストーリーは淡々と進む白黒の昔のフランス
            映画を思わす設定が唯一面白いおばあさんとの会話やかかわりとともに僅かに若い作者の才能のようなものを
            確かに感じることは出来る。
            しかし昨年の「8月の路上に捨てる」の時も感じたのだが今の若者の描く若者像に対する忌避感みたいなものが
            ぬぐえない。同じ青春の心理描写なら綿矢りさの「蹴りたい背中」のほうが数段上のように思う。
            小説として胸にドンとくる作品 ストーリー性を楽しめる作品を若い世代に期待したい。幼少のトラウマや
            無気力のフリーターの自立などまあまりにも世界が狭いのではないだろうか。
            それほどまでに今の日本の若者が窒息状態にあるということだろう。

             青山七恵 1983年生れ。筑波大学卒業 都内の旅行社勤務 「窓の灯」で第42回文芸賞授賞

 
2007年1月の読書 「現代に生きる聖書」曽野綾子 少しキリスト教の知識を整理したくて勉強してみました。  click here please
2006年12月の読書 「最後の親鸞」 浄土真宗の成立過程における親鸞の思想を学ぶが難解であった。  click here please
2006年11月の読書 「中原の虹」1巻・2巻 浅田次郎 「蒼穹の昴」の続編 清朝末期の歴史に見るドラマ  click here please

2006年8月の読書
 「8月の路上に捨てる」伊藤たかみ著 第135回芥川賞受賞     click here please                                                                          
2006年7月の読書 「つきのしずく」「聖夜の肖像」「銀色の雨」「琉璃想」「花や今宵」ふくちゃんのジャックナイフ」「ピエタ」

             浅田次郎短編


             浅田次郎の小説は題材のとらえ方や発想の多様性など好きな作家の一人である。

            上記作品は雑誌のオール読み物に掲載された短編の文庫本であるが夫々に有りそうで無さそうな

            話が中々面白い。直木賞受賞の前後に発表された作品がだどれも物語性のあるあの「ぽっぽや」の

            主人公の匂いのする人物描写が読む者の琴線に触れる。読後感に何か幸せ感を抱かせる名短編だと思う。

            雑誌で発表され後でもこのような名品なら文庫本化することはいいことだと思う。

            日ごろオール読み物や他の小説雑誌を読まないものにとってはありがたい本ではあると思う・・
             

2006年6月の読書
  草筏(瀬戸内寂聴) 祇園女御(上・下) 瀬戸内寂聴  寂聴さんの自伝と藤原時代の上皇の女御たちの物語  click here
       
2006年4月ー5月の読書 ダ・ヴィンチ コード(上)(中)(下)読後 映画もみたが中々面白い娯楽作品であった。  clcik here please

2006年3月の読書  魯迅短編集 狂人日記 阿Q正伝など。 感想をかくには知識がなさ過ぎる私ですが・・・  click here please
            
2006年2,月の読書  博士の愛した数式(小川洋子)容疑者Xの献身(東野圭吾芥川賞作家と直木賞作家の作品だが  clcik here
2006年1月の読書 人間臨終図鑑(1)(2)(3) 山田風太郎 16歳で火あぶりになった八百屋お七から121歳で大往生をとげた泉重千代さん迄

