【探偵になりたい】

私は推理小説が大好きである。

実を言うと「真面目おたくの遊び人noidol」というフレーズの「おたく」の部分は私の「推理小説おたく」の部分を説明したところが大きい。

ほかには細かいことがおたくっぽいとか、おたくっぽい事を知りたがる癖だとか、雰囲気がおたくっぽい・・という理由があるのだが、とりあえず私は推理小説にちょこっと詳しいのだ。

私は推理小説の中でも1987年以降にぞくぞく出てきた「新本格派」という新鋭のジャンルが好きなのだが、これについて語るとみなさんがひくのでともかくとして、推理小説の魅力というのはやはり素敵な探偵が多く出てくるところだろうと思う。

推理小説はかつて「探偵小説」とよばれていて、江戸川乱歩、横溝正史が基盤を築いていった(と私は思っている)
昨今では主人公が即席の探偵となって推理するものが多いが(赤川次郎はこのタイプ)、私は昔ながらに探偵が出てきて推理を披露する、というタイプが大好きだ。

探偵といったらみなさんは誰を想像するのだろうか。
気難しがりやのシャーロックホームズならば誰もが知っているところであろう。灰色の脳細胞で有名なエルキュ−ル・ポアロなんかもテレビでやっていたので知っている人が多いことと思われる。
少年探偵団を率いる明智小五郎、映画「八つ墓村」でトヨエツが熱演した金田一耕助あたりも知っているはずだ。彼は若者の間では孫の金田一一のほうが有名になりつつあるが・・(ところで父は凡人だったのか?)
世界で最初の探偵である勲爵士オーギュスト・デュパンはあまり知られていないかもしれない。私もエドガー・アラン・ポーの「黒猫・黄金虫」は読んでも彼の出てきた作品は読んだことが無い。

さてここからは推理小説に詳しくない方は次の大段落まで飛ばしてくれて構わない。
推理小説好きとなれば、やはり萌絵に強引に推理させられてそうな犀川創平や有栖川の描く火村英夫は押さえておきたいところ。
新本格派ファンの私としては綾辻行人の書く館モノ専属探偵の島田潔ははずせないし、探偵とは言わないかもしれないが我孫子武丸の人形探偵鞠小路鞠夫もはずせない。
またハードボイルドを推理小説のジャンルに組込むときには女性の探偵の名前も出てくる。乱歩賞作家桐野夏生の書く村野ミロだ。
私が一番のお気に入りハードボイルド探偵は大沢在昌の「アルバイト探偵」の冴木隆だ。他のハードボイルド探偵といえばフィリップ・マーロウか。
探偵というのはカッコいい人が多いねぇとここでため息が出てきたところでそれを打ち消すように美食探偵ネロ・ウルフの名前も挙げとこう。
それから児童文学に出てくる名探偵で欠かせないのが夢水清志郎。天才型探偵だ。児童文学の探偵としては「マカロニグラタン殺人事件」のピカソくんも挙げたいところだがこれはマニアックすぎるといえばマニアックすぎる。

探偵の名前は以上に挙げるように湯水のように出てくる(でももうあんまりでてこない←正直者)。

まぁここまでは私がいかに推理小説好きかというただの前置きなのだが(←長いって!)、実を言うと私は探偵小説を読んで心を躍らせていたばかりではなく、探偵になろうとした時期が合った。

中学生の頃、私は本気で探偵になりたかった。
思い余ってタウンページで興信所・探偵という欄を片っ端からしらべあげた時期も合った。
調べ上げてどうしたか・・・?
どうしようとしたのだろうか、自分でもよくわからないが、ある日私は探偵に電話をかけた。
今思えばそんなわけあるわけないだろ、と思うのだが、私は逆探知されている可能性も考えてわざわざ公衆電話から電話をかけた。
逆探知とか・・・私は指名手配中の犯罪者か!?
しかも電話をきった途端に位置を逆探知でしられてキャツ(←誰!?)が追いかけてこないかと逃げる行路まで確かめていたりした。
・・んなワケないって・・・!
どきどきしながらボタンを押した。

「——はい。こちら○○探偵社」
「———。」
私は無言になってしまった。
「もしもし、もしもし」

相手がもしもしを連呼するなか、ドキドキしながら無言で電話をきる私。
おい!なんのために電話してるんだよ、私。
ただのイタズラ電話をしただけだった私であった・・。

その後二回電話をかけ、そのたびに無言になったいけないワタシ。

そんなこんなで私は探偵になりたいという気持ちを持ったまま高校生になった。
そしてその頃には本気で探偵社でバイトをさせてもらおうと決心し、直談判しに行くことを決めた。
ちゃんとした服を着て、髪もひっつめて縛り、いざその探偵社の場所に向かおうとした。
しかし降りるバス停は知っていたけれど、詳しい場所はわからなかった。
そこで、またいざ行かんとしている探偵社に電話をかけることにした。
心臓の鼓動も早く電話をかける。

「はい、こちら女性探偵社です」
「——もしもし」
初めて私は探偵に無言電話以外の電話をかけることができた!
「はい。どうなさいましたか」
「あのぉ・・・。そちらにはどうやって行けばいいんですか」
「はい、こちらには〜(省略)〜と行けば来ることができます」
「はぁ・・」
「ところでどのような御用件でしょうか。もしよければお電話で伺いますが・・・」
「———!!」
ガチャン。
動揺した私はそのまま電話を切ってしまった。
こら〜〜何やってるんだ私〜〜!!

結局電話の彼女のぱきぱきした質問で動揺し、その探偵社にも行くことなく帰ってきた私。

これじゃぁ一生探偵にはなれねぇだろ・・と思う今日この頃。