          徳間文庫本三冊で歴史上の人物から作家 政治家 音楽家 画家 重罪犯人など1000名以上の著名な人の臨終にいたる様子を

            色んな資料から描いているのである。 『人間は必ず死ぬ。しかし今は死にたくないのだ』という風太郎の言葉は人間の永遠の願望だろうが

            よくまあこんなに集めたものだと感心する。 一人一人については短い記述もあり 詳しくその人の生き方にも及んだ記述もあるのだが

            我々の知っている有名人が想像を超えた生き方をしていることを知る 非常に面白い。例えばあのフランス革命に導いた『民約論』や

           『エミイル』を書いた哲学者ジャンジャックルソーが放蕩もので生ませた子供全てを養育院にほり込んでいたとか 『荒城の月』で有名な

           山田耕作は最初の妻から『残酷で浮気破廉恥で人間性ゼロだといわれ子供たちも葬式にも顔をださなかったそうだ

            万太郎俳句で有名な久保田万太郎にいたっては弟子から己が身勝手で過ちを連続し不義理不人情・・と散々な性格であったらしい。

            すぐ忘れてしまう本ではあるが寝つめぬ夜には格好の読み物である。正岡子規の病の苦しさ、小林多喜二に対する官憲の拷問 

           夭折した天才などなどj時代による非業の死には胸の詰まる想いがした。いまいちど自分の人生を振り返えり 社会に名を残す才能の

           なかった平凡な我が人生に残された日々を想う時 この日本で生まれ 時代的にもまあまあで 死に際もペインクリニックが発達してあまり

            苦しまずに死ねるのではないかとささやかな幸せを感じた次第だ。
           
2005年12月の読書 さようなら、私の本よ!(大江健三郎) 『取替え子』『憂い顔の童子』に続く三部作の最終編  おかしな老人二人の『愚行) clcik here
2005年11月の読書 新リア王(高村薫) 名作『春子情歌』の続編とも言うべき長編だが何せ1980年代の政治は少し古すぎる気もするが・・ clcik here
2005年10月の読書 アフターダーク(村上春樹) 東京奇譚集(村上春樹) 久しぶりの春樹様なんだけで何か失望。あなたも手抜き?  clcik here
2005年9月の読書 白道(瀬戸内寂聴)、 土の中の子供(中村文則)、 彩の女(平岩弓枝) 芥川賞受作は幼児期虐待のトラウマもので・ click here
2005年8月の読書金子みすずのこころ(矢崎節夫ほか)、道元の月(立松和平)、珍妃の井戸(浅田次郎) みすずの悲しい人生と素晴らしい童謡 click here
2005年7月の読書 宙返り(大江健三郎) 魂のことをする教会において神をコケにしたパトロンが新しい人として教会を再生しようとするが・・・click here
2005年6月の読書 好太郎と節子ー宿縁のふたり 澤地久枝 生誕100年を迎えた画家三岸節子と好太郎の生涯明治大正昭和平成を生きた証 click here
2005年5月の読書 『クラウディア最後の手紙(蜂谷弥三郎)『クラウディア奇蹟の愛』 テレビで報じられた実話、崇高な愛なんですが・・ click here
2005年4月の読書 満水子(高樹のぶ子)霧の子午線(高樹のぶ子)地を這う虫(高村薫) 好きな作家の古い作品だがとても面白い。 click here please
2005年1月ー3月 『OUT』 直木賞作家桐野夏生の推理作家協会賞受賞作単行本上下800ページの大作。コンビニ弁当の工場で働く4人の主婦が

              仲間の一人が家庭内暴力を働く夫を殺害、その死体を3人で細かく切断して捨てるという事件をきっかけとして第二の切断、ついには

             殺された仲間の死体をも切断するというおぞましい事件を背景に現代日本で起こっている 階級分裂、4人の主婦の社会の底辺でいきる

             出口『OUT』のない閉塞感が特に下巻のスリルと社会性の描写が素晴らしいと思う。主人公雅子の孤独感や邦子の絶望感 どうしようもない

           社会の仕組みなど愚かとは簡単にかたずけけられない現実が彼女たちを犯罪に走らせそして愚かゆえそこから抜け出せない事実、

           愚かでなくても抜け出せない
あろう絶望が生き生きと描かれている。推理小説はあまり好きでない私でも一気に読みたくなる面白くて

          考えさせられる小説だと思う。

           
2004年12月の読書 もしも僕らの言葉がウイスキーであったなら(村上春樹) たそがれ清兵衛(藤沢周平)       click here plese
2004年11月の読書 蒼穹の昴 (浅田次郎滅び行く清国の展開だれる貧しい少年と優秀な青年の生涯を西太后をまらめて描く歴史ドラマ  click here
2004年10月の読書 天国まで100マイル(浅田次郎直木賞受賞後の第一作だそうだが 陳腐な人物設定でおおいに落胆した.  click here please
2004年9月の読書  鉄道員ぽっぽや他 (浅田次郎) 俳句的生活(長谷川櫂) 直木賞受賞作がこんなに短編だとは。でも珠玉の名編 click here

2004年8月の読書 沙高綺譚(浅田次郎沙高楼で行われる秘密のパーティで話される話は口外無用 5編の名短編     click here please

2004年7月の読書 死の壁(養老孟司)バカの壁で有名な解剖学者の公演や対談を編集者が筆記したもの。             click here
2004年5月の読書 マークスの山(高村薫)直木賞受賞作品 本格的整理小説との触込み。警察内部の捜査実態 click here
2004年4月の読書終らない夏(小澤征良)タングルウッドで過ごした時代を家庭、友人音楽会など生き生きと書く。あらゆる事に上流の生活がうらやましい。父の人生の生き方、楽しみ方の素晴らしさ、世界のオザワの親友達との交流が子供にとってどれだけいい影響をあたえるかを実感、見る。感じる。光る。溢れる思いがくどくない文章で書かれたエッセイ。どうということないのだけれど素敵です。
2004年1、2、3月の読書 「蛇にピアス」金原ひとみ 「蹴りたい背中」綿矢りさ 最年少芥川賞受賞作品だが・・ click here
2003年12月の読書 日本人のこころ 道元、一遍、良寛 (栗田勇)、道元と一遍、良寛に日本人の心を探る  click here please
2003年11月の読書 神の子どもたちはみな踊る他(村上春樹)連作「地震のあとでその一から六)大人の童話のようでclik here
2003年10月の読書 小説大逆事件(左木隆三) 明治天皇暗殺計画の幸徳秋水事件実録 テロリストも世につれて click here
2003年9月の読書  イスタンブールの恋(高樹のぶ子)億夜(髙樹のぶ子) 久しぶりの髙樹作品   click here please
2003年7月 8月の読書 晴子情歌(高村薫) 大長編で読ませる大正から昭和への時代の流れを背景に母子の哀歓 click here
2003年6月の読書  女たちのジハード(篠田節子)死神(篠田節子) 直木賞受賞作品 いま時の女性の生態  click here
2003年5月の読書  生(柳美里) 命(柳美里) 柳美里の東由多加の癌死にいたるまでの闘病と彼女の子育て click here
2003年4月の読書  家族の標本(柳美里) 魂(柳美里) 先月に続けて美里の作品を呼んでみたが・・・ click here please
2003年3月の読書  家族シネマ,真夏、潮合(柳美里) 何かと話題の多い作家の芥川賞受賞作品他   click here please
2003年2月の読書  李欧(高村薫)    「我が手に拳銃を」を下書きに新たに書き下ろした500頁の大作  
2003年1月の読書 海辺のカフカ(村上春樹) 15才の少年の家出から始まる摩訶不思議 魅力一杯の小説 click here
2002年12月の読書 憂い顔の童子(大江健三郎)面白い大江作品、事実とフィクションない混ぜでスリルもあり click here
2002年11月の読書 親日派のための弁明(金完燮)韓国で発禁になった韓国人が書いた日本擁護の歴史認識  click here please
2002年10月の読書 神の火(高村薫)原子の火(原子力発電)にまつわる元スパイの葛藤のドラマ    click here please
2002年9月の読書  リヴィエラを撃て(高村薫) 黄金を抱いて翔べ(高村薫)サスペンスに弱い私なので  click here please
2002年8月の読書  老いてこそ人生(石原慎太郎) 我が老いにも何かヒントがあるかと思ったが・・   click here please
2002年7月の読書 水脈(髙樹のぶ子)蔦燃(高樹のぶ子)女流文学賞、島清恋愛文学賞作品   click here please
2002年6月の読書  透光の樹(高樹のぶ子)中年男女の恋愛を描いて凄まじい。35回谷崎潤一郎賞 click here please
2002年5月の読書  光り抱く友よ、揺れる髪、春まだ浅く(髙樹のぶ子)芥川賞受賞作品他    click here please
2002年4月の読書  百年の預言( 高樹のぶ子) 初めて読む髙樹作品、歴史と推理、恋愛小説の傑作 click here please

 

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